覚醒したSHOは新日本プロレスジュニアを牽引する存在となる

覚醒したSHOは新日本プロレスジュニアを牽引する存在となる。そんな予感を感じさせるメインイベントだった。

「Road to レスリングどんたく 2019」後楽園ホール3連戦の最終日のメインイベントは「CHAOS」VS「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」。

オカダ・カズチカ選手VSSANADA選手の「IWGPヘビー級選手権試合」とSHO選手VS鷹木信悟選手の「IWGPジュニアタッグ選手権試合」の前哨戦が行われた。

前日の会場を締めたのはロッポンギ3Kの恋女房YOH選手。目の前に対峙するのは鷹木信悟選手。

であれば、SHO選手が燃えないはずがないだろう。

持ち前の気迫と規格外のパワー。そして、柔術仕込みの関節技まで繰り出した。

その姿を見ていて、僕はこう思っていた。

ひょっとすると、SHO選手と鷹木信悟選手が「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」の優勝決定戦を争うかもしれない。

そして、「IWGPジュニア」のベルトを保有しているドラゴン・リー選手あるいは石森太二選手の前に立ちはだかるのかもしれない、と。

一般的に考えると優勝決定戦に進む可能性が高いのは、新日本プロレスでこれまでピンフォール負けを喫したことがない鷹木信悟選手と事前情報が少なく、研究されていないXだろう。

だが、どうしても期待してしまう。

そんな魅力がこの日のSHO選手にはあった。改めてSHO選手について書いてみたい。

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独自進化を遂げたアマレス闘士

僕がはじめてSHO選手のことを知ったのは雷神時代である。つまりメキシコ遠征中のことになる。

CMLLに行っているヤングライオンが2人いる。小松洋平選手は風神。田中翔選手は雷神。

1人で武者修行をするイメージのある海外遠征に彼らは2人で船を漕ぎだした。

ある意味で1人よりも2人の方が辛いこともある。

1人は気楽で気ままだ。生活リズムも自分で決められるし、話し相手がいないことで、ハングリー精神やコミュニケーション能力が磨かれていく。

だが、2人になると少々毛色が異なる。

辛いことがあれば隣の人に話すことができる。何かあれば2人で決めることができる。

つまり、支えてもらうことができるのだ。

YOH選手という相方がいないときのSHO選手は、シングルマッチ、今回のタッグマッチで普段と違った魅力を放っている。

 

二面性の魅力

中西学選手が贈る新感覚バラエティ「中西ランド」で柔術を初体験したヤングライオン田中翔選手は「楽しい!続けたい」と語っていた。

あのテレビ番組がなければおそらく、SHO選手が柔術を学ぶ機会はもう少し先になっていたのかもしれない。これが大きな分岐点となった。

そう、海外遠征後大きく変わったのは、SHO選手だった。

海外遠征ではMMAの試合にも出場し、金網の中でのファイトも経験した。2019年4月に配信された「SHOのしびれない話」でもこの時のことに触れていたが、とにかくできることをしたいという気持ちがあったようだ。

柔術、打撃。この2つがSHO選手を開花させた。元々アマチュアレスラーとしては、グレコローマンスタイル選手権大会3位、西日本学生選手権フリースタイル準優勝、国体出場という輝かしい実績を持っている。

しかもレスリングを始めたのは高校3年生からだ。

 

自身を不器用だと語るSHO選手ではあるが、貪欲に吸収する姿勢に僕自身学ぶことが多い。

身体つき一つとってもそう。現在の新日本プロレスジュニア選手の中でトップクラスの仕上がりをキープし続けている。

「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」に備えて、更に身体も変化してきている。

努力、節制。

簡単に見えて難しいことである。目の前のことに一歩一歩向かい、壁を乗り越えるその姿は「はじめの一歩」の幕之内一歩を連想させるものがある。

ラジオなどメディアに出演した時はどちらかと言えば静かで謙虚。ただし、自分の言葉は持っている。リングに上がれば表情をグシャグシャにして叫び続ける。

気迫のこもった表情は殺気に近いものを発し、プロレスラーとしての強さに迫っている触れるような印象すら受ける。

ソフトなリング外とハードなリング内。

自身のポッドキャストでも新日本プロレスの魅力を広げようと、毎週ファンに向けて宿題を出している。

荒々しいファイトと穏やかなトーク。

そんな二面性のあるSHO選手が僕は大好きだ。

 

鷹木信悟という壁

あの鷹木信悟選手がいよいよSHO選手を絶賛した。「俺が求めていたのはこの刺激だ」と。

ヘビー級戦線でも戦える力を持った鷹木信悟選手はジュニア戦線に加わり、猛威を振るっている。

「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」でもおそらく優勝決定戦に進むだろう。それほどに鷹木信悟選手は強い。

そんな彼の視点に最も食い込んでいるのが、SHO選手なのだ。

この日のスペシャルタッグマッチでSANADA選手からピンフォール負けを喫したものの、最もインパクトを残したのはSHO選手だと僕は思っている。

あと少し、もう少し。言葉にできない、本人にしか触れない壁を乗り越えたら、SHO選手はもっと上まで登っていける。

よくロッポンギ3Kの解散について言及する人も多いが、僕はそうは思わない。

シングル、タッグ。両方狙えばいい。そして、戴冠すればいいだけなのだ。

事実、KUSHIDA選手は同時に複数のベルトを戴冠し、入場している時代があった。

ハイフライヤーにはなれない自分が、上を目指すためにはどうすればいいのか。

その答えを見つけたSHO選手は素晴らしいファイトスタイルを身につけた。

ここからだ。「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」。

ここがSHO選手にとってターニングポイントとなるに違いない。

完全にNEXTは目の前まで来ている。

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