獣神サンダー・ライガーのデビュー30周年を祝う鈴木みのるの胸中を考えてみる

獣神サンダー・ライガーのデビュー30周年を祝う鈴木みのるの胸中を考えてみる。

オープンフィンガーグローブが新日本プロレスで登場したのは、中々久しぶりのことではないだろうか。

新日本プロレスの「レスリングどんたく」シリーズ後楽園で怒りの獣神はデビュー30周年を迎えた。

二度とない機会に後楽園ホールは1660人の満員を記録。

引退を除く最後の記念試合。これは、何かしらのイベントがある。ピーンと直感も多かったことだろう。

対戦カードも新日本本隊と「鈴木軍」の魅力的なメンバーが揃った。

獣神サンダー・ライガー選手&タイガーマスク選手&田口隆祐選手VS鈴木みのる選手&金丸義信選手&エル・デスペラード選手。

分かりやすい正義と悪の構図。そして、数試合前から獣神サンダー・ライガー選手を挑発していた鈴木みのる選手が獣神サンダー・ライガー選手の記念日に何を仕掛けてくるのか。

その答えはオープンフィンガーグローブであり、“ケンカ”だった。

プロレスでもパンクラスルールでもないケンカ。

なぜ、鈴木みのる選手は獣神サンダー・ライガー選手にそんな問いを行なったのだろうか。

今回、その点について考えてみたい。まずは、2人の歴史について遡ってみよう。

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新日本プロレスの道場育ち

新日本プロレスからUWFを経て、パンクラスを立ち上げた鈴木みのる選手。

だが、栄光の時代は長くは続かなかった。総合格闘家としてルーキーに敗れる。

団体を旗揚げしたスターが新人に敗れる。それも“秒殺”で、だ。

首の負傷もあり、ここで鈴木みのる選手は引退という言葉が浮かんでいたという。

そんな中2002年11月30日、横浜文化体育館で、運命の相手、獣神サンダー・ライガー選手とパンクラスルールで試合をすることが決定した。

 

白のレスリングパンツ

鈴木みのる選手はここ一番の白タイツで入場。獣神サンダー・ライガー選手も普段とは異なるスタイルでリングに上がった。

オープンフィンガーグローブでの壮絶な殴り合いは1分48秒で終了した。

獣神サンダー・ライガー選手はこの試合以降、総合格闘技のルールで試合をしていない。

鈴木みのる選手はこの試合を機にプロレスへと舞い戻った。

獣神サンダー・ライガーとオープンフィンガーグローブをつけて対峙する。

この意味が鈴木みのる選手にはあるのだ。

ただし、世界中から注目を集めている獣神サンダー・ライガーのカウントダウンに割って入ることは簡単ではない。

だからこそ、ケンカを売る。ヤングライオンを襲撃する。怒りの獣神に火を点けることはなんでもする。

そうまでして、もう一度あの日の続きがしたいのだ。

鈴木、お前には俺しか見えてないのか? 毎日のこの勝負はどうでもいいっていうのか? 鈴木軍はそういうものなのか? 勝たなきゃ、意味がねえだろ? だからチームなんだよ。鈴木軍はなんなんだ、だからよ? なんの鈴木“軍”なんだ? 意味がないことを繰り返す。ヤツは『やるならいつでもやってやる』って若手にも手を出して。関係ねえヤツにまで手を出して。なんの意味があるんだ? 俺に来いや。俺は逃げも隠れもしてねえや。真っ向からやってる。若いヤツには手を出すなよ。関係ねえんだからさ。セコンドやってくれてんだ。ちったあ考えろ。お前がやってることは、ただのチンピラだ。レスラーでもなんでもねえよ。そんなんなら、新日本出てけって。お前のいる場所じゃない
出典:新日本プロレス

 

2008年

鈴木みのる選手のデビュー20周年&40歳のバースデーを記念した興行「風になれ」に獣神サンダー・ライガー選手は出場している。

その時は獣神サンダー・ライガーが5人に増殖するというサプライズを見せた。

そう、ずっと2人は戦い続けてきたのだ。

2人の関係や因縁を言葉にするのは、野暮なことなのかもしれない。

目の前で行われる抗争は、何故だか少し発言が噛み合っていない。お互いの主張が少し食い違っている。

これは、人と人が何十年一緒に居てもわかり合うことなどできないという暗喩ではないだろうか。

そして、鈴木みのる選手の主張は改めて獣神サンダー・ライガー選手と強さを競い合いたいという一点に迫っている。

30年間プロレスラーとして、戦い続けて得た境地。獣神サンダー・ライガー選手にしか見えない景色がある。

プロレスの価値観について獣神サンダー・ライガー選手が書籍を出せば僕は初版本を購入するだろう。それほどまでに長年で積み重ねてきた歴史がある。

そのプロレスラーとしての歴史に終止符を打つのであれば、リングの上で残している宿題を全て終わらせるべきでないか。

プロレスラーとしての強さ。1人の男としての強さ。単純な強さを鈴木みのる選手は最後に比べたがっているのだ。

天龍源一郎さんと同様に獣神サンダー・ライガー選手は引退後、復帰するという道を歩むことはない。

であれば、最後の最後にもう一度シングルマッチがしたい。そのためになればどんなもことでもやってやる。

デビュー30周年に贈られたオープンフィンガーグローブ。この意味はあまりにも重く、深い。

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