SANADAがオカダ・カズチカのライバルになった日。

SANADAがオカダ・カズチカのライバルになった日。そう、新日本プロレスを席巻してきた“レインメーカー”オカダ・カズチカ選手にいよいよ同年代の強敵(とも)が生まれたのだ。

「ニュージャパンカップ」決勝で雌雄を決した2人が再び、福岡の地で激突する。新日本プロレスにとって「令和」初となる「IWGPヘビー級選手権試合」。

この試合はかなり特殊な条件で決定している。

これまで、チャンピオンからチャレンジャーの指名は珍しくない。ただ、オカダ・カズチカ選手がSANADA選手を指名したのは、MSG大会の前。つまり、丸腰の状況で事前に挑戦権を与え、それを叶えた形になるのである。

有言実行であり、どれだけ新日本プロレスからオカダ・カズチカ選手が信頼されているのかが分かる。また、SANADA選手はオカダ・カズチカ選手と戦うことでミックスアップを果たしている。

2018年の挑戦から一年が経ち、一気に才能が弾けた。天才が求めていた場所にようやくたどり着き、実力を遺憾なく発揮している状況が出来上がったように思う。

前哨戦を重ねる度に、磨きが掛かってく2人の試合。お互いがお互いの技を繰り出す景色は、掟破りという言葉を超えた領域に達しているようにも思う。

平成最後の「IWGPヘビー級王者」が令和初のチャレンジャーを迎え撃つ。2人にとって運命の一戦を振り返っていきたい。

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14年前越しの夢

コールドスカルVer.4。髪型もコスチュームも変え、髭も短くした上で、運命のリングへと向かったSANADA選手。

少し、真田聖也時代の雰囲気に戻ったような雰囲気すらある。

一方で金の雨が降り注ぐ中、2019年のイッテンヨンから新しくなったコスチュームに身を包み、リングへの道を歩むオカダ・カズチカ選手。

「イメージしてみろよ?どっちがワクワクするのか」

オカダ・カズチカ選手はV12達成後、赤髪時代を経て、“レインメーカー”のイメージを大きく進化させた。

覚醒という意味ではSANADA選手も同じだ。オカダ・カズチカ選手との「IWGPヘビー級選手権試合」以降、コールドスカルは大きく変わった。

度を超えた無口がいよいよ喋り始めた。会場のメインを締めることも珍しくなくなった。内藤哲也選手とのタッグマッチでも自身で興行を締める。

数年前であれば、全く考えられなかったことが現実になっていった。

試合内容に関してももちろんそう。「スカルエンド」のバリエーションが増え、ラウンディング・ボディプレスを見舞う機会も増えた。

2018年の「G1クライマックス」では石井智宏選手と並ぶ活躍を見せつけた。

内藤哲也選手、EVIL選手を完封に抑え込んだザック・セイバーJr.選手をグラウンドで圧倒したのは記憶に新しい。

進化し続ける天才。SANADA選手に期待が集まることは必然だった。

 

激闘

試合序盤から相手の動きを伺うような展開が続く。これまでの試合ではSANADA選手がオカダ・カズチカ選手を研究し、次の流れを予想しているような素振りも目立っていたが、今回は少々毛色が異なる試合となった。

SANADA選手にチャレンジャー感がないのだ。ピンと張り詰めた緊張感はあるのだが、格下感が全くない。

5連敗している男が纏っている空気ではなく、何度も好勝負を続けてきた名勝負数え歌という風格がこの試合にはあった。

6105人(札止め)の会場が見守ったのは。王者とは別の道を歩んできた、もう1つの可能性だった。

「闘龍門」と「武藤塾」。

中学を卒業して進んだ場所。新日本プロレスに選ばれなかったことで見つけた場所。

それぞれの道を歩んだ2人の道が今、ようやく交錯したのだ。

オカダ・カズチカ選手VSサナダ・セイヤ選手として。

 

好敵手という存在

オカダ・カズチカ選手は試合後のマイクでこう語った。

SANADAさん、俺さ、調印式の時に堂々と俺のことをライバルって言ってくれて凄い嬉しかったよ。だから俺もこの博多の大観衆の前で言ってやる。SANADAさん、あんた、俺のライバルだよ! 俺とあなたのライバルストーリーは始まったばかりだから。そして負けねえぞ、この野郎

出展:新日本プロレス

ライバルと言ってくれたことが嬉しかった、と。そう、オカダ・カズチカ選手には同年代のライバルがいなかったのだ。

棚橋弘至選手は絶対的なエース、内藤哲也選手は同部屋の先輩。ジェイ・ホワイト選手は“可愛い”後輩。

オカダ・カズチカ選手が24歳で「IWGPヘビー級王者」に輝いて以降は、ヤングライオンから見れば雲の上の存在だろう。そんな彼にとって同年代のライバルという存在はどんなに願っても手に入らなかった相手だったのだ。

だからこそ、SANADA選手への尊敬の念、敬意を払った発言を徹底する。

“レインメーカー”初期の頃のようなふてぶてしさは綺麗さっぱり洗い流した。

第69代「IWGPヘビー級王者」はマネージャーと離れたことでグングンと成長している。

次の相手はおそらくクリス・ジェリコ選手だ。内藤哲也選手を散々苦しめたスーパースターにオカダ・カズチカ選手はどう対峙するのか。今から楽しみである。

 

サナダ・セイヤ

後一歩、もう一歩のところで「IWGPヘビー級」ベルトに手が届かなかったSANADA選手。

黒から青へ。SANADA選手が真田聖也選手あるいは“サナダ・セイヤ”としての姿を見せたのが今回のタイトルマッチだったように思う。

もしも、SANADA選手が「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」ではなく、“SANADA”でもない形で新日本プロレスのリングに足を踏み入れていたらどうなっていたのか。

その可能性を提示したのが、今回の試合だ。

全頭を金髪にして髪を下ろした。伸びきっていた髭を整えた。外見から「令和」のSANADAを表現した。

だが、後もう少しだった。タッグパートナーのEVIL選手も石井智宏選手に敗れ、「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」としてはかなり痛手を負ったように思う。

全員がベルトを持っていた時代から全員が丸腰へ。

ノーテーマだった内藤哲也選手以外の選手は次のタイトルマッチも未定である。

ここから再びSANADA選手はタッグ戦線に戻り、「G1クライマックス」に出場する可能性が高い。

黒から青になったSANADA選手がこれからどんな飛躍を魅せるのか、楽しみでしょうがない。

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