なぜ、矢野通はプロ野球解説者に激昂したのか

なぜ、矢野通はプロ野球解説者に激昂したのか。この点について書いていきたいと思う。

「“意外”と身体能力が高いですね」の件である。正直、書こうか書くまいか悩んだネタではあった。

オカダ・カズチカ選手のファン、新日本プロレスファン、プロレスファンとしては“意外”というセンテンスに対して、不快感を覚えずにはいられなかった。

だが、できるだけポジティブな話題を書きたいと思って静観してしまっていた。

そんな中、ツイッターでオカダ・カズチカ選手と同じ「CHAOS」に所属する矢野通選手が激昂したのだから驚いた。

矢野通選手は新日本プロレス所属レスラーの中で、SNSで多くのことを発信するタイプではない。

これは僕の臆測だが、自身の経営するスポーツバー「EBRIETAS」に来店されたファンと触れ合う体験を大切にしているからだと思う。

集客を考えれば、普段から多くのことを発信するのが定石である。ただし、矢野通選手はその選択をしない。

自分と直接対面した時の印象をできるだけフラットにしたい。そんな意識があるのではないだろうか。

そんな矢野通選手が今回、ツイッターで声を荒げたのだから正直驚いた。

その理由はシンプル。「オカダ・カズチカは凄い」ということを理解して欲しいという一点のみである。

多くの人々が注目している始球式だからこそ。オカダ・カズチカ選手の新日本プロレス凱旋時から同じユニットに所属しているからこそ、譲れない思いがあったのだと思う。

ここからは僕の今回の一件に関する感想を書いていく。

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クレバーで切れ者な大泥棒

矢野通選手の前に矢野通選手なし。

それほどまでにオリジナリティを追求してきたのが矢野通選手だ。

プロレスラーひいては社会人にとってオリジナリティ、独創性は圧倒的な武器になる。だが、自分の武器や長所はどこなのか。見つけられていない人がいても不思議ではない。

僕自身、「オリジナリティはどこで長所はどこか」と聞かれれば、そう簡単に答えることができなかった時代もある。

自分の内面や外見を俯瞰して分析する。一緒に仕事をしているメンバーに聞いてみる。

己を知り、心を解き放つ。これがオリジナリティを見つけ、伸ばす第一歩なのだ。

彼の著書「絶対、読んでもためにならない本―矢野通自伝」で自己分析の方法について記載がある。ぜひ、ご一読いただきたい。

話を戻そう。

矢野通選手は非常にクレバーなレスラーである。一番美味しいところはかっさらうし、試合の潮流を読む力は素人目にも伝わってくるほどだ。

例えば、MSG「G1 SUPERCARD」の第6試合
「IWGPタッグ&ROH世界タッグ選手権試合」4WAYマッチの試合後に姿を現し、「IWGPタッグベルト」を盗みとっていった。

 

旗揚げ以降から数えても新日本プロレスの歴史に名を残す興行で誰にもできないことをサラッと成し遂げる。それは痺れる憧れるだろう。

試合中もそう。

矢野通選手は丸め込みでフィニッシュを奪うケースが多い。注目して欲しいのは丸め込む15秒前からだ。

相手選手の位置、足の角度。そして、スピード。全てが芸術的に連動している。

コミカルに戦っているのは上部の姿。最速、最短で勝利を掴みとる哲学が彼の中にはある。

怒った理由

今回、矢野通選手がTwitterで激昂した原因はオカダ・カズチカ選手について礼儀に掛けた発言があったためである。 

ただ、前述した通り、矢野通選手は非常にクレバーで頭のキレるレスラーである。無意味に言葉を残すタイプではないのだ。

であれば、あの行動は一体何を意味しているのだろうか。

僕の考察は以下だ。

 

どう見せるのか

  1. 言い回しについての指摘
  2. この発言をスルーしたファンへの指摘

大きくはこの2つだろう。解説者の方もそこまで意識して喋ったシーンではない。

おそらくとっさに出た言葉が礼儀を欠いていたり、意図と違って伝わったパターンだと思う。

「意外と身体能力が高い」の意味を組み替えると、「想像していたよりも、球が速い」という見方もできる。

「プロレスラー舐めるな!ふざけんな!」と率直に感じる案件でもあるのだが、言葉の定義が人それぞれなところもあり、中々難しい点もある。

一方でこれだけは言える。矢野通選手は自分の前にもっとファンの皆さんに激昂して欲しかったのだ。

オカダ・カズチカ選手は現在の新日本プロレスの象徴である。第69代「IWGPヘビー級王座」に輝く男であり、V12の防衛まで成し遂げた男なのだ。

「自分がどう見られるのか」ではなく、「自分がどう見せるか?」を狙って動くのが矢野通選手だ。優しい顔をしていても、新日本プロレスの外で後輩に何かがあれば、激昂するし発信もする。

このアクションが質のいいファン作りにつながるのだ。

質のいいファンが増えれば、プロデュースしているカレーも売れるし、自分の店にも客が来る。一石二鳥どころか何匹目の土壌でも掬うのが矢野通選手のスタイルなのだ。

最後に。

人には超えてはいけない一線がある。その一線を超えたことに対して、アラートを上げるのはやはり大切なことだな、と学ぶことができた。

穏やかな笑顔の中でまたぐなよ。またぐなよ。と、牽制しつつ、いざとなればしっかりと発言できる。

それってすごく大人としてカッコイイことではないだろうか。

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