田口隆祐とYOH!新しいライバル関係が新日本プロレスをアツくする
田口隆祐とYOH!新しいライバル関係が新日本プロレスをアツくする。
ライバルはプロレスという競技に対して非常に重要な存在である。
古くは長州力選手が藤波辰爾選手に噛みつき、「かませ犬発言」の伝説が生まれた。
また、棚橋弘至選手は中邑真輔選手やオカダ・カズチカ選手とライバル関係を展開して、大きな盛り上がりを作ってきた。
現在もそう。新日本プロレスでは、髙橋ヒロム選手とエル・デスペラード選手や後藤洋央紀選手とタイチ選手、石井智宏選手とEVIL選手など、色々な対立関係が生まれ続けてきた。
そして、直近でもオカダ・カズチカ選手がSANADA選手をライバルと発言するなど、対角線にいる存在をお互いが認め合うことで、新しい熱が生まれ続けるのである。
ここでロッポンギ3Kに目を向けてみよう。
SHO選手には新日本プロレス新しく参戦しかた鷹木信悟選手というライバルができた。
先日の試合でも凄まじい熱狂を生み、メインイベントを食ってしまうほどの熱狂を生み出した。
「こいつにだけは負けるわけにはいかない」
「この人に勝ちたい、超えたい」
そんな心の声が新日本プロレスのリングを媒介に試合を通じて伝わってくる。これが名勝負数え歌を生む汽笛となるのだ。
一方でYOH選手である。飄々としていて、掴み所がない。トリッキーな発言も珍しくなく、ヤングライオン時代から期待を受け続けてきた。だが、最近ではSHO選手と比較すれば、期待値は低かったようにも思う。
ただし、今日のこの試合で新しいライバルが生まれた。
対角線に立ってよし、タッグを組んでもよし。そんなヘンテコなライバル関係がよく似合う。
そう、新日本プロレスにとって田口隆祐選手とYOH選手のライバル関係がこの日スタートしたのだ。
スタートはレスリングから
田口隆祐選手とYOH選手の試合はゴングが鳴った瞬間から万雷の歓声が乱れ飛んだ。
2人は宮城県出身。石森太二選手を含めて仙台ボーイズを結成する旨の発言も出るなど、やはりプロレスラーにおいて凱旋は考え深いものである。
昨日のメインイベントを石森太二選手が制していただけに、今日はどちらが勝つのか。
まず、サンプラザホールの歓声は五分と五分からスタートした。
試合の序盤はクラシックなグラウンドから始まった。基礎中の基礎であり、相手の力量を見極める展開が続く。
お互いアマチュアレスリングをバッグボーンに持っているだけに、目を離せない攻防が続いていく。
ユニークになれるということ
田口隆祐選手とYOH選手(特に田口隆祐選手)は、試合中にコミカルな動きを魅せるケースが多い。
今回も新しいオンエアーされたばかりのうどんをこねるムーブを見せ付けるなど、常に新しい刺激をファンに提供し続けている。
ただ、セイシが懸かったリングで余裕を魅せるのはそう簡単にできることではない。
しっかりとした基礎。受け身の上手さ。そうしたプロレスラーとしての自分を構成する一つひとつが高い次元に無ければ、決してファンを違うアプローチで魅力することなどできるはずがないのだ。
2人は試合を見に来たファンに楽しさや元気を出して欲しいと思っている。熱さを魅せる。しばき合いをする。飛び技で魅力する。
色々なアプローチがある中で彼らはテクニックを選んだ。要所に挟み込む、コミカルさで揺らぎを作り、本質的なワザの上手さで勝つ。
そんな試合ができる2人がシングルでぶつかると、これまた面白い化学反応が生まれた。
本気の田口隆祐
YOH選手から「ドラゴン殺法で戦う」発言があったためか、タイガースープレックスホールドを見舞う田口隆祐。
正調式のどどんが返されたかたと思えば、どどん・ジ・エンドでトドメを刺す。
普段は田口ジャパン監督として、メンバーを光らせる動きが目立つ田口隆祐選手だが、「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア」になれば話は別。
強い田口隆祐選手が表に出てくるのである。髙橋ヒロム選手や石森太二選手と戦った時のような、怖い田口隆祐選手とはまた別。コミカルさと強さのハイブリッドな姿を見ることができる「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア」はやはり贅沢な時間なのだ。
そんな田口隆祐選手だからこそ、YOH選手も己の引き出しを開けることができた。
ヤングライオン時代のフィニッシュ・ホールドであるROLL of Kを解禁。膝へのファイナルカットへとつなげた。
ロッポンギ3Kとは違う魅力が、YOH選手からも放たれている。
ノーサイドの精神
試合後、YOH選手は田口隆祐選手に何かを耳打ちしていた。カメラの角度的にYOH選手が何を言ったか分からなかったが、田口隆祐選手の口は「何言ってんだよ」と言ってるように見えた。
おそらくだが、素直にお礼を伝えたのではないだろうか。
SHO選手には鷹木信悟選手というライバルができた。タッグパートナーばかりが注目を浴びる展開。
飄々としているが、腹の中では言葉にできない感情もあったのかもしれない。そんな気持ちをぶつける相手が田口隆祐選手だったのだ。
自分の今をぶつけてなお届かない相手。近いフィールド、目指すプロレスが近いところにある中で前を走っている同じ宮城県出身の先輩。
ヤングライオン時代は同じコーナーに立つことも多かった先輩。
ロッポンギ3K結成前には、SHO選手と共にタグチジャパンのユニフォームにも袖を通した写真をアップするなど、何か特別な感情があったに違いない。
そんな彼から「ライバル」と認められたYOH選手。
これからBブロックをどのように戦い抜いていくのだろうか。
ロッポンギ3Kは2人ともに初戦を落とした。だが、勝ち負けを超えた大きな経験を積むことができたのは間違いない。