石森太二VSマーティー・スカルは新日本プロレスの広がりを見る一戦だ
石森太二VSマーティー・スカルは新日本プロレスの広がりを見る一戦となった。
石森太二選手の勢いが止まらない。
現在、新日本プロレスジュニアにおいて「絶対王者」が不在であると自ら口にして以降、王者時代以上に新日本プロレスジュニアを盛り上げる点に目が向いているように思う。
ある種、新日本プロレスの象徴とも言える「IWGPジュニアヘビー級ベルト」を一度体感したのち、肩の力が抜けた上で、今回の「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」に臨んでいる印象を受けるのだ。
初戦でドラゴン・リー選手を破ったことで、更に勢いをました。
一方でこの日戦ったマーティー・スカル選手はどうだろう。
「ジ・エリート」の面々が新日本プロレスを離れ、マーティー・スカル選手のみがROHに残留した。
現在はヴィラン・エンタープライゼスなるユニットを組んでいるが、イマイチ海外ネタに疎い僕にとってはピンときていなかった。
そして、今回の「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」への参戦が発表された時には、本隊と組むのかな?とも想像していたが、それも異なる結果になった。
自身がリーダーのユニットヴィラン・エンタープライゼスでの参戦。
ブロディ・キング選手を引き連れ、新日本プロレスマットに殴り込みをかけてきたのである。
髙橋ヒロム選手やKUSHIDA選手、ウィル・オスプレイ選手と4強時代を築いていたマーティー・スカル選手は今回の「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」でどんな結果を残すのだろうか。
今回は石森太二選手とマーティー・スカル選手の試合について振り返っていきたい。
すれ違わなかった男たち
石森太二選手が新日本プロレスに参戦したタイミングでは、未だ「バレットクラブ 」が「オリジン」と「ジ・エリート」に分裂する少し手前くらいだった。
「世界で活躍するため」にタマ・トンガ選手とコンタクトを取った石森太二選手。人気を博していた「ジ・エリート」ではなく、「オリジン」のメンバーとして活動を開始した。
ここでの選択がマーティー・スカル選手と石森太二選手が絡んでいるイメージがないことに繋がっている。
2人は同じ「バレットクラブ 」籍を置いていたが、ほぼすれ違わなかった。同じコーナーにいることも対角線に立つこともほぼない。
そんな2人が対峙した時、非常にドラスティックな試合が展開されたのだ。
テクニックと感情
マーティー・スカル選手は圧倒的なテクニックでじわじわと相手を追い込んでいくタイプのレスラーだ。
大技を狙うよりも、自分の間を大切にし、じっくりと相手選手を追い込んでいく。
このスタイルで新日本プロレスジュニアの頂点である「IWGPジュニアヘビー級王座」にも輝いた。
そう、2018年のイッテンヨン「レッスルキングダム」はマーティー・スカル選手がチャンピオンとして、「IWGPジュニアヘビー級選手権試合」が行われたのだ。
あの日の4WAYマッチは新日本プロレスジュニアの歴史に残る一戦だったように思う。
実力者であることは証明済み。一方で、以前ほどの話題性がない。
ただし、新日本プロレスに初参戦した後、指折り1発でファンの心を掴んだのは伊達ではなかった。
やはりマーティー・スカル選手は試合で魅せるレスラーである。
序盤は石森太二選手のペースで試合が進んでいるように見えて、中々自分のペースを掴めない。
僕はこう思った。
石森太二選手は15分程で試合を終わらせる想定で攻めていたにも関わらず、マーティー・スカル選手が粘りまくるなと。
非常にタフな相手との試合で生まれた一瞬の間。ここをマーティー・スカル選手は見逃さなかった。
マーティー・スカル選手はクロスフェイスチキンウイングからスカル・ドライバーへ。
徹底的に技を出し合った後、最後は石森太二選手のブラッディ・クロスが炸裂。
マーティー・スカル選手をマットに沈めた。
パワーVSテクニック。その先にあった意地のぶつかり合い。
「絶対王者になる」と決めた石森太二選手、KUSHIDA選手、田口隆祐選手、獣神サンダー・ライガー選手との試合を通じた経験がなければ、この試合に敗れていたかもしれない。
そう感じさせるほどにマーティー・スカル選手は強かった。
試合後、石森太二選手はこうコメントを残している。
マーティー、しつこいように、いろいろ締め上げられて、思わずギブアップが一瞬、頭によぎったよ。首も、腕も、痛えしよ。さすが、ROHの実力者だよ。俺がもし作ったら、Ishimori Enterprises、入れてやるよ。合格だよ。(※立ち上がろながら)オー、痛え……
出典:新日本プロレス
セミファイナル
今回のの「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」はメインイベントは勿論、セミファイナルも激アツだ。
メインイベントは約束された熱を生み、セミファイナルは「なんでセミファイナルなんだ!?」という気概を感じさせる試合が展開される。
素晴らしくいい流れがの「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」に生まれている。