タイチ、ミラノさん、村田晴郎アナによる新日本プロレス実況席が最高だ
タイチ、ミラノさん、村田晴郎アナによる新日本プロレス実況席が最高だ。
そう、この3人が新日本プロレスの解説席に集まるとある種のプレミアム感が出る。
新日本プロレスに在籍時は、“愛を捨てた聖帝”タイチ選手とタッグチーム“ユニオーネ”を組んでいたミラノコレクションA.T.さん。
タッグチームが魅せるプロレスの解説は、こういった楽しみ方もあるのだと納得させられる。
実際、海外のプロレス実況は雑談も多いらしいく、ある意味でグローバリゼーションされた実況席になっているとも言えるだろう。
タイチ選手が絶妙なコメント(ボケ)をすれば、ミラノコレクションA.T.さんが的確なワードをチョイスして切り返す(ツッコム)。
2人の掛け合いだけでは話が前に進まない。村田晴郎さんの実況がその場のリズムを作り、話を前に転がしていく。
1人でもなく、2人でもなく、3人。この3人が座った実況席はとてつもなく愉快な場になるのだ。
ここからは新日本プロレスジュニアの祭典「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」を見ていて、僕が堪えきれなかったシーンを紹介していきたい。
プロレスは会場で観戦するのが一番。ただし、「新日本プロレスワールド」ならではの魅力があることも事実なのだ。
“ユニオーネ”プラス村田晴郎アナの名(迷)シーンは以下だ。
成田蓮VSロビー・イーグルス
「地元かぁクソ田舎モンじゃねぇか」(タイチ選手)
「そういうこと言わないの」(ミラノさん)
「(ロビー・イーグルス選手を見て)ジ・イーグルだろ?」(タイチ選手)
「だからなんで全日本なんだよ。覆面ないだろ」(ミラノさん)
成田蓮選手に対して、「こいつはただの代打だとバッサリ切り捨てたタイチ選手。だが、試合終盤のフロントスープレックスを目の当たりすると、「大したもんだな」と認めるコメントも目立ち始める。
「たまたま地元だから本気出しただけだろ?」と悪ぶるも成田蓮選手のポテンシャルに何かを感じたようだ。
ちなみにジ・イーグルス選手はアジアタッグ王者に輝いた実力者だそう。「バレットクラブ」に興味がある成田蓮選手がいつかロビー・イーグルス選手とタッグを組む日が実現する可能性ゼロではない。
YOHVSバンディード
「俺の方がすごかったからな」(タイチ選手)
「カベジェラ戦まで行ったのは確かに凄い」(ミラノさん)
「認めざるおえません」(村田アナ)
この試合、コメントには敢えて残さないが、YOH選手に対してお姉さまたちが喜びそうなコメントを残したタイチ選手。2019年5月23日の後楽園ホール大会でDOUKI選手と激突するYOH選手。そこでタイチ選手は一体どんな動きを魅せていくのか。
この点がまず気になるポイントである。
BUSHIVSエル・ファンタズモ
「ザ・ ファンタスティックス?」(タイチ選手)
「だから全日本プロレスじゃないっての」(ミラノさん)
「詳しいなお前も」(タイチ選手)
「(反則を)5秒以上やってるけど?」(タイチ選手)
「レフリーがカウントしてからだよ」(ミラノさん)
ここで反則裁定について気になるコメントを残すタイチ選手。これが後につながる伏線になっているとはこの時は思いもよらなかった。
個人的にBUSHI選手。かなり正念場だ。会場から飛び出す特定の女性ファンの大声は人気を示すバロメータだが、ここまで2敗。
鷹木信悟選手がとなりにいないシーズンだけに、シングルでも結果が欲しいところだが。
ロッキー・ロメロVSウィル・オスプレイ
「ジュニアとヘビー両方なんて甘いんだよ。だからデブに負けたんだよ。行ったりきたりして結果出なかったやつもいるしな?」(タイチ選手)
「僕は行ったりきたりする気持ちは分かりますね(※現役時代ヘビー級にも挑戦していた過去がある)」(ミラノさん)
「タイチ選手もジュニア時代とは何度もやりあってきましたよね?」(村田アナ)
「何度もやってるし、あいつの恐ろしさは知ってるよ」(タイチ選手)
今回の興行でMVP級とも言える活躍を見せたロッキー・ロメロ選手。
最近では「ロッポンギ3k」のフォローに回るケースが多かったが、改めてその実力を証明した。
アイアンマンVSスパイダーマンのような挑発もありつつ、圧倒的なテクニックを武器に無差別級を宣言しているウィル・オスプレイ選手をとことん追い詰めた。
「ロッキー頑張れ!」(タイチ選手)
「タイチ選手も応援している!」(村田アナ)
このトリオが的確なのは、試合の局面でファンと同じ心理の言葉を発することである。
共感するポイントを作るには、専門知識以上に場の空気作りが重要なのである。
「ストームブレイカーをウラカンラナで!?」(村田アナ)
「3(カウント)じゃないの!?」(ミラノさん)
「ロッキーってこんなに強かったのかよ!?」(タイチ選手)
ロッキー・ロメロ選手の株価がストップ高になった試合になったことは間違いない。
田口隆祐VSDOUKI
「目がいっちゃってんだろ?(DOUKI選手が)お前のこと嫌いらしいな」(タイチ選手)
「(ムカッ)恩しかないだろ俺には」(ミラノさん)
「来た時からこんなやつだったよ」(タイチ選手)
「ミラノさんに対する想いは全く感じられませんでした」(村田アナ)
「恨み辛みだよ。ぬくぬくと育った奴らによ。屋根もないところねで臭い飯食ってきたんだよ。あいつは」(タイチ選手)
DOUKI選手に対するタイチ選手のコメントを聴いていると、感情的になるなという方が無理だ。
エリートよりも雑草の方が圧倒的に母数が多い。誰しもが挫折、苦労した経験があるだろう。だからこそ、タッグパートナーが怪我により引退してしまったタイチ選手に心を揺さぶられ、苦労を重ねてきたDOUKI選手に期待せざるを得ないのだ。
「新日本の若いやつらがいい待遇で(メキシコ)来てよ。それを横で見てるんだよ。どんな気持ちだと思う」(タイチ選手)
DOUKI選手は場所も相手も選ばず、日の目を浴びない中で着々と力を付けてきた。
そのハングリー精神はリング上でスペイン語で挑発する点からも明らかだ。
ハポネスたちに俺の実力を魅せつけるのだ、と。
徹底して己を厳しい環境に身を置き、そこでしか手に入れることのできない技と精神力を手に入れてきた。チョップ一つとっても独特でオリジナリティがある。
身体の柔軟性。ダーティーファイトに移るタイミング。タイチ選手とのコンビネーションもバッチリだ。
今回の「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」は主役が不在だと言われていたが、そんなことはない。
主役の奪い合い。この戦いは全員が主役以上になれるチャンスだってあるのだ。
ミラノ・コレクションA.T.さんのコメントで本コラムを締めくくりたい。
「デーーンジャラス....!じゃないだろ!なにやってんだよ!お前!!!」