なぜ、鷹木信悟は全勝ではなく無敗優勝を宣言したのか。
なぜ、鷹木信悟は全勝ではなく無敗優勝を宣言したのか。
新日本プロレスに襲来後、一度も3カウントやギブアップ負けを喫したことがない「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」鷹木信悟選手。
髪の毛の色を黒に変えて、ヒゲドライバーさん作曲のゲームサウンド風のエントランスミュージックを導入。戦い方や技。心身ともに充実した状態で打倒鷹木信悟を誓った「ロッポンギ3K」のSHO選手ですら一歩及ばなかった。
あの激闘の末に受けたダメージは半端ではない。僕は案外あっさりとティタン選手に敗れてしまうのではないか。そう思っていたが杞憂に終わった。
やはり「俺はジャイアン。後、全員のび太」状態のまま「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」 は終わってしまうのか。
そんな彼の連勝記録を止めるのは、正直同郷出身であり、GHCジュニアヘビー級ベルトの初代王者であり、未だに破られていない最多保持記録を持つ「鈴木軍」の金丸義信選手しかいない。
僕はそんな可能性を感じていた。そう、ジュニアタッグの領域で圧倒的な強さを発揮してきた金丸義信選手がいよいよ本格的に新日本プロレスの
山型ビッグウイングのメインイベント。山梨県出身の2人が争う、山方NO.1決定戦。
激闘となった金丸義信選手と鷹木信悟選手の試合を振り返っていきたい。
ヒールマスターの本気
ヒールという立場を抜きにして言ってしまえば、金丸義信選手のプロレスは華麗である。
全く無駄のない攻め、圧倒的な受け身の上手さ。そして、相手との間の取り方。リング内から場外まで幅広く使いながら、会場を盛り上げつつダメージを蓄積していく流れを見ていると金丸義信選手は本当にプロレスが上手い選手なのだなぁと思う。
この日も前哨戦から痛めつけてきた膝への一点攻撃を敢行。プロレスの原点である一点集中を徹底するのが“ヒールマスター”なのだから現在の新日本プロレスは面白い。
タイチへの耳打ち
エントランスミュージックの中、山形ビッグウイングに姿を現した金丸義信選手は、早速解説席に座るタイチ選手は耳打ちを行った。
「今日、どこに飲みに行く？」
タイチ選手から飛び出した言葉はフェイクだ。明らかにこのタイミングで乱入するように指示をしていたように思う。
ミラノ・コレクションA.T.さんが「今、話す話しじゃねぇだろ」と語っていたが、どちらにせよ今話す話題ではなかった。
リング中央。あの手この手を使って膝を痛めつける。プロレスはただ勝利を競う競技ではなく、観客に魅せるという側面もある。
つまり、同じ技を繰り返し使い続けて痛めつけることは簡単だが、そんなプロレスは面白くないのである。
リング上から場外に移動し、4の字固めでリングアウト勝ちを狙う。
ヒールマスターの細かなテクニックの前に、鷹木信悟選手はじわじわと追い詰められていく。
パワーと“流れ”
鷹木信悟選手は序盤こそ金丸義信選手にダメージを与えていたものの、中盤から後半に掛けては、防戦一方の展開が続いていた。
徹底した膝攻めに歩く、走るなどの機動力を奪われる。また、打撃技も踏ん張りが効かない状況になってしまった。
ただし、“3カウント負けなし、タップアウト負けなし”という今の状況が鷹木信悟選手に負けを許さなかった。
負けない。勝ち続ける。そう、新日本プロレスで鷹木信悟選手は不敗神話を築いてきた。
あらゆる競技やビジネスで勝ち続けるために必要な要素は一つ。勝ち癖を付けることである。
勝ち癖がついているから負けない。
勝ち方を知った上で慎重に戦うからこそ、誰も真似できないような結果が生まれるのだ。
試合後半で金丸義信選手が持参した「角」を口に吹くみミストを見舞ったのもそう。
こうしたなりふり構わない試合は新日本プロレスに上がって以降、珍しいものだったように思う。
ここまで不敗記録を築いてきたのであれば、狙うは「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」の全勝優勝。そして、「IWGPジュニアヘビー級王者」への挑戦。
そして、新日本プロレスでは初となるシングルベルト戴冠。
新日本プロレスのジャイアンは、どこまででも上り詰める姿勢を崩さない。
負けないということ
「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」でストップ・ザ・鷹木信悟を実現できる選手は残すところタイガーマスク選手、ドラゴン・リー選手、マーティー・スカル選手、ジョナサン・グレシャム選手、石森太二選手、TAKAみちのく選手のみ。
大本命とされたSHO選手と金丸義信選手が敗れた今、残す双璧は「ジャイアンを止める」と言い切った石森太二選手と現「IWGPジュニアヘビー級王者」ドラゴン・リー選手だろう。
後楽園ホールと愛媛。ここで新日本プロレスジュニアは大きな潮目を迎えそうである。
鷹木信悟選手についての考察はここでも多く言及されているため、ぜひチェックいただきたい。
ストップ・ザ・鷹木信悟を実現するのは一体誰だ。「ザ・ドラゴン」包囲網が出来上がりつつある。
最後に、鷹木信悟選手がいよいよ無敗優勝を誓ったコメントを残したので、記載しておきたい。
「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」からその先を見据えて無敗神話。リーグ戦以降も勝ち続ける気満々だからこそ、全勝ではなく、無敗を口にしたに違いない。
おい、金丸！ あいつめちゃくちゃなことすんな、おい！ ああクソ！ きつかった。足も痛え。腕も痛え。だけども俺の魂にかけてギブアップしねえからな、おい！ 実は俺と金丸、同じ山梨県出身だ。今のシングルで勝ったということは山梨最強のプロレスラーは鷹木信悟でいいよな、おい！ だが、俺が今本当に欲しい最強はもちろん『BEST OF THE SUPER Jr.』最強の称号だ、おい！ 今まで黙ってたけどよ、山形のみんなにこっそり教えてやるよ。実は俺よ、新日本に上がって7カ月、まだ一度たりとも負けたことねえんだよ、おい！ だったらよ、無敗のままこの『SUPER Jr.』終わったら、面白くねえか？ おい、最高に面白くねえか、おい！ やるなら俺しかいねえだろう、おい！ おーし！ 最後の最後まで俺は龍のごとく『SUPER Jr.』のてっぺん目指して駆け登っていくぞ！
出典：新日本プロレス
