KENTAの「G1クライマックス」参戦表明について思うこと
KENTAの「G1クライマックス」参戦表明について思うことを書いてみたい。
新日本プロレスで最も愛されるベビーフェイスであり、現ロス道場のヘッドコーチ柴田勝頼選手。彼の入場曲である「Takeover」が大阪城ホールに鳴り響いた時、僕は「新日本プロレスワールド」のボリュームを上げた。
姿を現した柴田勝頼選手はスーツに身を包んでいた。あの日から2年が経った。正直、正式な進退についての発表が行われると思った。
が、柴田勝頼選手が姿を現したの「Takeover」するためだった。
「引き継ぐ」。
柴田勝頼選手が指差した先から登場したのは元WWEのスーパースターKENTA(ヒデオ・イタミ)選手だった。
セルリアンブルーのリングに上がり「G1クライマックス」への参戦を表明したKENTA選手。
僕はいよいよ、来たかと思った。
実力、人気、知名度。全て問題なし。
ただ、新日本プロレスのヘビー級とは何か?「G1クライマックス」のエントリー基準とは何か。という点だけが気になってしまった。
そもそも新日本プロレスのヘビー級は100キロ以上が規定体重とされている。
柴田勝頼選手や飯伏幸太選手、ザック・セイバーJr.選手など100キロ未満の選手たちが「G1クライマックス」へのエントリーを果たしているため、細かすぎる点を言う必要はないだろう。
この点は大きな問題ではないのかもしれない。
ただし、僕たちは選ばれなかった痛みも知っている。
2018年でタイチ選手が「G1クライマックス」にエントリーされなかったことだ。
正規の大誤算
僕は2018年の「G1クライマックス」でタイチ選手の試合を楽しみしていた。いや、多くの方から待望論が浮かんでいたのは事実としてある。
ヘビー級転向後に体重を100キロに引き上げたタイチ選手は内藤哲也選手や棚橋弘至選手と好勝負を繰り広げた。
棚橋弘至選手戦で繰り出した三冠パワーボム。あの一撃で僕はタイチ選手に惚れてしまったのだ。
であれば、タイチ選手がヘビー級戦士たちとどんな試合を繰り広げていくのか。胸を躍らせてしまうのも致し方ないだろう。
ただし、「G1クライマックス」の選考から漏れてしまった。
Twitterでの声
ある選手にはTwitter場で罵声までが飛んだ。
「お前じゃなくてタイチを出せ」
参戦レスラーは立候補制ではなく、新日本プロレスが決定している。
であれば「俺に言うな」が素直なリアクションだと思うが、心無い声は新日本プロレスのアカウントを飛び越え、特定の選手にも及んでしまった。
こうした行動には1ミリも共感できないが、心の中でタイチ選手を望んでいたという気持ちは同じだったように思う。
こんなエピソードが2018年にあったのだ。
WWEを退団しました。世界に打って出る戦いがしたい。「G1クライマックス」に出してくれ。
これで通るのかと言われれば些か疑問が残る。いくら柴田勝頼選手のソウルメイトでも若干の疑問が消えなかった。
今の新日本プロレスで実績を
KENTA選手と同じ日に「G1クライマックス」の初参戦へ名乗りを上げた選手が3人いる。
ジョン・モクスリー選手と鷹木信悟選手、ウィル・オスプレイ選手だ。
ジョン・モクスリー選手は初参戦となった試合で「IWGP USヘビー級王座」に輝いた。
鷹木信悟選手は「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」でリーグ戦全勝。ウィル・オスプレイ選手は「NEVER無差別級王座」を獲得しただけでなく、スーパーヘビー級の選手を倒した実績がある。
全て、新日本プロレスのセルリアンブルーのリングの上での出来事だ。
では、KENTA選手はどうだろう。新日本プロレスで「G1クライマックス」に参戦表明する材料が少ないのではないか。
僕は実力、知名度、人気についてKENTA選手は確固たるものを持っていると思っている。
だからこそ、仮に「G1クライマックス」に出場が決定した時は圧倒的な試合を見せて欲しいのだ。でなければ、もしも彼がエントリーを果たしたことで、選考から漏れた選手のファンがまた胸を痛めてしまうので
最後にあの日のバックステージのコメントを載せておく。
柴田勝頼選手から引き継いだ。柴田勝頼選手が再びお客さまの前でリングの上に立った。
この光景を見せてくれたことについてはKENTA選手に心からお礼を伝えたい。
柴田「まずは日本にお帰り、ですね。彼が、私の知ってるKENTAを今日、呼び込みましたが、あとはもう、彼がのびのび思う存分、KENTAのプロレスをするだけです。俺ができることはここまで」
KENTA「もうまさに、いま言ってる通りで、まあ自分のプロレスがしたい、そういう気持ちもあって、WWEを辞めて。まあアメリカに対しても、自分のなかでまだやり残したことがあって、もう1回自分のプロレスをやって、もう1回世界に対しても、自分というものをアピールしていきたい。そういう中で柴田さんの存在があって、こういうことが起きて。もうホントに、あとはいま言った通り、まああとは俺がやるだけですね」
柴田「人生、どこでどうなるかわからないという。まさかこんな日が来るとは。俺はイメージしてましたけど。まあ、その通りになってしまいましたね」
--本人の口から『G1』という言葉が出ましたけど、これはもう、新日本プロレスへのメッセージというか……。
KENTA「そうですね、やっぱり、『G1』はホントに新日本プロレス 、ニュージャパンといえば世界中でも、まさに最高峰のうちの一つだと思うし、まあニュージャパンでもみんな、世界のどこでも通用する、いま団体だと思ういますし、そういうなかでしっかり自分というものを残して活躍することができれば、おのずと世界に対しても、また改めてKENTAっていうものをアピールできると思うし。『G1』はそれにとっては、一番いい場所なんじゃないですか」
--(WWEを辞めてから)いろんな選択肢があったと思いますが、新日本を選んだ一番の決め手は?KENTA「対世界ですね。今、新日本、世界に向けても凄く大きくなってますし、事実、4月、マディソン・スクエア・ガーデンをいっぱいにする団体ですし、選手の層を考えても、世界最高峰の一つだと思うし。そういう中できっちり自分というものを出せれば、対世界に対してもアピールしていける。そこが一番大きかったですね」
--考えれば大阪は、(WWE入りの際)ハルク・ホーガンに迎え入れられた場所ですね?
KENTA「そうですね。それは何の巡り合わせかわかんないですけど、また大阪から始まることになりましたね」
--いまの柴田選手は新日本プロレスのLA道場を任されてる立場なんですけど、LA道場での練習も考えてますか?
柴田「LA道場で? まあ、タイミングが合えば。いつでもウェルカムなんで。俺が協力できることはしますし、あとはもう、暴れてもらうだけかな。思う存分、KENTAのプロレスを。それに尽きると思います」
--柴田選手が想像するに、いまの新日本プロレスにKENTAのプロレスが入ったら、どうなると思いますか?
柴田「俺に(質問)? いやあ、おもしろくなるんじゃないですかね。まだ、なんだろ? 想像が未知すぎて……」
KENTA「“違和感”だと思いますよ。違和感があると思いますよ。でも逆に、そうでないといけないと思うし、僕がいる意味っていうのは。違和感でないといけないと思うんで。そんな闘いができればいいなと思いますね」
--『G1』でとなると一人で乗り込む形になりますけど、誰かと組んだりとかは?
柴田「『G1』ですからね」
KENTA「そうですね」
柴田「べつに仲良しこよし、リングの上でやるもんでもないし。そのへんはお互いの意識の中で確認する必要もない」
KENTA「友だちが少ないところも似てるし」
柴田「(※苦笑しながら)友だちが多いと、闘いづらいからね。唯一、ボクの数少ない友だちを連れてきました、っていうことです」
--日本を離れている間に新日本プロレスも様変わりしてると思いますけど、対世界というイメージはあると思うんですけど、ほかに気になる選手だったり、いまの新日本に対して具体的なものがあったりしますか?
KENTA「もう、ほぼやったことがない選手ですし、新日本に上がったっていったら、ボクの記憶する中では2002年とかそんなもんで。あれからいろんなものが変わってますし、もう、誰とやることに対してもすごく楽しみですね。(こんな答えじゃ)つまんないですか? 誰かって言った方がいいですか?(ニヤリ)」
--それは追々? 『G1』も出場が決まればブロック分けとかもありますし……。
柴田「OK? じゃあ、いいですか? ありがとうございました」
出典:新日本プロレス