内藤哲也が目の前の試合を大切にする理由とは

内藤哲也が目の前の試合を大切にする理由とは何か。

「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」を結成し、“制御不能”になって以降の内藤哲也選手は「トランキーロ」という言葉を使うようになった(正確には1人「ロス・インゴ」時代から)。

意訳すると「焦るなよ」。汎用性が高いこの言葉は内藤哲也選手が支持率を高めると共にプロレスファンの垣根を超えて使用される言葉となった。

もう一つ、プロフェッショナル仕事の流儀でも取り上げられたワードがある。

お客様。

ファンの方々をお客様と呼んでいる点である。諸説あるが、この言葉の意味には自分にブーイングを飛ばしていた人々に対しての皮肉も込められているという。

ただし、内藤哲也選手がファンを大切していることは周知の事実だ。

プロレス少年になって以降、暗黒時代の最中ヤングライオン・棚橋弘至選手の試合を見るために遠征や“密航”をしていた彼だけに、会場にお客様が詰めかけていることの大切さをより強く感じでいるのかもしれない。

そこでふと思った。

内藤哲也選手は次のシリーズに対して目を向けているレスラーに対して、今を大切にすべきじゃないのか?とよく問いかけている。

確かに、初夏にさしかかってきたこの季節になると「G1クライマックス」への気持ちが高まるし、師走の時期になるとイッテンヨン「レッスルキングダム」への機運が高まる。

新日本プロレスファンであれば、どうしても避けることができない高揚感。ただし、この気持ちも「トランキーロ」と水をかける。

内藤哲也選手が今、目の前の試合を大切にしている理由とは一体何なのか。

もう少し踏み込んでみたい。

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EVILへの提言

「KIZUNAROAD」のストーリーはYOSHI-HASHI選手とザック・セイバーJr.選手の「ブリティッシュヘビー級選手権試合」を中軸にEVIL選手が魅せる「G1クライマックス」に向けての感情を高ぶらせるシーンで進んでいった。

また、仙台大会で後藤洋央紀選手がLA道場から“凱旋帰国”を果たしたシーンも非常に印象的なエピソードだった。

全ては「G1クライマックス」へと続いていくストーリー。その展開に内藤哲也選手が普段どおり待ったをかけた。

EVILはもう、“G1モード”に突入してるってことかな? いいんじゃないの? だって同じリングに、SANADAも、鷹木も、内藤も、そして飯伏もいるわけでしょ。そりゃあ、俺も燃えてくるよ。でもさあ、こんな時こそ、トランキーロだぜ、EVIL。だって、われわれLOS INGOBERNABLES de JAPONは、次に、今週末かな、イギリスで試合が控えてるからね。俺、思うんだよね。目の前の試合を大事にできない人間に、未来はないかなって。だから俺は、今、イギリスの試合に集中したいよ。集中しなきゃいけないと思ってるから。まあ、『G1』を見据えてないことはないけどさあ、今、一番大事なのは目の前の試合、イギリスの試合だと俺は思うからね。イギリスのお客様に、LOS INGOBERNABLES de JAPON、そして内藤哲也のプロレスを存分に堪能してもらいますよ。じゃあ、ちょっと俺、このあと用事があるんでね。急いで行かなきゃいけないんで。また皆様、どこかでお会いしましょう。アディオス

 

内藤哲也選手が「急いでいなければならない」と語った場所は99%広島東洋カープの試合だろう。

日本一鯉煩いをしているプロレスラー内藤哲也選手。

プロレスと広島カープにしか興味のない男が試合が終わった後に選んだのは、赤ヘル軍団だった可能性が高い。

今の重要性

内藤哲也選手は「今」のシリーズを重要視する。

先のことを意識しつつも、目の前の一戦一戦の大切さを問う。

毎年恒例となっている「ワールドタッグリーグ」への提言もそう。

レスラー、観客のモチベーションを意識つつ、言葉を発してきた。

その本質にあるものは何なのか。

 

その答えについて僕は大きく2つの理由があると感じ取った。

まずは、次にプロレスを生で見ることがない観客に対して、全身全霊を尽くすということ。

常に100%の試合を魅せる。

そして、新日本プロレスの主役を豪語したからには、土地に関係なく新日本プロレスの興行に出続ける義務があるということ。

次に膝の状態だ。「プロフェッショナル仕事の流儀」で明らかにされた1シーンだが、毎シーズン毎に内藤哲也選手は膝に溜まった水を抜いている。

その施術を行う際、我々には想像も及ばないほどの激痛が走るという。

「痛いけどこれはやらなければならない」

苦笑いで語った内藤哲也選手であったが、その裏側にあるのは次に膝を故障した場合、プロレスラーとしてのキャリアが終わる可能性があるという申告を受けているのだ。

であれば、未来のことに目を向けるよりも今のお客様を大切にするのも真理なのかもしれない。

「G1クライマックス」へ向けて機運を高めて普段を疎かにするわけにはいかない。

そうした取り組みを「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」として取り組んできたからこそ、今があるのだ。

 

キャリアを考える

今、この瞬間に集中すること。これは禅の世界に通じるものがある。

過去でも未来でもない。

今に目を向け、今を意識すること。

その境地にたどり着いた内藤哲也選手だったからこそ、誰も到達できないような頂を目指すことができているのかもしれない。

僕はこう思う。

内藤哲也選手の試合はもちろん素晴らしい。

ただ、久しぶりの大合唱にもにも期待しているのだ。

新日本プロレスファンが最高に爆発する瞬間を作り出せるのは限られたレスラーである。

その中の1人に内藤哲也選手は名を刻んでいる。

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