オカダ・カズチカと棚橋弘至がダラスで魅せた極上スマイル

オカダ・カズチカと棚橋弘至がダラスで魅せた極上スマイルは何度見ても堪らない。

いよいよスタートした新日本プロレス真夏の最強戦士決定戦「G1クライマックス29」。その開幕は歴史上初となる海外で行われる運びとなった。

覚醒したランス・アーチャー選手へ果敢に向かっていくウィル・オスプレイ選手。

邪道外道直伝のラフ殺法でEVIL選手を沈めたバッドラック・ファレ選手。

「息をつかせぬノンストップレスリング」テクニカルな攻防のみで構成された試合が度肝を抜いたSANADA選手とザック・セイバーJr.選手。

飯伏幸太選手を破ったKENTA選手。

そして、メインイベントである。

現「IWGPヘビー級王座」に輝くオカダ・カズチカ選手と「G1クライマックス28」の覇者であり、イッテンヨン「レッスンキングダム」のジンクスをぶち破った棚橋弘至選手による一戦だ。

2018年は30分引き分けで棚橋弘至選手が優勝決定戦へ駒を進めた。赤髪バルーンお兄さんとなったレインメーカーと新日本プロレスのど真ん中へ返り咲かんとするエース。

2人の「絶対に負けられない」という攻防は非常に胸を打つ試合となったように思う。

ただし、あれから色々なことがあった。

2人は“友だち”となり、同じコーナーに立つ機会も増えた。そうして対峙した今回の開幕戦では、いい緊張感の中試合に臨めていることがヒシヒシと伝わってきた。

試合開始のゴングが鳴り響いた時の大歓声。

新日本プロレスのレスラーが全員で作ってきた海外人気を象徴するものになったと思う。

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スタンディングオベーション

「IWGPヘビー級王者」オカダ・カズチカ選手と「G1クライマックス28」の覇者である棚橋弘至選手がセルリアンブルーのリングで対峙した際、正直度肝を抜かれた。

ダラスに集まったファンがスタンディングオベーションで、2人の試合を祝福したのである。

僕はこの瞬間、思わず震えてしまった。

会場を笑顔で見渡す若きチャンプから貫禄のある絶対王者となったオカダ・カズチカ選手。

満足気な表情を表に出さないように堪えつつ、自らの歩んだ道が間違っていなかったと噛みしめる“新日本プロレスのエース”棚橋弘至選手。

2人の顔とこの日を待ち望んでいたファンの姿を見るだけで胸が熱くなった。

そう、この日のダラスは2人の直接対決を生で見たいと思ったファンたちが詰めかけていたのである。

まさに絶景。綺麗事じゃなく、本当に胸がいっぱいになる光景だった。

 

昨今、新日本プロレスが海外で試合をすることは非常に増えた。

その戦略に遺憾の意を示すファンがいることも僕は重々承知している。

ただし、この日ダラスに集まったファンたちは、同じ熱量で新日本プロレスの試合を生で観れることを楽しみにしていたのである。

であれば、同じファン同士想いは一緒なのではないか。

あなたの街に新日本プロレスがやってくる。この気持ちは肌の色や扱う言語が違っても同じなのだから。

 

比類ない空気感

この日の公式戦はこれまでと発する空気が違っていたと感じたのは僕の錯覚だったのだろうか。

棚橋弘至選手が語っていたヒーローのカラーをコスチュームに取り入れたオカダ・カズチカ選手。

最後にシングルマッチで争った2018年9月23日の「IWGPヘビー級王座挑戦権利書争奪戦」を経て、2人は“友だち”になった。

あれほど仲間はいても友だちはいらないと語っていた棚橋弘至選手に友だちができたのだ。

あの日以降、ドリームタッグと称された2人は同じコーナーに立つことが珍しくなくなった。

だからだろうか、以前のようなギスギスした雰囲気が一新され、「どちらが強いか決めよう」という空気が流れていたように感じたのは。

そう、ドラゴンボール超の最終回で孫悟空とベジータが対峙した雰囲気であり、スクライドでカズマと劉鳳が最後の決闘を行ったようなストーリーを感じさせた。

シンプルに今どちらが強いかを競う。これだけを目的にした試合はこれまでの2人になかった爽やかさと意地を感じさせるような好勝負になった。

 

ロックアップとレインメーカー

試合のスタートは新日本プロレスの基本であるロックアップから。

“友だち”とは言え、油断も手加減もなし。単純なチカラ比べから試合は始まった。

試合の詳細については、新日本プロレスワールドを見ていただければと思うのだが、とにかく棚橋弘至選手がすごかった。

現在の新日本プロレスを象徴する強さを魅せるオカダ・カズチカ選手を前に一歩も怯むことなく、次々と技を繰り出していった。

目を見張ったのはオカダ・カズチカ選手がドラゴンスクリューを見舞ったシーンだ。

ドラゴン殺法を武器に新日本プロレスを席巻した棚橋弘至選手に対する掟破りの一撃。

ここから試合の熱は更にエスカレートしていった。以前、棚橋弘至選手がV11を刻んだ時代のリバイバルだ。

22分に及んだ試合のフィニッシュはオカダ・カズチカ選手のレインメーカーだった。

今の絶対王者が棚橋弘至選手から白を引き継ぎ、新日本プロレスのど真ん中に立った。

そう、2人が紡いできた物語がライバルとしては、一時の完結を迎えたような試合だったように思う。

この日、アメリカのファンに押された消えないスタンプ。

鳴り響くことのない拍手は、新日本プロレスが世界中で愛されていることを証明するものだったのだ。

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