なぜ、内藤哲也は矢野通に3分で敗れたのか

なぜ、内藤哲也は矢野通に3分で敗れたのか。多くの新日本プロレスファンが唖然とした瞬間について振り返ってみたい。

いよいよ幕が開けた新日本プロレス真夏の祭典「G1クライマックス29」。

Bブロックにも数多くの猛者がエントリーして、眼を見張る攻防が繰り広げられた。

事実、公式戦がスタートすると“ガイジン”レスラーが目立つ試合が続いた。

内藤哲也選手と同じ「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」のメンバーである鷹木信悟選手はジュース・ロビンソン選手に、タイチ選手はジョン・モクスリー選手に敗れた。

日本人レスラーが2連敗した状況での日本人対決となった内藤哲也選手VS矢野通選手の一戦。

試合当日、新日本プロレスの公式スマホサイトでは、内藤哲也選手のインタビューが無料で公開されていた。

自身と同じBブロックにエントリーしたレスラーを“値踏み”するコメントを残す内藤哲也選手。

矢野通選手の実力は認めているものの、「G1クライマックス」という文脈においては辛辣なコメントを残していた。

そう、内藤哲也選手には油断の二文字はない。それでも内藤哲也選手は2年連続の黒星スタートなってしまったのだ。

まさに、矢野通選手恐るべしと言ったところだろう。

f:id:yukikawano5963:20190714062641p:plain

敏腕プロデューサーは制御不能

まずは新日本プロレス公式スマホサイトに掲載された内藤哲也選手のインタビューを振り返ってみたい。

内藤哲也選手は「G1クライマックス29」初戦が矢野通選手に決まったことについて、こう答えている。

内藤 ハハハ。過酷と言いつつ、いきなりそうじゃないのが来ましたね(笑)。さっき出場資格の話をしましたけど、俺が予想していたメンバーの中に矢野通っていう名前はなかったですよ。ここ数年思い続けてることですけど、「なんで、矢野通が出られるんだろう?」っていう。

――たしかに矢野選手は負け越しが多いですが、レスリングの強豪という地力や、独特なファイトスタイルで星取りに波乱をもたらすスパイス的存在というか。

内藤 スパイスつながりもあって、リングでカレーの宣伝してるんですか?(笑)。あの人は『G1』を宣伝・販売促進の場と捉えてるのか、優勝を狙ってる気が微塵もしないですからね。

――『G1』にセールスマンはいらない、と。

内藤 そう、“笑うセールスマン”はいらない(笑)。まあ、もし自分がファンの立場だったら、「どんでん返しをやらかすかもしれない」と思って、楽しんで観る選手かもしれないし、普段戦うぶんにはほかの選手と異なるスタイルなので、おもしろかったりするんですけど。

――『G1』でなければ、ということですね。

内藤 ほぼ頭脳勝負というか、矢野戦でしか味わえないものがあるんで。でも、『G1』にはいらないですよ、勝ったところでコッチも「スタートダッシュに成功!」みたいな気持ちにもならないだろうし(笑)。初戦ということはまだ連戦の疲れもないし、足元をすくわれるはずもない。だから、俺は今年の公式戦は“8試合”のつもりですよ。

出展:新日本プロレス

内藤哲也選手クラスであれば、油断で足元をすくわれるということは考えにくい。

つまり、内藤哲也選手は矢野通選手へ頭脳戦(短期決戦)を挑み、敗れたことになる。

改めて忘れてはならない。

2018年で矢野通選手は飯伏幸太選手とケニー・オメガ選手の両名にシングルマッチで勝利した実績を持つレスラーである。

特に飯伏幸太選手との試合では伝説のあの技が登場した。そう、矢野通選手がフェアプレイを宣言しつつ、勝つことの意味を教えてくれたあの日の試合だ。

 

一撃必殺の日大タックル

「早く!早く!早く!早くしろよ!焦ってるよ!」

最近ではすっかり試合前の焦らしが少なくなってきた内藤哲也選手だが、この日の相手が矢野通選手だととことん、焦らす攻撃に出た。

とにかくスーツを脱ぐのが遅い。本当に遅い。こんなにダラダラしている内藤哲也選手を見たのは久しぶりだった。

更にはシングルマッチとしては非常に珍しく、Tシャツ着用で試合はスタート。レアなパンにこれまたレアなバターを塗ったような組み合わせの中、試合開始を告げゴングが鳴り響いた。

 

だが、まだかまだかと待ち焦がれた試合はカップラーメンを作るほどの時間で終了してしまったのであ。

試合内容としては事前のコメント通り、矢野通選手とのシングルマッチを楽しむ方向にあったと思う。

矢野通選手をオマージュしたムーブを魅せる内藤哲也選手。

コーナーマットを外したり、コーナーロープでターザンをしたり。

矢野通選手の土俵に乗った内藤哲也選手。

しかし、矢野通選手はその上を行った。

レフリーのブラインドを突くことは数あれど、Tシャツを捲り上げて、死角を生み出したのは初めて見た。

そして、内藤哲也選手にもTシャツで目隠し。更には日大タックルで完全KO。

まさに敏腕プロデューサーにおける“制御不能”な連係技のフルコースだ。

 

IWGPインターコンチネンタルへ

「G1クライマックス29」の最新情報や考察はこちらもチェックいただきたい

内藤哲也選手は現在の「IWGPインターコンチネンタル王者」である。今回のシングルマッチの直接対決で敗れた結果、矢野通選手はまず夏男の称号を掴む前に「IWGPインターコンチネンタル王座」に挑戦する権利を得たと言えるだろう。

ちなみに内藤哲也選手は「G1クライマックス29」のグループリーグ突破レスラーアンケートでぶっちぎりの1位だった。

慢心は無かったが、上を行かれた。ある意味でザック・セイバーJr.選手以来の完封負けを喫することとなってしまった。

北海道登別市の観光大使となった矢野通選手。勝てば勝つほど都市のPRにつながるだけに、今年の「G1クライマックス」では法令を遵守しつつ、勝利を目指し続けることが予想される。

「I am TAISHI!!!」

2019年、矢野通選手の夏は観光大使としての実力を魅せつける季節になりそうだ。

→人気プロレスブログはここからチェック!

→NJPW FUNのTwitterフォローはこちら