日米ヤングライオン対決と辻陽太の言葉

日米ヤングライオン対決と辻陽太の言葉について書きたい。

LA道場のヘッドコーチ柴田勝頼選手が作り上げだ青い目のヤングライオンたちは、野毛道場で育った純正培養の若獅子と同等以上に伝統的な新日本プロレスのDNAを持つレスラーに育っていた。

「G1クライマックス29」を前に打倒・ジェイ・ホワイトを掲げた後藤洋央紀選手が選んだのはLA道場だった。柴田勝頼選手は環境の魅力についてこう語っている。

「娯楽がない。鍛えるには最適な場所である」

なるほど。というレベルにしか考えていなかったが、よくよく考えると確かにそうである。

日本のヤングライオンたちは興行の運営や先輩の世話を含めた仕事を受け持っている。

スムーズな試合が観れるのは彼らの力によるものも大きい。また、先輩の技を目の前で見ることで、盗むのも一つのレベルアップにつながると言えるだろう。

ただし、LAのヤングライオンたちは練習(トレーニング)に特化した環境にいると言える。

身近に遊ぶ場所もない。カラッとした気候。そして、目を光らせているヘッドコーチは柴田勝頼選手。

強くなるために特化した環境がそこに広がっていると言えるだろう。

柴田勝頼選手に「ビッシビシ」鍛えられたLAのヤングライオンがいよいよ新日本プロレスに輸入する展開となった「G1クライマックス29」。

カール・フレドリックス選手とクラーク・コナーズ選手が魅せたのは、あまりにもヤングライオンとして魅力的な試合だった。

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昭和の匂いがする

これは以前からだが、辻陽太選手が発するバックステージのコメントが非常に面白い。

岡知之(現、グレート・オー・カーン)選手から新日本プロレスのエース棚橋弘至選手の付き人を引き継いだアメリカンフットボール出身の逸材が秘めたポテンシャルは半端ではない。

ここで取り上げたいのは2つ。試合内容。次にコメントである。

まずは試合内容から。「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」“制御不能”なカリスマ内藤哲也選手が「プロフェッショナル 仕事の流儀」で試合を楽しみに見ていたレスラーが辻陽太選手だった。

「辻がどんな試合したのか気になるんですよね」

元々、内藤哲也選手は大の新日本プロレスファン。ヤングライオン時代の棚橋弘至選手に惚れ込み、彼の勇姿を見るために遠征までしていたほどの熱心なファンだった。

そんな内藤哲也選手も認める辻陽太選手のプロレスとは一体何なのか。

気持ちが伝わるプロレス

辻陽太選手のプロレスは見ていて非常に分かりやすい。自分でテーマを設けて、敵視し、気持ちをぶつける。非常にシンプルなのだ。

今の自分にできることを精一杯やる。感情をさらけ出す。

ヤングライオンが担当する第1試合には新日本プロレスの“素体”を伝えるという役割がある。

辻陽太選手は泥臭くリングでぶつかる。そんな彼の試合だからこそ、大きく会場が沸くのだ。

 

柴田勝頼の教育方針

辻陽太選手の言葉の話に入る前に、LA道場のヤングライオンについて語りたい。

カール・フレドリックス選手とクラーク・コナーズ選手は見事なまでのヤングライオンだった。いや、むしろ柴田勝頼選手が見ていたヤングライオン像を現在にリバイバルさせたと言っても過言ではない。

ロックアップや足関節。気持ちの表現方法。

その全てが新日本プロレス過ぎるほどの輝きだったのだ。

ある意味で野毛道場で育ったヤングライオンよりもより古風なストロングスタイルを背負った2人がリング上で躍動していた。

当然、対角線上に立つ日本のヤングライオンは面白くない。

海野翔太選手、成田蓮選手はいつも以上の気迫を魅せる試合運びを見せた。だが、初対決で敗れた。

明らかにLA道場のヤングライオンは強かった。

柴田勝頼選手が現在行なっている“プロレス”は野毛道場の教えに匹敵することを証明したのだ。

 

目標を口にする棚橋弘至からの教え

ここで辻陽太選手の言葉を見てみよう。

最近、LA道場のヤングライオンが日本に来てるけど、正直言ってどうでもいい。俺はオマエらに興味なんてない。俺の目標は東京ドームの第1試合。もしオマエらがその道のりに立ちはだかるなら、オマエらを踏み台にさせてもらうだけだ。それよりも、日本のヤングライオン、オマエたちに言いたいことがある。オマエら最近、色気づいてスープレックスとか使ってるけど、ヤングライオンとしてのプライドをしっかり持ってるのか? ヤングライオンは船であり、鎖なのかもしれない。だが、俺はヤングライオンの誇りを胸に、オマエたちと戦っていく!

出典:新日本プロレス

どう考えてもLA道場のヤングライオンに注目が集まるタイミングで、辻陽太選手は海野翔太選手や成田蓮選手、上村優也選手を挑発したのである。

「LA道場!負けねぇぞ!」これが一般的な噛み付き方である。

そこで、「そんなことより」と言い放ったのだ。

ヤングライオンとは何か。今しか体現できない“闘志”だけをぶつけるプロレスが大切なのではないか。

巧さは俺たちにはまだ早い。ガムシャラな生き様こそが、明日につながっていくのではないか。

日米ヤングライオン対決の裏で辻陽太選手は、若い獅子がセルリアンブルーのジャングルで生きるために必要な自論を説いている。

いつかこの日の言葉が「お前は昔からこうだった」につながる日を楽しみに待っている。

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