ジョン・モクスリーと海野翔太が新日本プロレスの歴史を変える
ジョン・モクスリーと海野翔太が新日本プロレスの歴史を変える可能性について考えてみたい。
現在、新日本プロレスは真夏の最強戦士決定戦「G1クライマックス29」の真っ只中。
2019年7月18日の本日から、後楽園ホール三連戦がスタートする。
連日に及ぶ激戦。昨年の覇者・棚橋弘至選手や準優勝の飯伏幸太選手。内藤哲也選手、ジェイ・ホワイト選手が出だしから2連敗を喫するなど、波乱の幕開けとなったリーグ戦で好調をキープしているのが、ジョン・モクスリー選手である。
内藤哲也選手を破ったタイチ選手、元「NEVER無差別級王者」ジェフ・コブ選手を連続で撃破。
現在、石井智宏選手、ジュース・ロビンソン選手と並び1位にマークしている。
シンプルな技とダーティーファイト。
基本と応用が上手くミックスした試合ぶりは圧巻そのものであり、一挙手一投足に目を奪われる試合は非常に素晴らしい。
まさに世界のスーパースター。そんなディーン・アンブローズいや、ジョン・モクスリー選手の試合を最も間近で体感しているのが“ヤングライオン”海野翔太選手だ。
「ニュージャパンカップ」にも参戦を果たし、海外遠征を間近に控えた若獅子はデスライダーの隣でどんな景色を見ているのか。
新日本プロレスとAEW。2つの団体を股にかける師弟タッグに未来のBATTとなる可能性を感じつつ、2人について考えてみたい。
あの日の第1試合
2019年6月9日に行われた「DOMINION 6.9 in OSAKA-JO HALL」で迎えた“ヤングライオン”と“スーパースター”の会遇は3分52秒で終わった。
大阪城ホールの第1試合。「IWGP USヘビー級王者」によるグリーンボーイの秒殺劇に、この対戦カードが組まれた理由自体に疑問符が浮かんだ方も少なくなかっただろう。
ただし、ジョン・モクスリー選手が魅せた2つのアクションにより海野翔太選手の運命は大きく変わることになる。
まず、「G1クライマックス29」に参戦を表明したこと。次に敗れ去った海野翔太選手の肩に手を回し、連れ去ったことである。
ジョン・モクスリー選手はバックステージでこう発言している。
よくやったぜ若いの。おまえ、良いよ。素晴らしいヤングライオンだ。素晴らしいヤングライオンよ、俺のベルトちょっと持っていてくれ(といってUSヘビーのベルトを持たせる)。俺はコイツが気に入った。俺にとってのヤングライオンでもある。だからコイツをスパーリングパートナーにしてもいい。オイ、ロッポンギまで俺を連れて行ってくれないか。それはさておき、俺が今日この試合に臨んだのは、1つのはっきりした意識を持ってリングに上った。それはここがニュージャパンだからだ。それが何を意味するか、おまえらわかるだろ
海野翔太選手が秘めたポテンシャル。その才能を肌で感じたジョン・モクスリー選手は海野翔太選手をスパーリングパートナー(弟子)にすることを公言。その後、新日本プロレスはジョン・モクスリー選手の「G1クライマックス29」エントリーと共に、海野翔太選手が前哨戦の際、同じコーナーに立つことを発表した。
世界を震撼させたトリオユニット「ザ・シールド」のメンバーが次に選んだのは、天龍源一郎さんのレスリング人生を締めくくる3カウントを叩いたレッドシューズ海野レフリーのご子息 海野翔太選手だったのだ。
吉田綾斗選手とのライバルタッグを経て、師弟タッグへ。
海野翔太選手が送っているヤングライオンライフは余りにも深い。
新しい海外遠征
カワトサンやグレート・オー・カーン選手のように、そろそろ海野翔太選手にも海外遠征の時期が近づいて来た。
いや、いよいよ本格的に準備が始まる時期だと言えるだろう。
イギリス、メキシコ、アメリカ。海野翔太選手が選ぶのはどこの国なのだろうか...。いや、国ではなく、ジョン・モクスリー 選手という可能性がある。
そう、師弟コンビとして国内外を股にかけるタッグチームへと滑らかに変化していくのだ。
ある意味で次世代型の海外遠征(武者修行)だと言えるだろう。
AEWを中心に様々な団体を渡り歩く2人。もしも、そんな展開となったならこんなにワクワクすることはないだろう。
ショータ!
ロビンマスクとウォーズマンではないが、師弟タッグの魅力や今後についてここまで書いてきた。
海野翔太選手に旨みがあると感じがちだが、実際のところジョン・モクスリー選手にも大きなメリットがあった。
それは、ジョン・モクスリー選手の立ち位置がハッキリと定まった点にある。
例えば、クリス・ジェリコ選手。SNSを通じてレスラー同士が持つ“裏”の関係性を発信したが、新日本プロレスのリングにおいて対戦相手以外の絡みは無かった。
ケニー・オメガ選手、内藤哲也選手、EVIL選手、オカダ・カズチカ選手。それぞれの対角線に立ち盛り上がることはあったが、それ以外でのつながりが生まれることはなかったのだ。
非常に難しい話ではあるが、クリス・ジェリコ選手はあくまでも外敵だった。だが、ジョン・モクスリー選手は少々毛色が異なる。
参戦したタイミングでジュース・ロビンソン選手はドレッドを切り落とし、海野翔太選手を弟子(スパーリングパートナー)にした。
奪取した「IWGP USヘビー級ベルト」を大事そうに抱えながらジョン・モクスリー選手の後に食らいついていく海野翔太選手。
魅力的な人間性以上に人が目を奪われるのが魅力的な人間関係である。
そして、海野翔太選手はジョン・モクスリー選手から多くのことを学ぼうと、全ての感覚を研ぎ澄ませている。
辻が今日、組んだけど、昨日コメントで言ってた。俺、読みました。『俺と成田、スープレックスを使って色気づいて、ヤングライオンのプライド、忘れてる』って。そんなことないよ。俺も成田も、早く上にいきたくて、早くチャンピオンになりたくて、あがいてあがいて、必死に上にいこうとしてんだよ。悔しかったら、じゃあ、俺らから勝ってみろ。今シリーズ、上村と一緒に闘うこともあるから。そん時、全力で叩きのめしてこい。ただ俺は俺で、ジョン・モクスリーについていくのが精いっぱいで、ジョン・モクスリーの背中しか、今は見てません
ジョン・モクスリー選手は2人のレスラーと関係性を深めたことで、新日本プロレスでの立ち位置を手に入れた。そして、新日本プロレスに対して強い尊敬の念を抱いていることがメディアを通じて発信されてきた。
そう、ここから更に人気と支持率がグンと上がっていくことは間違いない。
そして、この2人の関係がどんな星座へと広がっていくのか。新日本プロレスが世界で広がっていく担い手になる可能性は高いと思う。