インターコンチネンタルとUS。IWGP格付けの行方

僕は以前から、インターコンチネンタルとUS。IWGP格付けの行方について考えていた。

2016年まで純白のベルト「IWGPインターコンチネンタルベルト」は中邑真輔選手と共にあった。

オカダ・カズチカ選手ですら叶わなかった「IWGPヘビー級ベルト」の最年少戴冠記録を持つ中邑真輔選手は、後藤洋央紀選手を破り手に入れたベルトについて「10円玉」とと豪語し、デザインの変更を求めた。

自分色に染め上げたベルトは彼の新しい“遊び道具”として共に新日本プロレスの新しい歴史を作っていくこととなる。

AJスタイルズ選手、飯伏幸太選手、棚橋弘至選手、桜庭和志選手、柴田勝頼選手など様々なレスラーが中邑真輔選手と「IWGPインターコンチネンタルベルト」に挑んでいった。

そして、数々のドラマを生んだ。

時は流れ、現在では主に2人の所有物と化している。1人は白いベルトを愛し抜き大切そうに抱きしめる愛夫・飯伏幸太選手。

もう1人は散々、振り回し興味がないと罵り、サディスティックに攻め抜いた挙句、「お前が必要だ」とこの上ないアメとムチを実現した内藤哲也選手。

白いベルトは2人の男の間で揺れている。

では、赤いベルト「IWGP USヘビー級ベルト」はどうだろう。

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赤いベルトとは

ケニー・オメガ選手、ジェイ・ホワイト選手、ジュース・ロビンソン選手を経て、Cody選手へ。

Cody選手の眩しいビジュアルに「IWGP USヘビー級ベルト」はよく映えた。が、今はもう新日本プロレスにはいない。

2019年7月、現在の所有者は現役バリバリのスーパーであるジョン・モクスリー 選手である。

2019年6月に新日本プロレスマットに参戦を果たすと、海野翔太選手をスパーリングパートナーに迎えいれ、リング内外での物語を一気に作り上げてきた。

今ではすっかり新日本プロレスにとって欠かすことができない存在である。

そしていよいよ今日。

白の王者・内藤哲也選手と赤の王者・ジョン・モクスリー選手が激闘するのである。

まさに「IWGPインターコンチネンタル」と「IWGP USヘビー」の正面対決。どちらの男が上なのか。どちらのベルトが上なのか。

その一つの答えが出る瞬間が愛知県名古屋市で訪れたのだ。

結論から言えば、ジョン・モクスリー選手が勝ち、内藤哲也選手が敗れた。

勿論だが、勝敗だけがプロレスではない。内藤哲也選手はこれ以上ないほどのインパクトを残した。

 

春の風物詩を夏に

本題に入る前に、この日の第5試合についても書きたい。

「CHAOS」の同門対決・矢野通選手VS後藤洋央紀選手である。いよいよ発売となった新作を徹底的にPRしながらリングへと上がる矢野通選手。

「LA DOJO」Tシャツを見にまとい、真っ直ぐリングを目指す後藤洋央紀選手。その際、矢野通選手はロープを上げて、リングインを促した。

「コンプライアンス厳守」

「矢野通コール」が響く会場に対して、「CHAOS」コールを要求する矢野通選手は背中にTシャツを隠し持ち、奇襲を仕掛けた。

細かやなグラウンドテクニックで何度も丸め込みを狙う矢野通選手。

だが、金的攻撃を見切った後藤洋央紀選手はあの技を抜いてきた。

出せば決まる 百発百中 問答無用 天下無敵の「後藤式」である。

丸め込みと固め技のハイブリッドに矢野通選手は肩を上げることができなかった。

試合時間は1分42秒。荒武者による秒殺劇となった。

制御不能な牛歩

前哨戦からジョン・モクスリー選手を徹底的に焦らすべく、これまでに見たとかない入場シーンを内藤哲也選手は披露した。

おそらく「1人ロス・インゴ 」時代と同じかそれ以上に遅い入場。ノロノロとしていたあの頃とは違い、明確にジョン・モクスリー 選手に対してのメッセージを感じたように思う。

リングに上がっても今度はコスチュームを脱ぐのが遅い。最終的にパンツを投げつける等試合開始前から制御不能な世界観へとデスライダーを誘っていった。

 

ダブルアームDDT

場外戦を含めてお互いの色が濃く出た16分41秒だった。内藤哲也選手は全体のペースを握りつつも、最終局面で一歩足りなかった。そんな印象を受けた試合となった。

内藤哲也選手のバレンティアが決まらずに、ジョン・モクスリー選手のダブルアームDDTが炸裂した。

ほぼノーモーション。続いて、デスライダーでフィニッシュ。

内藤哲也選手が黒星を喫してしまった。一体誰がジョン・モクスリー選手を止められるのだろうか。

 

狂犬の子

試合後、バックステージに姿を現したジョン・モクスリー選手は狂犬の子である海野翔太選手にコメントを求め、次なる試合への意気込みを大きく語った。

アイ・ラブ・ユー、ニュージャパン。あいつが俺を傷つけようと思っていた以上に、“トランキーロ野郎”の首を打ち砕いてやったぜ。ジョークの一つも口にできないほどにな。カモン(※といって海野を呼び寄せる)。あとはお前がしゃべれ。カメラの向こうにいるヤツらに伝わるようにしゃべるんだ。中指を立てて、俺たちを見ているヤツらの頭に残るようにしゃべるんだぞ。お前の言葉で伝えるんだ。さあ……」
海野「(※モクスリーの隣で同じポーズを取る。しばらく黙ってると、モクスリーに『ほら、しゃべれ』と言われて)ジョン・モクスリー、ウィル・ビー・ア・ウィナー・オブ・『G1 CLIMAX 29』」
モクスリー「彼の心から言葉だ。しっかり心に届いたか。よし、行くぞ。決闘だ

「決闘」。ジョン・モクスリー選手が次の公式戦、8月1日、福岡・福岡市民体育館で会いたいするのは曲者・矢野通選手だ。

全勝ロードをストップさせるのは、内藤哲也選手、ジェイ・ホワイト選手から白星を飾っている、崇高なる大泥棒しかいないのかもしれない。

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