棚橋弘至とEVIL。愛と闇のメインイベント一騎打ち
棚橋弘至とEVILによる愛と闇のメインイベント一騎打ちが本日、2019年7月30日行われた。
今思えば、2018年後半からEVIL選手は辛酸を舐め続けてきた。深い深い一筋の光すら差さない谷のさらに奥。なにを書いているのか自分でも分からなくなりそうだが、とにかく結果が出ない日々が続いていたように思う。
ザック・セイバー選手との因縁に決着をつけるべく挑んだ両国ではクリス・ジェリコ選手の襲撃にあった。
闇の王が深淵にまで足を進めて挑んだクリス・ジェリコ選手との一戦には惜しくも敗れ去った。
タッグパートナーとして組んでいたSANADA選手はメキメキと頭角を現し、EVIL選手との序列をひっくり返した。
気付けば「ニュージャパンカップ」で準優勝を飾りオカダ・カズチカ選手のライバルに指名されるまでの存在となった。Numberのプロレス総選挙では棚橋弘至選手、内藤哲也選手、オカダ・カズチカ選手に次ぐ4位をマーク。
なんと飯伏幸太選手を抑えてのランクインとなった。
“相棒”は一気にスターダムを駆け上がった。
では、EVIL選手はどうか。
2019年前半のEVIL選手は自分の殻をやぶることに費やしていたように思う。
石井智宏選手を対角線に迎え、自分の価値や存在を確かめる日々。
そんな闇の王のガムシャラな姿は多くのファンの胸を打った。
闇の奥で見つけた蠍
ザック・セイバーJr.選手、クリス・ジェリコ選手。そして、石井智宏選手と抗争を重ねる度にEVIL選手は一つずつ階段を登っていった。
EVIL、ダークネスフォールズ、バンシーマズルに続く新技・ダークネススコーピオンが封切られたのもこの時期である。
新日本プロレスにおいてサソリ固めが意味するものは大きい。
EVIL選手に心酔しているミラノコレクションA.T.さんから見ると、長州力さんのサソリ固めとダークネススコーピオンは非常に似ているらしい。
EVIL選手は元新日本プロレスの現場監督・長州力さんのように燃え盛る炎のような存在へと進化しているのではないだろうか。
現代の革命戦士。
そう、「G1クライマックス29」の開幕直前からEVIL選手は「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」のグータッチに参加しなくなった。
革命のために何が必要なのか。EVIL選手の瞳には何かが映っている。
愛と闇の間
一方で棚橋弘至選手である。昨年の覇者は「G1クライマックス29」を黒星でスタートすると、初参戦のKENTA選手にも紙一重で敗戦を喫してしまった。
ただし、その後は順調に勝ち点を重ねてグループ2位タイにまで順位を伸ばしている。
オカダ・カズチカ選手との直接対決に敗れているせいで、優勝決定戦へ駒を進める可能性は若干の厳しさがある。
ただし、新日本プロレスのエースはこれまでも数多くの道を切り開いてきた。
凱旋帰国から早いもので4年が経とうとしている闇の王を前にしてしっかりと勝ち星を掴むのだから、言葉の真実味も増してくるというものだろう。
「ちょっくら、連覇してきます」
EVIL選手との激闘を制した後にこうコメントを残した。
ハイフライ(フロー)で、波を起こします。やりたくなくて、ハイフライを使わなくなったんじゃなくて、飛ぶ勇気がなかったから、飛ばなかった。でも、覚悟を決めたんで。(※腰に挟んでいたファンからのメッセージが書かれた紙を取り出して)ちいちゃい子も、女の子も、応援してくれてるから。こないだも言ったけど、自分との、自分の気持ちとの闘いです。先入観を壊す。弱い気持ちに負けない。これで勝ち星先行。よし、あきらめない。そして、EVILにひとこと言っとこうかな。ちょっと、上から言われるのは、本人、気に食わないかもしれないけど。すげぇレスラーになったなあ……
締めるのはどちらか
すげぇレスラーになったなぁ。
エースから贈られた言葉はシンプルながら深みしかない。
新日本プロレスV字回復の立役者であり、2019年のイッテンヨン「レッスルキングダム」でこれまでのジンクスを打ち破り「IWGPヘビー級ベルト」を奪還した棚橋弘至選手。
そんな彼から闇の王に贈られたのは、先輩ココロのある言葉だったのだ。
ここからEVIL選手はウィル・オスプレイ選手、オカダ・カズチカ選手と相対する。
2人の王者に対して、EVIL選手は一体どんな試合を魅せるのか。
これからのEVIL選手は非常に見ものである。
久しぶりに「エブリシング!」での締めも見たいところだ。