SANADAの「めっちゃすきやねん」と飯伏幸太が神を超えた日

SANADA「めっちゃすきやねん」ライバルに勝った日について書き残しておきたい。

いやはや。半端じゃない試合が続いた。

新日本プロレス「G1クライマックス29」大阪・大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)日本を覆い尽くしている猛暑日以上の熱気を放つ好カードが連発された日となった。

動員人数はなんと5555人の超満員御礼札止め。最高に盛り上がる一日となったのは間違いない。

メインイベントのオカダ・カズチカ選手VS SANADA選手。

セミファイナルの棚橋弘至選手VS飯伏幸太選手。EVIL選手VSウィル・オスプレイ選手。ザック・セイバーJr.選手VSランス・アーチャー選手。

特にこの4試合は息を飲み、涙を流し、叫ぶというまさにプロレスの醍醐味を凝縮したかのような時間となった。

うん。どの試合から書けばいいのか頭が整理できない。

後ほどしっかりと書くとして、まずはメインイベントに少し触れておこう。

SANADA選手がオカダ・カズチカ選手に劇的勝利を奪った試合である。

大阪で負けたあの日以降、大阪のことが嫌いにった男が掟破りの左レインメーカーからのスカルエンド、ラウンディングボディプレスでライバルを乗り越えた瞬間、多くのファンが熱狂した。

完全無欠のオカダ・カズチカ選手をタイトルマッチではないとは言え、とうとう3カウントを奪ったのだ。

うん。本当に劇的な勝利だった。

やっぱり新日本プロレスは最高である。

感動に次ぐ感動を生んだ大阪大会。3試合を主に振り返っていきたい。

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闇の王と空の王

「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」“キング・オブ・ダークネス”EVlL選手と「CHAOS」“エアリアル・アサシン”ウィル・オスプレイ選手がシングルマッチで初激突。

髙橋ヒロム選手が認めた最強の猫であり、鷹木信悟選手の新日本プロレス無敗記録を止めたジュニアの王者が闇の王と対峙する瞬間が訪れたのだ。

「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」としては鷹木信悟選手の借りを返すという意味あいもあった今回の一戦。2人の手は想像以上に噛み合い、素晴らしい好勝負を生んだのだった。

ドラゴン・スレイヤーを表明したウィル・オスプレイ選手に対して、タイガースープレックスを繰り出すEIVL選手。

龍がダメなら虎で勝つ。

ドラゴンを封じられる男だとしても、タイガーであればどうだ!?とダークネス・タイガー(仮名)を繰り出すEVIL選手。

最後の最後。

ウィル・オスプレイ選手が繰り出したスーパーオスカッターを耐えたEVIL選手に対して獣神サンダー・ライガー選手が放った「これがヘビー級!?」という言葉が2人の僅かな差を現していた。

とはいえ、差はほぼなかった。これからも2人の試合は繰り広げられていくだろう。そんな期待を生む好勝負だった。

 

神に挑んだ男

飯伏幸太は神・棚橋弘至を超えられるか?この日のテーマはこの一点に絞られていたように思う。

勿論、一つの試合に勝利することは超えたことにはならない。これまでだって多くのレスラーが棚橋弘至選手にはシングルマッチで土を付けてきた。

だが、1人として棚橋弘至を超える事は出来なかった。

その象徴は内藤哲也選手だろう。2017年のイッテンヨン「レッスルキングダム」で引導を渡し、一時的にトップ戦線から離脱させた。

その後は一時的に棚橋弘至選手に対してブーイングが飛び交う非常事態にまで陥った。

だが、エースは終わることを知らない。

タグチジャバンを経て、半年後の大阪でリベンジ成功。

ここからじっくりと時間をかけて、「IWGPヘビー級王者」にも返り咲いた。

Numberプロレス総選挙でも内藤哲也選手の三連覇を阻むなど、新日本プロレスのど真ん中に棚橋弘至選手は帰ってきた。

そんな“神”に大阪で挑んだのが飯伏幸太選手だ。

この試合はとにかく見て欲しいという言葉に集約される。

序盤のじっくりとした攻防から感情をぶつけ合う中盤。そして、プロレス脳をフル回転させつつ、神の技「ボマイェ」から神を超えるための技「カミゴェ」で勝負が決した後半から終盤。

その全てに感情がこもった好勝負だった。

棚橋弘至になれなかった男たちは多い。だが、飯伏幸太選手は棚橋弘至選手のようになれる“エース” になれる可能性を秘めているように思えた。

飯伏幸太選手が試合後に残したコメントは以下だ。

これで5勝目ですか、5?(と記者に確認する) 『G1』と、『G1』とまた別の、別の種類の、自分の中だけのストーリーがあるんで……。それが一歩、進んだかなと。でもその自分の中のストーリーというもの1歩、1歩進んだんで。まだまだ終わりじゃないし。僕はいつも『終わりは始まり』ってずーっと言ってきたんで。これが始まりですよ。始まり。僕、試合する前は、これで終わり、そして始まり。そうだと思ってた。でも、『これから始まり』だから。……いやもう、もうね、限界ですよ……。限界。楽しい限界ですよ。楽しい限界。もっともっと、突破していくんで。凄かったですよね。張り手……。気持ちを貰いました。ありがとうございました。(一礼しながら)また、よろしくお願いします

 

天才が怪物を超えた日

残り13秒。紙一重の勝利だった。

ここまで全勝のレインメーカーを倒したのは天才による意地と閃きだった。

ポップアップ式のTKOからのラウンディングボディプレス二連発。

「IWGPヘビー級王者」に返り咲いて以降無敵を誇ったオカダ・カズチカ選手の肩が上がることはなかった。

最近、オカダ・カズチカ選手はライバルという言葉をよく発していた。

内藤哲也選手には飯伏幸太選手が、ジョン・モクスリー選手にはジュース・ロビンソン選手がいる。

いわゆる長年の腐れ縁でありライバル関係。桜木花道と流川楓。孫悟空とベジータ。高杉和也とダミアン・ロペスのような関係だ。

オカダ・カズチカ選手は同年代の台頭をずっと待っていた。だが、「IWGPヘビー級」はあまりに高く到達てぎるレスラーがそもそも少な過ぎた。

そこにようやく現れたのが2人のレスラーである。1人はマネージャーと共に己の元を去ったジェイ・ホワイト選手。

そしてもう1人が同じ歳のSANADA選手だ。

棚橋弘至選手と長年の抗争に終止符が打たれ“ライバル”ではなく“友だち”になったオカダ・カズチカ選手。そんな彼にいよいよライバルが本格的に現れたのだ。

そして、この日。ライバルがはじめて自分を超えた。その複雑な心境をバックステージでこう言い放っている。

(※壁に寄りかかりながら引き揚げてきて、コメントスペースにたどり着くと崩れ落ちるように大の字になる)ライバル、初勝利おめでとう。一番負けたくない相手に負けたな。ま、ライバルが勝ったことによって、俺とSANADAさんの物語は、楽しくなってくるでしょうね。(※上半身を起こして)まあ、じゃあ、楽しくなっていくうれしさ、いくつでしょうか?(※ゆっくり立ち上がって、壁を伝ってゆっくり控室に向かいながら)悔しさ100やね……

「悔しい」

上から目線ではなく同じ目線でのコメント。それが少し微笑ましく、胸を熱くした。

そして、レインメーカーは負けてもレインメーカーだった。

思わずこれが絶対王者かと胸を打つ注目ポイントが2つあった。

 

オカダ・カズチカの恐ろしさ

オカダ・カズチカ選手はあまりにも恐ろしい、底が知れない怪物だった。

まずは、スカルエンドに入られた瞬間、体を捻り致命的なダメージにならないようにしていること。次に全員が決まったと思ったラウンディングボディプレスに対して膝を突き立てたことである。

身体を捻ることによってダメージを一時的に抑えた。そして、SANADA選手に対して、スカルエンドで決まらないと錯覚させ、ラウンディングボディプレスを飛ばせた。

細部にオカダ・カズチカ選手の素晴らしさが光っていたように思う。

そして、そんな怪物を超えた天才は更に輝いていた。

そう、オカダ・カズチカ選手とSANADA選手がイッテンヨン「レッスルキングダム」のメインイベントで相対する日が来る。

そんな予感を感じさせた日となった。

最後に。

僕はやっぱり新日本プロレスが「めっちゃすきやねん」。

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