ウィル・オスプレイの棚橋弘至に対するリスペクトが泣ける
ウィル・オスプレイの棚橋弘至に対するリスペクトが泣ける。活字にすると安っぽくなってしまうが、言葉通りの意味にとって欲しい。
今。新日本プロレスは世代交代が進んでいる。
鈴木みのる選手や真壁刀義選手、小島聡選手と言った、人気・実力共に申し分ないベテランレスラーが「G1クライマックス29」のエントリーから漏れたのだ。
鈴木みのる選手はそこから常に不穏な空気を醸し出し、言葉を使わないアピールに出るようになった。
つい先日、今後の意思について声明を出し、新日本プロレスファンの多くを釘付けにしたばかりではあるが、「G1クライマックス29」に名を連ねていなかった事実は変えようがない。
あまりにも残酷な事実ではあるが、新日本プロレスは若手の勢いに令和最初の夏を託したのである。
その結果巻き起こったのが新時代からの宣戦布告だった。
いや、単純な「俺たちの時代だ」宣言とは毛色が語る。「あなたのお陰で今の僕たちが存在する」、「あなたが待ち望んでいた次の世代がいよいよ到来したした」と深いリスペクトを感じさせる宣戦布告とも言えない後輩からの溢れ出る感情物語がそこにはあったのだ。
ウィル・オスプレイ選手による棚橋弘至への宣戦布告は、日本人後輩レスラーが誰一人果たすことができなかった「本音」の戦いにつながっていきそうだ。
エースという言葉の重み
棚橋弘至選手の両肩に乗っている“エース”の重責はあまりにも重たい荷物である。
髪例えばリング外でも神の毛を色を変えようものなら方々に確認が必要だし、後から報告しようものなら「お説教」すら待っているレベルなのである。
新日本プロレスのエースにはリングの上でファンを魅了し続けることは勿論、リング外での求心力も併せ持っているのである。
これからも新日本プロレスには新世代のレスラーが登場し続けるだろう。
ただし、「新日本プロレスのエースと言えば」という質問に対して思い浮かべるのはこれから何年経っても棚橋弘至選手に違いないのだ。
そんな棚橋弘至選手は以前Tシャツにあるメッセージを入れていた。
『G1 CLIMAX』の、自力の優勝決定戦進出……自力じゃなくても、何かが起こらなければ、もう無理な位置になりました。なりましたけど! ……2020年の『G1 CLIMAX』に、もう僕は昨日から走り出してるから。誰よりも早く。だから、ご心配なく。そして次、オスプレイ。オスプレイが最近発売したTシャツの背中に、『Attack For The Next Generation』って書いてあるんですけど、これは俺がU30よりも前の頃に出したロゴなんですよ。そういうところからもね、外国人選手からもすごくリスペクトは感じるんだけど、オスプレイは飯伏ともやってるし、オカダともやってる。そして、いよいよ棚橋。いやぁ……棚橋の恐ろしさを、深~い底なし沼を、見せてやります
Tシャツから生まれた2人の世代闘争。この行方に爽やかさがあるのは平成、令和時代のエンターテインメントの在り方だろうか。
空王という存在感
「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」で優勝を飾り、「G1クライマックス29」へエントリーしたウィル・オスプレイ選手。
鷹木信悟選手と共に新日本プロレスで最も過酷な道を駆け抜けていると言っても過言ではない。
“ドラゴン・スレイヤー”を表明し、“ザ・ドラゴン”鷹木信悟選手とドラゴン・リー選手を破った結果、新しいTシャツが発売される運びとなった。
その背中には『Attack For The Next Generation』の文字があった。
棚橋弘至選手へのオマージュであり、最大の賛辞である。
何故ならば、棚橋弘至選手がレジェンドであると宣言した格好になっているためである。
そして、バックステージとツイッターではこう言い残している。
次の『G1 CLIMAX』公式戦はタナハシが相手だ。残念ながら優勝争いではないけれども、ドリームマッチであることには変わりない。Tシャツのデザインについてよく聞かれるんだけど、背中に入れた『Attack For The Next Generation』というのは20年ぐらい前にタナハシさんが着ていたTシャツをモチーフにしたものなんだ。ということは、それをモチーフにして俺がNext Generationであることを示しているんだ。20年ぐらい前にタナハシがやったことだ。
新日本プロレスが崩壊の危機に瀕した時に、それを救ったのはたった一人の男だった。それこそがタナハシだ。この新日本プロレスを再び上に押し上げたのは、間違いなくタナハシさんなんだ。今度は俺がNext Generation、次の新世代として立ちはだかる時なんだ。時は今だ。彼をリスペクトしているし、愛してもいる。次はNext Generationとして俺が立ちはだかるので、タナハシにはそれを受け止めてほしい。俺にとって、次の試合はドリームマッチなんだ。みんな、ありがとう
今日、この日にドリームマッチが実現するのだ。
Because of your sacrifice I truly believe a lot of us are able to have a roof over our head & money to pay our bills.
— ᵂⁱˡˡ ᴼˢᵖʳᵉᵃʸ • ウィル・オスプレイ (@WillOspreay) August 9, 2019
You Attacked for the next generation. You can lay down your sword now, you’ve sacrificed enough.
Allow me to continue your work.
The Next Generation is here. pic.twitter.com/I2GzoEOi7r
ちなみにわざわざTwitterネームにカタカナを入れているのは、日本人ファンが検索した時に自分を見つけやすくするためだと思う。
そう、僕たちはウィル・オスプレイ選手の健気な気持ちにもっとリスペクトする必要があるのかもしれない。
新日本本隊とCHAOS
日本に引っ越しをするほどに新日本プロレスを愛してくれているウィル・オスプレイ選手。
裏表や変な狡猾な点を感じさせない彼は現在のベストバウトメイカーであり、新世代の新日本プロレスを代表する名選手だ。
そんな彼の爽やかさや人柄、プロレス、プロレスラーへの姿勢を見ていると、さらに応援したくなる気持ちが芽生えてくるのである。
思えば2018年の新日本プロレスを締めくくった試合に棚橋弘至選手とウィル・オスプレイ選手は出場していた。
そして、イッテンヨン「レッスルキングダム」の第1試合とメインイベントに立っていたのもこの2人だった。
以前からKUSHIDA選手が注目し、オカダ・カズチカ選手に見出された空王がいよいよ棚橋弘至選手に挑む日がやってきた。
言葉は要らない。ウィル・オスプレイ選手が棚橋弘至選手を前にどんなプロレスを魅せるのか。
その世界観が楽しみで仕方ない。