飯伏幸太「絶対に諦めない」決勝の相手は一体誰か?
飯伏幸太「絶対に諦めない」決勝の相手は一体誰か?
この日、9641人が集まった日本武道館のアリーナ席で2度目のカミゴェが炸裂し、飯伏幸太選手のマイクパフォーマンスが終わった後に感じた率直な印象は決勝選手が楽しみすぎるという点だった。
この日、オカダ・カズチカ選手に勝利を掴んだのは凄まじいまでの計算があっまように思う。
その話は少し後にするとして、とにかく凄いメインイベントだった。
オカダ・カズチカ選手VS飯伏幸太選手の勝者が「G1クライマックス29」の優勝決定戦に駒を進める。
オカダ・カズチカ選手は絶対有利な状況だが、「IWGPベビー級王者」として引き分けは狙わないという心情だった。
横綱相撲で勝ちきる。この狙いに対して、徹底的にオカダ・カズチカ対策を講じてきた飯伏幸太選手。
二人の明暗を分けたのはツームストンパイルドライバーにあったように思う。
文末には僕が夢に見た決勝の対戦カードを記載しておきたい。
もしもこの展開になったら...。そう思うだけで、胸が高まっている。
ツームストンパイルドライバー
ツームストンパインドライバーが炸裂しないまま、レインメーカーを見舞ったオカダ・カズチカ選手。
首一点攻撃で相手を追い詰める“レインメーカー”に対して、“狂気”と“閃き”で挑む“ゴールデンスター”。
そのプロレスコンピュータは半端ではなく、過去オカダ・カズチカ選手が敗北した試合を分析したのか、それとも勘なのかは分からないがオカダ・カズチカ破りの技を多数魅せてきた。
ツームストンパイルドライバーの不発。ローリング式レインメーカー破り。
そして、最後はカミゴェ二連発。
新日本プロレス所属のレスラー・飯伏幸太選手は真夏の祭典で大きな結果を残した。
また明日よろしく
オカダ・カズチカ選手を破った飯伏幸太選手は満身創痍の中でマイクを掴み、高らかに決意を表明した。
「明日もよろしくお願いします」
新日本プロレス所属の飯伏幸太選手は武道館3連戦の大成功を心から願っているのである。
「(※壁伝いによろよろとインタビュースペースにたどり着くと、床にうずくまってしばらく息を切らしていたが、向き直って座ると)これで、僕の決勝(進出)が決まりました。最後まで、どの試合も諦めなかった。その結果、決勝まで行けたんだと思います。でも、マイクでも言ったとおり、同じことは繰り返さない。去年、僕は準優勝だったんで、もう、最低でも準優勝でしょう。ただ準優勝でいいかと言ったら、違いますよ。僕は諦めてない。去年から言ってたから。『ずっと諦めない』って。だから絶対に、絶対に、8月12日は、自分の、飯伏幸太の、日にしてみせます。必ず、必ず、受け取ったものも全て返せるように、僕は頑張ります。あとは、諦めないことだけ。もう2大会、あとちょっと。諦めないから。全部全力で。最後まで全力で。諦めないから。誰が来ても、諦めないから(※と、足首を気にしながら去ろうとする)」
──オカダ選手の戦いはいかがでしたか?
飯伏「(※足を止めて)僕じゃ考えられないですよ。僕の記憶だと、オカダさん、同期ですよね? 2004年(デビュー)ですよね? 違いますか? 僕は、これからもオカダさんと戦っていきたい。強すぎる。まだまだ、100分の1じゃないですか、オカダさんは。僕は100%出したけど、まだ出し切ってないんじゃないですか。お互いに、お互いにまだまだ、続きを見せましょう。これは完全に、自分のストーリーでもある(※と、わずかに足を引きずりながら控室へ)
名レスラーはロックアップで組んだ瞬間にお互いの実力が分かるという。
飯伏幸太選手が感じたオカダ・カズチカ選手の底にあり、未だ破られていないものが存在する。
2つの条件が揃った時のオカダ・カズチカ選手は少なくとも3年負けていないのである。
「IWGPベビー級選手権試合」と「60分一本勝負」。
この二つの条件が揃った場合、最後に負けたのは内藤哲也選手。また、乱入なしとなると、どこまで遡ればいいのか分からなくなる。
飯伏幸太選手が感じている底。この条件下でオカダ・カズチカ選手に土を付けることこそが狙いなのではないか。
そして、飯伏幸太選手であれば「東京ドームまで待てない」と発する可能性もあると僕は思っている。
夢の話を少しだけ
最後に。
オカダ・カズチカ選手と飯伏幸太選手の激闘が行われる朝、年に数回しか見ない夢を見た。夢の中では、日本武道館で対峙する2人のレスラーとセコンドが入場するシーンが描かれていた。
先に入場したのは飯伏幸太選手。その後ろには棚橋弘至選手の姿がある。
笑顔で“してやったり”という表情を浮かべている棚橋弘至選手に背中を押され、昨年果たすことができなかった夢の頂に挑む飯伏幸太選手は神妙な面持ちだ。
続いて入場するのは後藤洋央紀選手。その後ろには「CHAOS」のメンバーではなく、柴田勝頼選手の姿があった。
しかも入場曲が柴田勝頼選手の「TakeOver」が流れているのだから僕は夢の中でも秒で涙を流していた。
リングの上で後藤洋央紀選手と飯伏幸太選手が熱く握手を交わす。
そして、リングの外でも棚橋弘至選手と柴田勝頼選手が目線を交わし合う。
柴田勝頼選手は後藤洋央紀選手の勝利を確信し、気合十分な表情だ。
僕はこの構図に飯伏幸太選手が新日本プロレス所属になるだけでなく、“兄弟のライオン” たちから正式に祝福を受けることを意味しているように感じていた。
どちらが勝ってもいい。ただ、僕は同級生が笑顔で抱き合う瞬間が見たい。
「サイバーフォーミュラ」ブリード加賀のように「絶対勝て!」と思いつつ、唾をグッと飲み込みロックアップを見ているところで夢が覚めた。
今日はいよいよBブロックの勝者が決まる日だ。一体誰が勝ちあがるのか楽しみで楽しみである。