ジェイ・ホワイトの凶行による対立構造。“棚橋プロレス”による優勝決定戦

ジェイ・ホワイトの凶行による対立構造。“棚橋プロレス”による優勝決定戦について書いていきたいと思う。

いやはや何とも素晴らしい日本武道館大会2日目だった。

8月11日に開催された新日本プロレス「G1クライマックス29」のBブロック最終戦は神試合が連発された。

まずは石井智宏選手VSタイチ選手。次に後藤洋央紀選手VS鷹木信悟選手。

そして、内藤哲也選手VSジェイ・ホワイト選手だ。

特にこの3試合が素晴らし過ぎた。

試合後、タイチ選手はTwitterでジュニアから転向後初となる「G1クライマックス」に対して、その本音を書き残した。

ジュニアからヘビーへの転向は簡単なことじゃない。

「ライガー、井上、ミラノ、その他大勢」

ここにミラノコレクションA.T.さんの名前があるだけでどれだけプロレスファンは胸を高鳴らすのか。タイチ選手はきっと分かっているはずだ。

次に鷹木信悟選手。無差別級宣言から一転、ヘビー級へ完全転向宣言を行った。

この発表には3つの意味がある。まずは鷹木信悟選手がいよいよ本格的に我道驀進に向けて動き出したこと。次にSHO選手に対して、事実上の勝ち逃げという結果になったこと。最後に「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」のジュニアが手薄になる状況を分かっていて、ヘビー級に行くと言い切ったことだ。つまり、髙橋ヒロム選手がいよいよ帰ってくる日は近い。

そして、内藤哲也選手VSジェイ・ホワイト選手。

ノラリクラリ戦法を駆使して、会場の声援は10対0。以前も「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」と「バレットクラブ」のリーダーが争った時はこんな展開だったように思う。

ただし、ケニー・オメガ選手がアスリート・プロレスと日本語解禁でファンの心を掴んだ日から3年。

アスリート・プロレスへのアンチテーゼとして誕生したジェイ・ホワイト選手のヒール版“棚橋プロレス”と決して媚びない姿勢が新日本プロレスに新しい潮流を生みつつある。

会場ではブーイングが飛び交い、SNSでは公式アカウントに罵詈雑言が書き込まれる。

その中心にいるのがジェイ・ホワイト選手なのだ。

内藤哲也選手はあの日と比べてクリーンになった。外道選手が来るのであれば、EVIL選手、SANADA選手、BUSHI選手を自分のセコンドに用意すれば良かったものを準備を怠ったとも言える。

そう、あれほど乱暴の限りを尽くしていた「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」は鳴りを潜め、「バレットクラブ」の前に再び破れさってしまったのである。

そして、凶行は止まらず試合後にリングへと足を運んだ飯伏幸太選手がジェイ・ホワイト選手と外道選手から散々な目にあわされた。

ジェイ・ホワイト選手は一気に飯伏幸太選手との因縁を生み出した。

これが吉と出るか凶と出るか。その点についても考えつつ、“アスリート・プロレス”と“棚橋プロレス”について改めて書いておきたい。

2018年、夏の覇者である棚橋弘至選手は2019年には負け越しという結果になってしまった。

ただし、“棚橋プロレス”はリングの上に継承されているのだ。

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その誇りと素晴らしさ

人はどうしても人気が欲しくなる。支持されて、好印象を持ってもらいたくなる。

そんな誘惑が常に囁かれる中で徹底的にヒールを貫くジェイ・ホワイト選手。これこそがヒールの花道なのだ。

客に媚びない。供給過多にして胸焼けさせない。ダメージを与えても傷付けない。

ジェイ・ホワイト選手のプロレスに対する姿勢は敵対しているはずの棚橋弘至選手から賛美のメッセージが飛び出すまでになったのだ。

今回の優勝決定戦もそう。飯伏幸太選手とジェイホワイト選手はこれまで全く触れていないし、因縁のカケラもない。

そんな2人に数分で因縁を作った。握手して「頑張ろう」ではなく、最高の挨拶で飯伏幸太選手を讃えた。

あの日、内藤哲也選手の膝を破壊した高橋裕次郎選手を彷彿とさせるイス攻撃。

こんな芸当をしてヘラヘラしてるのに強い。そして、進化し続けている。

ジェイ・ホワイト選手が生み出す新時代の幕開けは始まったばかりなのである。

(外道と共に満面の笑みを浮かべて)今一度言ってやろう。俺は最強なだけではなく、最高なだけでなく、最も賢い男なんだ。ナイトー、お前にはトランキーロとしか言いようがない。みんな、ナイトーが俺を止めると思っていたかもしれないが、そうはいかないぞ。そして明日、俺の運命はイブシと共にある。ついにイブシと闘う時が来たが、ナイトーよりも厄介な相手かもしれないな。でも、楽しみで仕方がない。さっき俺があいつの足にやってやったことを見たか? 同じこと、いやそれ以上のことを明日やってやる。そして『G1 29』ファイナル、ブドーカン、この場でお前に今まで経験したことがないような辱めをしてやろうじゃないか

 

“アスリート・プロレス”へのアンチテーゼ

2017年以降。新日本プロレスでは「アスリート・プロレス」と呼ばれる過去の四天王プロレスを彷彿とさせるような戦いが激化していた。

そうした流れに終止符を打ったのが2019年1月4日の棚橋弘至選手だった。

高い身体能力を武器に危険技を見舞うアスリート・プロレスの代表者は「品がない」と言われ、新日本プロレスから去った。

その裏側で着実に“棚橋プロレス”を磨いていた男がジェイ・ホワイト選手である。

ジェイ・ホワイト選手のプロレスは“キラー・棚橋プロレス”なのだ。

ヒール側で棚橋弘至選手の底なし沼のようなプロレスを魅せたらどうなるのか。

危険な行為をせずとも、ヒール側としてファンの心理状況を揺さぶることはできるのではないだろうか。

今、新日本プロレスでブーイングを徹底的に浴びることができる数少な過ぎる選手の筆頭がジェイ・ホワイト選手だ。

 

アスリート・プロレスは刺激的で面白い。ただし、刺激を強くし続けなければ飽きるのだ。

もっと刺激をくれ!頭から落とせ!

そんな状況になりかねない可能性もあったのだ。

今、新日本プロレスは“棚橋プロレス”の時代になってきている。

ウィル・オスプレイ選手や飯伏幸太選手が憧れてやまない“棚橋プロレス”。

今日は「飯伏幸太の中にある棚橋弘至が目を覚ます時」なのかもしれない。

だからこそ思う。飯伏幸太選手のセコンドに棚橋弘至選手が現れるのではないか、と。

 

飯伏幸太が宣言しそうなこと

最後に。

昨日のTwitterにも残した予想(妄想)を書きたい。ジェイ・ホワイト選手ファンには申し訳ないが、飯伏幸太選手が勝利した前提の話になっている。

オカダ・カズチカ選手が凱旋帰国して以降、新日本プロレスは「G1クライマックス」の覇者にイッテンヨン東京ドームでの「IWGP挑戦権利証」を渡してきた。

これは「レインメーカーが棚橋弘至選手にリベンジを果たす場所として最も相応しい場所を用意せよ」という外道選手の提案からスタートしたものである。そのため、新日本プロレスの下半期では挑戦権利証の争奪戦と「IWGPヘビー級選手権試合」が同時並行で進むことになり、さいごまで目が離せない展開となる。はずが、多くのジンクスが生まれるキッカケになった。

まず、一度も挑戦権利証は動いたことがない。

「IWGPヘビー級ベルト」は一度動いたが、この時はAJスタイルズ選手から棚橋弘至選手が勝利を掴むというものだった。

そして、「G1クライマックス」覇者は東京ドームで勝つことができない。というジンクスもあった。

 

だが、棚橋弘至選手がこのジンクスを打ち破り最高の2019年の幕開けを生み出したのである。

“棚橋プロレス”を標榜する飯伏幸太選手だけに、僕は飯伏幸太選手が以前の春に挑戦しただけの「IWGPヘビー級ベルト」に挑戦するのか?と疑問を持った。

そして、もしも勝利した時には「IWGPインターコンチネンタルベルト」に東京ドームで挑戦するとぶち上げるのではないだろうか。

1月5日の東京ドームメインイベントが「IWGPインターコンチネンタル選手権試合」になる。

そんな予感が僕の胸をよぎった。

ちなみに飯伏幸太選手が破れたのはEVIL選手とKENTA選手。この2人を相手に挑戦権利証を奪い合うゲームが始まるのだ。

と、予想(妄想)はこれくらいにして。一体どんな結果が出るのか。

飯伏幸太選手が勝てばこうしたストーリーが生まれる可能性がある。

一方でジェイ・ホワイト選手が勝利すれば、「IWGPヘビー級ベルト」を懸けた第2ラウンドがスタートする。

本日の日本武道館大会は15時からスタートだ。しっかり、じっくりと見届けたい。

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