鈴木みのるがIWGPヘビー級選手権試合へ!大海賊祭の約束を実現する時
鈴木みのるがIWGPヘビー級選手権試合へ!大海賊祭の約束を実現する時がやってきたのだ。
「G1クライマックス29」の優勝決定戦当日。KENTA選手が「バレットクラブ」に加入という衝撃の裏切りを見せた後、波乱渦巻くセルリアンブルーのリングで起こったビッグサプライズはオカダカズチカ選手が鈴木みのる選手に直接ピンフォール負けを喫するという事態だった。
プロレス王の帰還。
そう、鈴木みのる選手がいよいよ新日本プロレス最大の財宝に再び挑む時がやってきたのだ。
「あのベルトは予約済みだ」
そう、今回の物語は一年二ヶ月前から始まっているのである。
2018年6月23、24日に開催された鈴井みのる選手のデビュー30周年興行「大海賊祭」。
この日のメインイベントでオカダ・カズチカ選手と相対した鈴木みのる選手は雨の中、30分引き分けという結果を残した。
直前で「IWGPヘビー級ベルト」を落としていたとは言え、完全無欠の絶対王者と文句なしのドロー。
白パンツ、金髪と完全臨戦体制で臨んだ野外試合は“恵の雨”もあり、それぞれの一生忘れられない想い出になった。
その試合後に「IWGPヘビー級ベルト」について鈴木みのる選手は「あのベルトは予約済みだ」と語ったのだ。
いよいよ始まるプロレス王の新境地。新時代の担い手は若い力ではない。
「変化し続けられる者」だと僕は鈴木みのる選手を通じ学ぶことができた。
「NJPW Royal Quest」のメインイベントでオカダ・カズチカ選手の対角線に立つ鈴木みのる選手は黒なのかそれとも白なのだろうか。
変化し続けるプロレス王
鈴木みのる選手の素晴らしさは変化し続けることだと僕は思っている。
彼の前で年齢の話などすること自体がナンセンスだ。
ただし、人が変化し続け己を変え続けることは決して楽な道ではない。
プロレス王の生き方に傾倒する者が多いのは、鈴木みのる選手の背中があまりにもカッコいいためである。
強くなる、もっと強くなれる
2019年6月16日に発表された「G1クライマックス29」のエントリー選手に鈴木みのる選手の名前がない。
真夏の祭典がダラスで始まると、鈴木みのる選手はメッセージを出すことを止めた。
中村あゆみさんの「風になれ」が鳴り響くこともなくなった。
その裏側で鈴木みのる選手は己を磨き続けていた。
鈴木みのる選手のプロレスは凄まじい。受け身も取らなければ技という技も少ない。徹底した哲学のもとに生まれた引き算のプロレスは唯一無二のレベルに到達している。
例えば、エルボー。鞭のようにしなり異様な音が会場に響き渡る。
例えば、ドロップキック。オカダ・カズチカ選手や田口隆祐選手と比類ない美しさを誇る。
例えば、ゴッチ式パイルドライバー。アスリート・プロレスが台頭し、危険技が蔓延る中でも、確実に「試合が終わった」と感じさせる数少ない必殺技として圧倒的な存在感を見せ続けている。
何でもできるけど、敢えて使わない。その美学が懐の深さにつながる。
できないから使わないとは訳が違うのだ。この日のラ・ミスティカ式のスリーパーはあまりにも美しく、僕たちの度肝を抜いた。
鈴木みのる選手がプロレス王であり最強たる所以は、誰よりも変化を見せられることなのである。
ここで改めて言わせてもらおう。何を俺を抜きで最強とか名乗ってるんだこの野郎!おい、最強とはな、俺のことだ。プロレス王の名前だ。何俺の居ないところで最強とか名乗っちゃってんの。見たか。見ればわかるだろう?そうだ、この日をずーーーっと待っていたんだ、一ヶ月間。そう、後ろで。じーっとしながら。そう、今日この日、このカードが組まれるように、してやったんだ。
オイ、新日本、今度は逃げるなよ。誤魔化すなよ。もみ消すな。オカダ、『IWGP』を賭けろ。そして俺に差し出せ。それ困るよな。こんな、予定調和を端からどんどんどんどんぶち壊す奴いたら困るもんな。そうだろ新日本プロレス、の方々。おい、てめえ等が作ろうとしたその偽りの、偽物の最強の世界。俺が全てぶち壊す、ぶち壊す。まあでも、おかげで1ヶ月間良いトレーニングができた。こんなに屈辱的になあ、悔しさにまみれた1ヶ月はなかった。夜も寝れないぐらい悔しかった。おかげでよ、何度も何度も強くなったぞ。お、もしかしてそういう事か?俺が強くなるために時間をくれたのか?リーグ戦が終わり、気が抜けて、体力ももう残り少ない、この日、たったこの日、たった1日、この日をはなから狙ってた。そうあとはどうカードを組ますか、その1点だけだった。新日本プロレス面白いなお前らな、俺の思う通りに踊ってくれちゃって。さあ逃げんなよ逃げんなよ今度こそ逃げんなよ。IWGPのベルトはなあのベルトができた時から俺のものだ……
最年長王者へ。そして、ライガーとの激突へ
仮に鈴木みのる選手とオカダ・カズチカ選手との「IWGPヘビー級選手権試合」が決定し、勝利を掴んだ場合、新日本プロレスの歴史がまた一つ生まれ変わることになる。
天龍源一郎さんが保有している最年長での「IWGPヘビー級王者」記録が塗り替わることになるのだ。
更に以前から2020年の東京ドームで引退を表明した獣神サンダー・ライガー選手を挑発し続けているだけに、ある考えが浮かんでくる。
プロレス王が玉座に着き、同じ時を過ごしてきたライバルに向けて最後の花道を作る可能性だってあるのだ。
「IWGPヘビー級王者」は団体の顔であり、頂上に立つ者である。であれば、挑戦者の指名権すら本来であれば持っていても不思議ではないのだ。
ちょっとぶっ飛んだ予想(妄想)になるがこんなイメージである。
「獣神サンダー・ライガー。お前を指名してやるよ。階級なんて関係ねー。これが飲めないなら、こんなベルトお宝でもなんでもねぇや」と。
「IWGPヘビー級」への挑戦を表明した飯伏幸太選手は例年通り、権利証の防衛戦を戦うこととなった。
イッテンヨンは「IWGPヘビー級選手権試合」。イッテンゴは「IWGPインターコンチネンタル選手権試合」。
内藤哲也選手にとって最も有利な条件で事が運ぶ可能性があるだけに、今後の展開から目を離すことができない。
ただし、その裏側でプロレス王が暗躍することも忘れてはならないのだ。