なぜ、後藤洋央紀と鷹木信悟のスペシャルシングルマッチが組まれたのか?

なぜ、後藤洋央紀と鷹木信悟のスペシャルシングルマッチが組まれたのか?

「G1クライマックス29」終了後、一斉に新しい動きがあった。

鈴木みのる選手はオカダ・カズチカ選手との「IWGPヘビー級選手権試合」を掴み取り、石井智宏選手は介入劇を受け「NEVER無差別級ベルト」をKENTA選手に奪還された。

棚橋弘至選手は柴田勝頼選手が戴冠した実績のある「ブリティッシュヘビー級ベルト」を手にしている。

新日本プロレスの“主役”内藤哲也選手は「バレットクラブ」のリーダーとして円熟味すらも出てきたジェイ・ホワイト選手を迎え撃つなど、2019年下期、新日本プロレスの「Destruction(破壊)」がいよいよ始ったのである。

そんな中、真夏を話題を集めた2人によるスペシャルシングルが組まれた。

打倒ジェイ・ホワイトを掲げ、盟友・柴田勝頼選手の元で己を鍛え直した後藤洋央紀選手。

「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」のリーグ戦を全勝で突破し、初出場準優勝をマーク。その後無差別級へ名乗りを挙げた鷹木信悟選手。

“和”の雰囲気溢れる2人。ゴツゴツとした見た目に反して器用な一面を持つ荒武者と昇り龍。

そして、洗練されたオリジナル技を数多く持つなど、意外と共通点が多いのである。

なぜ、この2人のスペシャルシングルマッチが組まれる運びとなったのか。その意味はどこにあるのか。

その背景について考えてみたい。

 

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進化した荒武者

LA道場で肉体画像を行い、持ち前のパワーに加えてスピードを付けることに成功した後藤洋央紀選手。

その真価は未だ噴火の時を待つ火山のようである。ジェイ・ホワイト選手を「G1クライマックス」で破った後、イマイチ乗り切れない(結果に結びつかない)試合が続いていた影響か、今年の夏にも不満が残る結果となった(僕は後藤洋央紀選手の優勝を信じていたため)。

ただし、2019年の「G1クライマックス」は大半の選手が負け越しという結果となっている。

優勝決定選手進出争いをし選手以外がほぼ負け越しとなった中で、後藤洋央紀選手は勝ち越した。あの日、鷹木信悟選手に勝利を収めていれば、飯伏幸太選手の前に立っていたのは後藤洋央紀選手なのだ。

2018年の年末に生まれた屈辱。内容で圧倒しつつもカミゴェの前に屈した冬の借りはいつ取り返すのか。

そのためにも、鷹木信悟選手に改めて勝利を飾る必要があるのだ。

牛殺し式GTR。そろそろこの技に新しい名前が付いてもいいのでないか。

鷹木! オマエ、次の試合で全てを賭けるらしいな。素晴らしい! それが飾り気のない、“和の精神”ってヤツか? 素晴らしいな。だが残念だがよぉ、俺はもう二度と、オマエに足を引っ張られるつもりはない。神戸、潰し合おうぜ。トコトン、潰し合おうぜ。ところでよぉ、オマエの賭ける全てってよぉ、一体何のことだ? 何を賭けるっていうんだ?

 

昇り龍は止まらない

鷹木信悟選手の活躍とファンからの圧倒的な支持を新日本プロレスはどこまで予想していたのだろうか。

そろそろ参戦から一年が経とうとしているが、日増しに高まる期待は留まるところを知らず、昇り龍の如く民意を掴みつつある。

ジュニア戦士と同等の機動力とヘビー級のパワーを併せ持つ無差別級レスラーは「G1クライマックス」を経て、ヘビー級にやってきた。

「IWGPインターコンチネンタル王座」に輝いている内藤哲也選手をあそこまで苦しめ、会場全体を一つにする素晴らしすぎる試合を魅せた。

見ればみるほど好きになっていく。そんな試合ととにかく上手いマイクが鷹木信悟選手の魅力なのである。

いよいよスタートした「Road to DESTRUCTION」でも早速、後藤洋央紀選手を挑発しまくり。

おそらく自分の全てをぶつけられる相手の1人として認識しているのだろう。今からスペシャルシングルマッチが楽しみでしょうがないといった印象すら受ける。

 

後藤、後藤、調子がいいみてえだな。ああん!? おもしれえじゃねえか。だけどあいつは一つ勘違いしてるな。昨日の試合後のコメント見たけどな、俺に対して『どうせ勝つのは俺だ』。どういうことだよ。『どうせ勝つのは俺だ』? バカ野郎! そのセリフはリマッチを受ける俺のセリフだ、この野郎! やっぱりあいつは俺のことをどうやら格下扱いしてるようだな。昨日も言ったように今の新日本のリング上でそんなものは関係ねえんだよ。(ことさらに声を張り上げて)9.22神戸が! この新日本の! (アゴをさすって)あいてて……勢力図をガラリと変える試合になる! シリーズ名のDESTRUCTIONのようにきちっと神戸で後藤を破壊してやるよ

 

決戦の行方

僕は今回のスペシャルシングルマッチの結果が、2020年のイッテヨン東京ドームにつながってくると思っている。

鷹木信悟選手が後藤洋央紀選手から連勝することになれば、新日本プロレスの生え抜きで「IWGPインターコンチネンタル」や「NEVER無差別級」、「IWGPタッグ」のベルトを戴冠してきた実績を持つ後藤洋央紀選手から一歩リードすることになる。

“無差別級”を表明した先にあったヘビー級転向。その対角線に最も相応しく、手があい、会場が爆発するのは1人しかいない。

同じ「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」の内藤哲也選手である。

兼ねてからユニット内での競争、切磋琢磨することを公言してきた内藤哲也選手だけに、鷹木信悟選手の狙いについても何か思うところがあるのかもしれない。

まぁ今俺が思ってることは、リング上で言った通りだよ。EVIL、SANADA、そして鷹木。それぞれが、上を目指していいじゃん。俺も上を目指してるから。もし同じユニットの仲間が同じ方向を向いてたら、戦わない手はないでしょ? 俺の言ったことに、文句というか……目標がかぶるのであれば、俺と戦えばいいよ。それがシングルマッチなのか、それともタッグマッチで一緒に組みながら戦うのか、いろんな戦い方があるよ。

一方で後藤洋央紀選手である。後藤洋央紀選手に「IWGPヘビー級」のベルトを戴冠して欲しいと願うファンは限りなく多い。

その覇道に一歩、また一歩と進んでいくためには、全ての借りを返さなければならないのである。

ジェイ・ホワイト選手にリベンジを果たし、鷹木信悟選手との因縁が生まれた後藤洋央紀選手の夏。

であれば、秋でその物語をハッピーエンドに変え、イッテンヨンで狙うベルトへ弾みをつける必要があるのだ。

盟友・柴田勝頼選手を裏切ったKENTA選手に引導を渡すもよし、日本人初となる「IWGP USヘビー級ベルト」を狙うもよし。

進化した新日本プロレスの荒武者には可能性が広がっている。

2019年9月22日の「DESTRUCTION in KOBE」。この日のセミファイナルで何かが起こる。

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