第三世代と怒りの獣神が魅せた新日本プロレスの宴
第三世代と怒りの獣神が魅せた新日本プロレスの宴が素晴らしかった。対角線に、バッドラック・ファレ選手、高橋裕二郎選手、タマ・トンガ選手が揃ったことでさらなる熱気が生まれたように思う。
そう、新日本プロレスの東金大会は2019年も大盛り上がりだった。永田裕志選手の地元ということもあり、ヤングライオン杯は2試合ともに野毛道場生同士の試合が行われた。
第1試合は辻陽太選手VS上村優也選手。第2試合は海野翔太選手VS成田蓮選手。
道場対抗戦という意味合いのある今回のヤングライオン杯だが、同じ道場生が最大のライバルという見方もある。
惜しくも試合に敗れた上村優也と成田蓮選手だが、このままで終わるはずがない。
何せ、彼らを鍛え上げてきたのはこの日の主役たちなのだから。
「永田裕志レスリングライフ25周年試合」
最初に姿を現したのは獣神サンダー・ライガー選手。おそらくこの日が最後の東金で迎える試合となる。
続いては中西学選手。ここからは第三世代がそれぞれの入場曲で入場してくる。なんて豪華な時間なのだろうか。
2018年の東金アリーナ大会で復帰を果たした小島聡選手が登場するとファンから更に大きな歓声が巻き起こる。
リング中央で三人が握手を交わすと、猛牛のテーマ曲が鳴り響く。天山コールの中天山広吉選手が花道をじっくりと歩く。
そして、永田裕志選手の入場曲「MISSION BLOW」がビッグマッチ仕様(彼こそが海賊-He's A Pirate-)で鳴り響いた。ブルージャスティス永田裕志選手の登場である。
大永田コール
ジャスティスはいきなりの「ゼア!」。そして、2020のPR大使を担っていることが発表された。
中西学選手と試合前の儀式に入ったところで「バレットクラブ」の入場曲が鳴り響いた。
この日の相手は、バットラック・ファレ選手、タマ・トンガ選手、タンガ・ロア選手、高橋裕二郎選手、邪道選手である。
現在の新日本プロレスで最強のタッグチームであるG.o.D。そして、元々「青義軍」のバットラック・ファレ選手。
野毛道場出身の高橋裕二郎選手。「バレットクラブ」の中でも永田裕志選手と因縁のあるメンバーが揃った。
最高の5VS5が始まろうとしている。
邪道のマイク
と、いきなり試合前にいきなり邪道選手がマイクを持った。邪道選手は「本当にあなたのことを心から尊敬している」とメッセージを贈る。
「今日は正々堂々とやりましょう」。フェアプレーを宣言すると、試合開始のゴングが響いた。
まずは、獣神サンダー・ライガー選手と邪道選手が対峙する。と、いきなりのロックアップ。からのクリーンブレイク。
「ライガーコール」を煽り握手を求める。邪道選手の真意はどこにあるのだろうか。
レッドシューズ海野選手から「バレットクラブ」全員と握手を交わす。
だいよいよ獣神サンダー・ライガー選手と邪道選手が握手。すると、タマ・トンガ選手が背後から突然の強襲。まさに邪道を生きる男である。
揃い踏みの
「バレットクラブ」が獣神サンダー・ライガー選手を蹂躙する展開が続く。“俺たちの”高橋裕二郎選手が登場し、小島聡選手と対峙する。
ここで“テンコジ”のコンビネーションが炸裂。からのチョップへ。
高橋裕二郎選手、タマ・トンガ選手、邪道選手、タンガ・ロア選手にチョップをぶちかます。
「行っちゃうぞこのバカヤロー!!」が炸裂...できない!タマ・トンガ選手に妨害されてしまう。
ここから流れは「バレットクラブ」へと傾く。「IWGPタッグ王者」タンガ・ロア選手とタマ・トンガ選手がじっくりと小島聡選手を攻めていく。と、手打ちのマシンガンチョップへ。
邪道選手を中心に小島聡選手のローンバトルが続く。すると、獣神サンダー・ライガー選手から小島聡選手への激が飛ぶ。
「しっかりしろ!コラ!」
流れ変えたのは中西学選手である。新日本プロレスのリングに上がるのはなんと5ヶ月ぶり。バットラック・ファレ選手に力負けせず、アルゼンチン・バックブリーカーまでを炸裂させた。
そして、永田裕志選手の出番である。中西学選手との“先輩後輩”タッグでバットラック・ファレ選手を追い詰める。
そして、白目の神様の時間がやってきた。
ミラノコレクションA.T.さん「台風逸れるぞ!これ」
「バレットクラブ」の5人に蹂躙される永田裕志選手。完全なピンチを迎えてしまった。
が、天山広吉選手と小島聡選手の2人が流れを引き戻す。
「よっしゃ!決めるぞ!」
ここでタマ・トンガ選手がカットに入る。だが、決して油断しないのが「ミスターIWGP」である。最後はナガタロックⅡでこの日暗躍した邪道選手を沈めた。
永田「(※中西とともに遅れてコメントスペースに入ってきて)まあ今回は、個人的なあれでして、ライガーさんが今度、1月に引退されて。やっぱり僕ら、これだけキャリアがあっても、つい最近まで、いや1月までは先輩としてのね、大きな背中を見せてくれてるわけで、やっぱりライガーさんがこれで1月にいなくなってしまうっていうのはホントにすごく寂しいですけどね。僕らもキャリア重ねていくうちに、先輩たちがどんどんいなくなってね、最後の砦だったライガーさんがいなくなってしまう。やっぱり寂しいですけど、そこはまた大きな責任を持つという意味でも、これからは我々が一つの大きなものを後輩たちに見せていかなきゃいけないなという意味では今日、ライガーさんと組めて、ホントによかったです。大会も、ホントに去年はやっぱり初めて2000人超えっていうのがあって、今年もそれにほぼ近いぐらいの入場者数、入ってくれて。この数ヶ月ずっとプロモート業とコンディション作り、その他いろんなことやってきた中で、ひとつの成果が出たなと。それはホントにうれしく思いました。それはやっぱりこうやって、同世代の仲間たちがこういう大会で力をうまく出し合っていいものを作り上げた充実感はありますし、ホントに今日、興行的によかったなと思います」
試合後のバックステージで、バッドラックの上ファレ選手はなぜか「ノー・リスペクト」と三度口にした。
誰を意識したコメントなのか。青義の心は既になく青から黒に染まったとしても、普遍的なものもある。
敬礼ポーズとファレ道場。方向性は変わっても心の奥底に根付いたものは揺るがない。
今年も素晴らしい東金大会だった。ここに野上慎平アナウンサーがいれば120点だったが、これは次回の東金大会10周年に期待したいと思う。