なぜ、SANADAは“希望”というフレーズを使い出したのか?
なぜ、SANADAは“希望”というフレーズを使い出したのか?今最も「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」でホットな男は誰かと聞かれれば、“Cold Skull”SANADA選手だと僕は答える。
流れを掴んだ2018年の「IWGPヘビー級選手権試合」。V12を達成したオカダ・カズチカ選手を60分一本勝負でギリギリまで追い詰めたのは柴田勝頼選手とSANADA選手だったように思う。
2018年のイッテンゴ「New Year Dash!」で「オカダ、次はお前だよ」と口を開いてから一年10ヶ月が経った今、SANADA選手は自分に対して一つのテーマを掲げている。
自分こそが新日本プロレスの希望だと言い切った。
棚橋弘至選手の愛。内藤哲也選手の夢。オカダ・カズチカ選手の金。ジェイ・ホワイト選手は「NEW ERA」。そして、SANADA選手は“希望”をチョイスした。
振り返ってみると彼は何度も希望をイメージする言葉を発し続けてきた。
「ワクワク」という言葉は希望そのものだろう。
夢と金の結果
「あなたの夢は何ですか?」
2014年のイッテンヨン東京ドームでは、金の雨を降らせる後輩と「俺の夢は新日本プロレスの主役になること」と語る先輩の直接対決が実現した。
「IWGP王者」と“「G1クライマックス」の覇者がセミファイナル”で激突する。その裏では棚橋弘至選手と中邑真輔選手の「IWGPインターコンチネンタル選手権試合」がメインイベントとなる事態がファン投票で実現するなど、今でも遺憾の残る結果を生んでしまったのがこの2014年間東京ドームである。
あらためてこの試合に目を向けて気づいたことがある。それはオカダでカズチカ選手からベルトを奪取するためには、何かしらのテーマが必要となるということだ。
ここ中邑真輔選手、AJスタイルズ選手らが離脱して以降の数年でオカダ・カズチカ選手から直接ベルトを奪ったのは、内藤哲也選手とケニー・オメガ選手のみ。
2人は「制御不能な新世界」と「NEW WORLD」を宣言し、「反則介入」と「時間無制限3本勝負」といういわゆる60分一本勝負でない形でベルトを奪った。
しばらく60分一本勝負でオカダ・カズチカ選手は棚橋弘至選手以外に負けていない気がする。
この流れを断ち切るために、SANADA選手は“希望”という言葉を持ち出し、自分の格をさらに上げてきた。
赤ずきんチャチャ(アニメ版)でも愛と希望は同列に当たる。勇気は次の誰かに期待したい。
内藤哲也に対して
SANADA選手は時折、内藤哲也選手に対しても辛辣なメッセージを贈っている。新日本プロレスの主役。大歓声を一身に集める“制御不能なカリスマ”。だが、二冠王宣言はあの頃の“夢の続き”になってしまってはいないだろうか。
内藤哲也選手が思い描く夢。その夢の結果で一番喜ぶのは一体誰なのか?ということなのだ。
最も勢いがあった2016年の内藤哲也選手は「制御不能な新世界」今まで見たことのない景色を皆さんにお見せする。とマニュフェストを語り続けてきた。
新日本プロレスという団体の逆側に立ち、会社組織を一刀両断した。木谷オーナーには何度も指摘をしてきた。
それがどうだろう。昨年以降、特にハロルド・ジャージ・メイ社長が就任して以降は団体批判が綺麗に止まった。その流れでぶち上げた二冠王だが、ファンの目線から見ると正直、あの頃のワクワク感には劣っているのである。
これは明確に歓声として現れているのでチェックしてほしい。当時の内藤哲也選手は誰が相手でも相手にブーイングが飛ぶほどのピープルズチャンプだった。
二冠王は戴冠した瞬間がピークになる気はしないだろうか。誰でも真似できる目標ではないだうか。
継続的に僕たちの心を酔わせてくれる。そんな抽象的な言葉に僕は弱いのだ。
だからこそ、SANADA選手が“希望”だと言った時にとても嬉しかった。
強すぎてブーイングを浴びる王者。違う景色も見たいけどやっぱり頂点はオカダ・カズチカ選手でいて欲しいという矛盾。
自分の目標を叶えたいという言葉では心から納得しない。二冠王の先にある未来はどんなものなのか。
僕たちは抽象的なメッセージと結果を残すレスラーに弱いのである。
今、最も「IWGPヘビー級ベルト」に近い男。それがオカダ・カズチカ選手のライバルSANADA選手なのである。
東スポのコメント
「IWGPベビー級ベルト」の価値を超えてしまった内藤哲也選手は棚橋弘至選手が「疲れた」と言えなくなったように、ただ単純に「IWGPヘビー級ベルト」を狙えなくなったという事実もある。
そのため、「東京ドームのメインイベントに立つ」という別の目標で2018年のイッテヨンは実現した。あの時ベルトを放り投げた影響はここまで続いているのだ。
SANADA選手は二冠について直接的に後ろ向きな言葉を発した。「必要なのか?」と明確に内藤哲也選手と己の価値観が違うことを言い切ったのである。
いよいよ本格的にメンバー同士が切磋琢磨するユニットへと「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」が変化してきた。
「他のベルトは考えたことがないですね。IWGPが一番輝いているので。そのベルトを巻いている人間が最重要人物で、主人公になれる。SANADAの時代をつくりたい。そのために一番必要なベルトなので」。小学4年のころにプロレスに心を奪われ、蝶野正洋、武藤敬司がIWGPを巻く姿に憧れた。業界の新たな顔になるためには、この道しかない。
有プロのジンクス、入場曲チェンジか
SANADA選手が台頭し、EVIL選手が追いかける。内藤哲也選手にも鷹木信悟選手という存在が現れた。
とにかく今一番熱いのは「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」のベビー級選手と言っても過言ではない。
SANADA選手が魅せる“希望”。その景色は2019年に広がるのか。
そして、今週の「有田と週刊プロレスと」では田村潔司選手のエピソードが語られ、“入場曲”の大切さが語られた。
僕はSANADA選手が唯一変化させていないテーマ曲の変更がこの試合で起こりえる気がしている。両国国技館大会まで1週間を切った。
ワクワクが止まらないとはまさにこのことだろう。
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