新日本プロレスの売上高が54億円へ。10.7%UPの背景と課題について考えてみた
新日本プロレスの売上高が54億円へ。10.7%UPの背景と課題について考えてみた。
ブシロードの決算発表内で行われた株式会社新日本プロレスリングの決算発表。ここで明らかになったのが新日本プロレス2018年度の売上高である。
54億円。新日本プロレスは前期の49億円から5億円の右肩上がりを実現した。この裏側にあるのは企業努力の成果であるのは当然だが、歴代最高の売上高となった背景について考えてみたい。
僕個人の視点から言えば購入しているグッズ、観戦数は例年通りといった感じである。
推しレスラーのTシャツ、タオルはコンプリート。ビッグマッチも仕事と被らなければ観戦し、ここぞいう試合は必ず観に行っている。勿論、動画配信サービスである新日本プロレスワールドは継続契約。
つまり、日本国内の新日本プロレスにハマって数年のファンが落としている金額は横スライドである(局地的な数字なので一概には言えないが)。
では、日本と世界の注目度を照らし合わせつつ、新日本プロレスの売上高が上がった背景について考察していきたい。
また、54億円の売上高に対して、利益は約6億。昨年に対して21.1%減少という結果になっている。この辺りも少しだけ考えてみよう。
投資対象となるIP
新日本プロレスは明らかに投資対象として、ブシロード者が保有するIPとは異なる角度での投資が行われている。
舞台は世界。2018年から2019年にかけて明らかに海外での興行数が増えていった。
チケット代やキャパに大きな違いがないとなると、レスラーの渡航費や宿泊費、食事代、移動費。だけでなく、様々なお金が掛かることは容易に分かる。日本国内で試合をしている方が余程楽だし、出費も抑えられるだろう。
では、どれほど成果が出ているのか。ここが一番の論点だ。
ハッキリ数字で示すと、Googleトレンド上での検索はMSG興行の際にも大きな動きはなかった。アメリカ合衆国に絞れば増えてはいたが、それでもイッテンヨンと比較すればさほど大きなインパクトではないと言える。
また、以下の数字を見ても分かるようにクリス・ジェリコ選手が東京ドームに参戦した時が現状、検索のピークでもある。
クリス・ジェリコ選手やジョン・モクスリー選手で獲得した海外ファン(新日本プロレスワールド会員)の売上が今回の業績にそのまま反映されてると言っても過言ではない。
これは強く伝えておきたいのだが、こうしたサブスクリプション型のモデルは定着が肝になる。その根幹を担っているのがそれぞれのレスラーが持つ実力であることは間違いない。
新日本プロレスのレスラーたちの努力が今回の業績を生み出したのだ。
Googleトレンドのデータはこちら
シミラーウエブはこちらから
海外展開の課題
質問者1 3点目として、プロレスのところでおうかがいしたいのですが、先ほどのお話しでは年間で今期は156試合を予定されていて、興行的な試合数としてはこれが手いっぱいとのことでした。会場をもう少し大きくすることによって、まだ若干ポテンシャルがあるということですが、今後はそれよりもコンテンツ配信などに注力していくというお話をいただいたと思うのですが、会場を大きくすることによって、今の観客動員数のポテンシャルはどれぐらい上げることが可能なのでしょうか?
ここが国内で見た時の限界だと思いますので、その限界点は何万人ぐらいとお考えなのかをおうかがいしたいと思います。それから、コンテンツ配信で伸ばしていくとすると、海外が中心になっていくかなとは思うのですが、今後日本のプロレスが海外の市場に受け入れられるためには何が課題になっていくでしょうか? このあたりについて、もう少し教えていただきたいと思います。
この質問に対して、新日本プロレスのメイ社長は4つのポイントを指摘した。
【1】会場規模を国内外で徐々に増やしていく。【2】オフィス側での英語力強化。【3】各国で主役となるローカルヒーロー。【4】テレビ局への営業。
レスラー側で鍵を握っているのはウィル・オスプレイ選手で間違いない。今回の「スーパージュニアタッグリーグ」エントリーでいよいよヘビー・ジュニアの主要なトーナメント、リーグ戦にフル参戦する可能性が出てきた。ここまで来たら前代未聞である。
日本に移住したこともあり、そもそろ彼が街をブラブラしているようなドキュメンタリーを公開し、更に人気を加速して欲しいと思っている。
僕はここで上がらなかった5点目も鍵を握ると思っている。オフィス側のテクノロジー強化だ。
新日本プロレスワールドは明らかに改修に課題があり、キャンペーンもないなど技術的なところにテコ入れするだけで会員数を更に伸ばせる可能性が高い。
検索画面に表示されるタグはいつまで経っても意図がない並びのまま。初月無料キャンペーンがないためユーザーの登録ハードルが高い。
コンテンツやIPを支える技術基盤を整えることでユーザー獲得には必ず、寄与できると思っている。単純なところで言っても今回発売された柴田勝頼選手のDVDのように、選手が選ぶベストバウトみたいなレコメンドを組んでも視聴数は増えると思う。
ユーザーとサービスのタッチポイントが増えれば、継続率は更に上る。その点は企画と技術でいくらでも対応できるはずだ。
一つだけ懸念しているのは、2018年時点で突破したと言われている新日本プロレスワールドの会員数10万人についてだ。
「新日本プロレスワールド」の有料会員数も10万人となり、前年の6万人から1年間で6割も増えた。有料会員の半数は、米国など海外在住者だ。
直近に出たインタビューでもこの数字が使われていた。あれから何人増えているのか。この点を出してくれなくてはファン側見たときの成長度合いがいまいち掴めない。
新日本プロレスが成長することを喜ぶファンはいても悲しむファンはいないはず。新日本プロレスには堂々と会員数の増加を発表して欲しいものだ。
イッテンヨン・イッテンゴ
最後に。今期の売上にはイッテンヨン、イッテンゴのチケットが前倒しで販売されていることも多く関連していると睨んでいる。(ファンクラブ先行はおそらく直入金のため、ダイレクトにキャッシュ・フローに乗ってくると予想)。経営判断として、海外戦略への投資を意識しているものの、目下の利益率が下がりすぎる点を東京ドーム2連戦の前倒し入金で対応したという見方もできる。
ただし、WWEが日本全土で爆発的な人気を誇っていないように、新日本プロレスも曲的なファンにしか国内外で受け入れられていない。この点の課題を解決するには、新日本プロレスのレスラーがよりマスへリーチする必要もあるのだ。
今後、その役割を担っていく人材は一体誰になるのか。まだまだ伸びしろしかない新日本プロレスに期待したい。
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