GK金沢と鈴木みのる、そして山田恵一。新日本プロレスの公式スマホサイトが凄い
GK金沢と鈴木みのる、そして山田恵一。新日本プロレスの公式スマホサイが凄いインタビューを持ってきた。
獣神サンダー・ライガー選手とのスペシャルシングルマッチが迫ってきた「鈴木軍」“プロレス王”鈴木みのる選手。
2019年10月14日の両国国技館は一体どんな景色になるのか。今から楽しみであり、今から壮絶な内容になるような予感が漂っている。
そんな特別な大一番を前に行われた、GK金沢こと金沢克彦さんによるロングインタビュー。タイトルを見ただけでも、読む価値しかないと喉を鳴らしてしまう。
期待に胸がいっぱいになったインタビューの後編が公開されたことでその全容が見えてきた。ファイトを経て週刊ゴングで編集長を務めていたGK金沢さんは今の鈴木みのる選手の心境を紐解きつつ、ファンとしての心理をそのままぶつけてきた。
これからインタビューの感想は書いていくわけだが、まずは率直な感想を一つ書き残しておこう。
鈴木みのる選手が「今」をここまで語った取材を僕ははじめて見た。発売している書籍などでは、しっかり己の言葉でメッセージを伝えてきた。だが、近年のインタビューでは「何でお前にそんなことを言わなければならないんだ?」という趣旨の言葉が多かった。
乱暴な言い方をすればインタビュアーを認めていない。プロフェッショナルとして、同じ仕事をし時間を共有するのであれば、自分と同じレベルでの会話を要求する。そんな鈴木みのる選手が心を許して語れる数少ない相手がGK金沢さんだったのかもしれない。
では、そろそろ本題に入ろう。まずは、インタビューの冒頭からだ。
旧知の仲、2人だけの歴史
本インタビューは新日本プロレスの公式スマホサイトの有料コンテンツである。そのため、しっかりと内容に触れつつ感想を書けるのは無料公開されている冒頭部分のみとなる。
日頃から読み応えのあるコラムを掲載してくれているGK金沢さんのインタビューは必見なので、ぜひこのタイミングでスマホ会員になることをオススメしたい。
さて、本インタビューは冒頭から物凄い。
鈴木 本日のインタビュアーは“週刊ファイトの”金沢さんです(ニヤリ)。
金沢 ハハハハ。『週刊ファイト』のね(苦笑)。(註:金沢克彦氏は『週刊ファイト』を経て、『週刊ゴング』に入社した経緯がある)
鈴木 昔、取材の時に俺にずっと会社の愚痴を言ってたんだよ。「1年やって給料が1000円しか上がらない。ということは10年やっても1万円しか上がらない。この会社のことどう思う?」って。それ憶えてるでしょ?
金沢 憶えてる。UWFの道場で。そしたら俺の愚痴のほうが長くなっちゃって、インタビューが終わったら外が真っ暗になっちゃった(笑)。
鈴木 まだ、俺がハタチぐらいの時だからさ。もうおかしくて。「1年で1000円だよ? そんな会社あるか!」って一人で怒ってたから(笑)。
金沢 そんなこともあったなあ……(笑)。まあ、そこまでさかのぼらず、ちょっとだけさかのぼってもらって、まずは『G1』期間の話を聞きたいんですけど。
「G1クライマックス29」落選。オカダ・カズチカ選手との「IWGPヘビー級選手権試合」。そして、英国での支持率。
様々な切口でスタートすることができだが、敢えてGK金沢さんと鈴木みのる選手と関係性をハッキリさせてから本題に入る構成をセレクトしている。
“週刊ファイトの金沢さん”。鈴木みのる選手は当時のインタビューを期待していたのかもしれない。取材場所は鈴木みのる選手の城である原宿の「パイルドライバー」である点も考え深いのだ。
週刊ゴングの編集長
週刊ゴングの編集長。“長州番”として週刊プロレスの対極で存在価値を発揮してきたGK金沢さんが持つ視座が正しかったことは、今の週刊プロレスを見てもよく分かる。クラスマガジンとして専門誌のお作法を守りつつ、アクセルを緩めることはない。
だがらこそ、信頼のおける媒体として人気を博したし、レスラーからの信頼も厚いのだろう。
この冒頭から分かるように、明らかに鈴木みのる選手との距離が近い。この距離感はそう簡単に生み出せるものではないのだ。
日本のファン、海外のファン
この仕事をしていると時折、こういったシュチュエーションが来る。インタビュアーから特定の言葉を引き出すべく、狙った質問をする瞬間は決して珍しいものではない。
ただし、プロフェッショナルである鈴木みのる選手はその意図を汲み取ってくる。
金沢 でも、ライガー選手は鈴木選手にとって特別な人間じゃないんですか?
鈴木 それさ、金沢さんが「特別」って言わせたいだけだよね? そんなこと言わなくたってわかるじゃん?
金沢 ……ということは特別だっていうことですね?
鈴木 それは見た人が判断すればいい。
金沢 でも、その関係性を知らないファンがいるかもしれないですよ。
鈴木 そんなもんは自分で調べろ! いまは携帯一つでいっくらでも情報が出てくるんだから。なんで俺に聞くんだろ? 「わかりやすくしろ」ってことか? 違うだろ。見たいヤツ、知りたいヤツは勝手に調べろよ。だから海外のプロレスファンにいつまで経っても追いつかないんだよ。
“特別な存在”。
そう、鈴木みのる選手にとって獣神サンダー・ライガー選手が“特別”でないわけがないのだ。
山田恵一先輩と共に過ごして来た時間だってある。最後のチャンスかもしれないのだったらこれまでに仕掛けていないことに挑戦する。
だからこそ、藤波辰巳さんの「お前、平田だろ!」よろしく「おい!山田!!」発言が飛び出したのだと思う。
ただし、これ以上言葉にしてしまうと風化してしまうことがある。これは本人の中で、だ。
そう、メディアは本人の口から本音を語ってもらい、読者に届けたいと思っている。一方で、取材対象からすればこのタイミングでその言葉を発するデメリットを考えてしまう。
言葉は生き物だ。空気に乗った後は1人歩きをはじめてしまう。
鈴木みのる選手はプロレスも発する言葉も超一流(そもそも僕の尺度で測れないほどに)。プロとしての矜持はプロレス界の宝だ。
鈴木みのる選手は時折、財宝、お宝という言葉を出す。これは彼の愛する「ONE PIECE」が関連しているものだと思う。
プロレス界の宝は鈴木みのるである。改めてそんな気持ちにさせられるインタビューだった。
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