なぜ、棚橋弘至は“逆世代闘争”を提案したのか?

なぜ、棚橋弘至は“逆世代闘争”を提案したのか?

2019年11月19日に福島・ビッグパレットふくしまで開催された「ワールドタッグリーグ2019」の公式戦で棚橋弘至選手とトーア・ヘナーレ選手の“ヘナーレース”が永田裕志選手&永田裕志選手と激突した。

試合はハイフライフローで棚橋弘至選手が中西学選手からピンフォール勝ちを奪い、2勝目をマーク。一方で第3世代の2人はこれで白星なしの4敗目を喫してしまった。

前日は“テンコジ”こと天山広吉選手&小島聡選手組に敗れていただけあって、ある種の借りを返した形にもなった。

が、事件はバックステージで巻き起こった。「今回のワールドタッグリーグに関係ない」と前置きした上で、棚橋弘至選手は第3世代の天山広吉選手、小島聡選手、中西学選手、永田裕志選手へ“逆世代闘争”を提案したのである。

仕掛けるのであれば今しかない、と。

棚橋弘至選手が胸中に秘めた想いは一体何か。その心理を考察しつつ、柴田勝頼選手へ柴田勝頼選手が挑んだ“1人世代闘争”についても振り返ってみたい。

改めて今の第3世代については、正直物足りない気持ちがないかと言えば嘘になる。なぜならば、試合を見れば一目瞭然で「確実に衰えていないし、彼らにしかできない面白い試合が存在している」ためだ。

もっと彼らの試合が見たい。そんな気持ちを込めて筆を進めていく。

 

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柴田勝頼の世代闘争

2016年に柴田勝頼選手がぶち上げた「1人世代闘争」。これ新日本プロレスから飛び出すことこそが新日本プロレスだ」と決意を固めた柴田勝頼選手。

2005年1月31日に新日本プロレスを退団し、2012年8月12日に新日本プロレスへと戻ってきた。

7年以上の月日。棚橋弘至選手らの手によって第3世代との世代闘争に一旦のピリオドが打たれるほどの長い年月である。

柴田勝頼選手は「ケツの青い先輩たち」と第3世代を一蹴し、1人ひとりと気持ちをぶつけ合った。

2016年。柴田勝頼選手が春を制する2017年の一年前に行われた柴田勝頼選手による世代闘争は「置いてきた青春」を取り戻す旅だったのだ。

では、今回棚橋弘至選手が提案した逆世代闘争とは何なのか。なぜ今このタイミングでの提案となったのか。

その背景を考えてみる。

 

融合する存在価値

棚橋弘至選手は“ミスターIWGP”永田裕志選手を直接破り「IWGPヘビー級王者」としての防衛記録を塗り替えた。

2018年にオカダ・カズチカ選手の手によって記録は塗り替えられたものの、その意味と意義は決して色褪せるものではないのだ。

そんな棚橋弘至選手が突如として、“先輩たち”にハッパを掛けたのだ。「“逆世代闘争”仕掛けるタイミング」。それは「今」であるということ。

2020年の東京ドーム。最高のステージと第三世代には徐々に距離が生まれてきてしまっている。そのギャップを埋める。最高のステージで試合をするためのチャンスはギリギリのところまで来てしまっているのだ。

以前永田裕志選手は東京ドームの第1試合に出場したことについて言及していた。メインイベントどころか第1試合。次世代が台頭する中、自分の居場所がドンドン狭くなってしまっている。

そして、それがすでに当たり前の光景になってしまっている。2019年“第3世代”が出場した試合は過去に例を見ないほどに少なくなった。

偉大な先輩たち。もっと戦えることは誰よりも棚橋弘至選手が知っている。そして、プロレス脳がずば抜けて高い棚橋弘至選手がこのタイミングで“逆世代闘争”を提案したのか。その理由の一つに他団体の存在もあると僕は感じている。

 よし! これで2勝2敗。(※両手の指を2本ずつ立てて示しながら)2勝2敗。公式戦の数が多いから、俺は(星取は)イーブンでいっても、まだ希望はあると思う。それにね、彼(ヘナーレ)は今、伸び盛りだから。あと、タッグリーグに関係ないことを言うと、昨日テンコジ、今日、永田&中西と闘ったけど、これでいいのか! このまま、このままこのまま、尻すぼみで終わっていくのか! 20年迎えて、俺は思ったよ。やるなら今しかないじゃん。永田先輩、中西先輩、小島先輩、天山先輩、“逆世代闘争”仕掛けるなら、今でしょ……

 

プロレスリング・ノアのキテる感

ここ最近、プロレスリング・ノアが週刊プロレスの表紙を飾る回数が明らかに増えている。これまでとは違う仕掛けに多くのファンが目を奪われつつある。

一度プロレスリング・ノアの試合に足を運んでみようかな。そう思ったタイミングで一気に虜にさせられるのだからプロレスとは素晴らしいエンターテイメントである。

「俺と真剣勝負してください」

「ノアの会場でUWFのテーマ聞きたくないか」

明らかに胸が熱くなる言葉じゃないか。そうなのである。新日本プロレスが「プロレスを広げるマーケティングやプロモーション」をしている一方で、プロレスリング・ノアは「プロレスファンに対してリーチしている」のだ。

新規ファンからすればはて、という言葉でもプロレスファンからすれば「ごくり」と息を呑むことも決して珍しいことではない。

ここが団体のプロモーション方針の違いである。ここに棚橋弘至選手の狙いがあったのではないだろうか。

 

棚橋弘至の狙い

第三世代の試合を見ていて気づくことがある。やっぱり彼らが築いてきた歴史は大きく巨大なのだ。それは声援という形で美しく現れている。

ただ、尻すぼみのように試合数が減ってしまっているのは事実としてある。棚橋弘至選手は第三世代に“逆世代闘争”を提案することで「プロレスファン向けの仕掛け」を行いたいと考えているのではないだろうか。

新日本プロレスのエース。その本心は不明だが、今回の“逆世代闘争”には何かがあると僕は感じている。

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