高橋ヒロムとリュウ・リー、そして獣神サンダー・ライガー、佐野直喜のイッテンゴ

高橋ヒロムとリュウ・リー、そして獣神サンダー・ライガー、佐野直喜のイッテンゴについて書きたい。

ライガー最終章がいよいよクライマックスに差し掛かろうとしている。

福岡、広島という自身のルーツを辿るシリーズを終えた獣神サンダー・ライガー選手。日本列島を回る最後のシリーズで対角線に立ったのは現代の新日本プロレスを象徴する存在となった「IWGPヘビー級王者」オカダ・カズチカ選手と次世代のジュニアタッグを担う“ロッポンギ3K”YOH選手&SHO選手だった。

同じコーナーにはジュニアで栄冠を掴み、今ではベビー級で4強の一角に上り詰めた飯伏幸太選手と自身が新日本プロレスへと招いたタイガーマスク選手。まさに獣神サンダー・ライガー最終章に相応しいメンバーで繰り広げた連戦は、キレる十代を彷彿とさせるような飯伏幸太選手の一撃で終幕したように見えた。

が、その後の動画で“暴走マッスルカー”のエントランスミュージックが流れるとドラゴン・リー選手改め、リュウ・リー選手が獣神サンダー・ライガー選手に宣戦布告を果たした。

最後に戦いたい。

石森太二選手との「IWGPジュニアベビー級選手権試合」後に現役引退を発表した獣神の胸を借りる、いや直接対決で超える最後のチャンスを掴むべく、名前を変え新日本プロレスマットへとリュウ・リー選手は帰ってくるのだ。

ただし、獣神サンダー・ライガー選手は「もう1人戦いたいやつがいる」と言葉を発しまとめてかかって来い!と高らかに宣言したのだ。

そして、その心を新日本プロレスは受け止めた。

そうして獣神サンダー・ライガー最終章のクライマックス。獣神がカマイタチとリュウに負けたら即引退スペシャルが決定したのである。そして、そのセコンドには藤原喜明さんが指名された。

 

f:id:yukikawano5963:20191210084915j:plain

ドリームマッチとドリームマッチ

イッテンヨンの「獣神サンダー・ライガー引退試合 I」その対戦カードは獣神サンダー・ライガー選手&藤波辰爾選手&ザ・グレート・サスケ選手&タイガーマスク選手 withエル・サムライ選手VS佐野直喜選手&大谷晋二郎選手&高岩竜一選手&田口隆祐選手 with小林邦昭さんという豪華絢爛な“10人タッグ”だ。

最後は「お祭り」と獣神サンダー・ライガー選手が語っていた通り、日本を代表するジュニア戦士が東京ドームに一堂に集結する。イッテンゴが今、ホットな話題に違いないが、このタッグマッチに関しても語り尽くしたいほどの想いを持った方も多いだろう。

 

一番組みたかった人と

獣神サンダー・ライガー選手の引退は2試合ともにレッスルキングダムの第一試合に抜擢された。

そして、獣神サンダー・ライガー選手と同じコーナーに立つのは佐野直喜さんである。

僕は度々書いているが、プロレスに興味を持って本格的にハマったのは2017年である。そのため、昭和プロレスに関しては「新日本プロレスワールド」や各書籍、「有田と週刊プロレスと」で得た知識しかなく、佐野直喜さんについても、ライガー選手と同期くらいしか認識がなかったのである。

そこでまず、「新日本プロレスワールド」にて佐野直喜さんの試合を検索してみた。

すると、獣神サンダー・ライガー(獣神ライガー時代も含む)選手とのシングルマッチが5試合、タッグマッチで武藤敬司選手&獣神サンダー・ライガー選手VS高田延彦さん&佐野直喜さんという試合も出てきた。

以前、獣神サンダー・ライガー選手が「佐野さんがいなければ今の僕はいない」と語っていた。

その意味に少しでも近づくため、僕は試合を見てみることにしたのだ。

少しだけ、ほんの少しだけ新日本プロレスとUWFインターナショナルの対抗戦を見ただけでも分かる。

お互いが特別な気持ちを持っている。83年の同期入門。僕は早生まれの84年生まれなので、僕が生まれた年に2人は新日本プロレスの門を叩いているのだ。

“今とこれから”の新日本プロレス“ジュニア”を象徴する2人とのタッグマッチ。見逃す訳にはいかないだろう。

改めて、広島大会後に獣神サンダー・ライガー選手が語った素直なメッセージを振り返りたい。

 

ライガー「ありがとう。(※タイガーが控室に戻るのを見送ってから)まあ、生まれ育った土地が巡業、このツアーの最後ということで、やはり感慨深いものがありますけども。まあ、福岡とかね、広島とか。このあとオーストラリアとか、後楽園ホールもあるますけども、ツアーは今日で最後。しかも、生まれ育った広島が最後。先ほども言いましたけど、感慨深いものがります」
--(1.5東京ドームにおける)最後の試合の対戦相手が現れました。
ライガー「ここにきてね、新日ジュニアの最前線、トップを走ってる人間……まあ、彼らの対戦表明かな? 僕は正面で受け止めました。僕はほんとに、まだ闘いたい相手がいます。リング上で名前はあえて言いませんでしたが、もう皆さんおわかりだと思います。ですので、どちらかとシングルか、『まとめてかかってこい』と言いましたけど、タッグで来てもらっても結構ですし。あとはもう、会社にカードは任せます。僕の気持ちはリング上で言いましたから。ここからもう言うことはありません」
--(高橋)ヒロム選手と闘いたい最大の理由は?
ライガー「やはり、僕は彼の素質というか、資質というか、新日ジュニアを背負って、それでもまだ余りあるものがあるぐらいの素質だし、素晴らしいものを持ってると思うし、せっかくケガで、このタイミングでリングに帰ってきてくれたんだから。まあ、(引退試合の)前日、タイトルマッチですか? なのでカード的にタッグっていうのは難しいかもしれませんけど、僕は希望します。まあ、彼は僕が引退を表明した時から、『ライガーとやらせろ』って言ってました。彼の名前(本名)通り、広い夢が彼にはあるんだと思います。その夢を一つずつ、彼はつかんでいこうとしてると思う。その中で、新たな彼の時代を作ろうとしてると思う。でも、そんなに夢なんかつかめさせるか。最後の最後までライガー。そういうこと」
--ライガー選手はこれまでに何人かの引退試合の相手を務められましたけど、逆に務めてもらうというのは、どういう思いですか?
ライガー「“務めてもらう”じゃない。俺は、挑戦を受けたと思ってるから。俺、勝ったらどうすんだよ? そうしよう?」
--現役続行!
ライガー「だな! すごくねえか? 俺、世界中から非難受けるぞ。でも、それ、オレのせいじゃないからな。ヒロム……アッ、名前言っちゃった! ヒロムと、ドラゴン・リーじゃない、リュウ・リーだっけ……の責任だからな。(引退試合で勝ったら)どうしよう?」
--現役続行! 和製テリー・ファンクになるのはどうですか?
ライガー「オイ! 個人名挙げるな。だけど、ほんとに俺を木っ端微塵にしてほしい。叩きのめしてほしい。やっぱり引退を決意してよかったなって。『今の新日のリングは俺、かなわねえや』、そういうセリフを吐かしてほしい。(その言葉を)言うつもりは毛頭ないけど。とにかく新日本ジュニアの最前線、体感してみたいねえ……。体感してみたい」
--この最後の巡業ではヘビー級の最前線を体感されましたけど……。
ライガー「ウン! まあ、新日ジュニア、これは手前ミソになるけれど、凄いよ、新日は。ほかの団体が悪いとかそういうのじゃない。新日は俺の中で、新日本プロレスはヘビー級もジュニアもスゲエと思う。そのスゲエジュニアの最前線の人間と、最後はやりたい。それは会社も、オレの気持ちくんでほしい。くんでほしい。きっちりと黒星……。もう、あえて言うよ、ヒロムだ(苦笑)。一生懸命隠してたのに。ヒロムだ……」
--自分で言ったんですよ……。
ライガー「(※笑いをかみ殺しながら)そう。ヒロムと闘いたい」
--タッグマッチになった場合、パートナーの希望は?
ライガー「誰でもいいけれど、僕の歴史を締めくくるのに、やっぱり佐野(直喜)さんでもいいかなあとも思うし。佐野さんにも今の新日のジュニアっていうのを体感してほしいし。ファンの皆さんにも、やっぱり新日のジュニアって今スゲエなって思ってもらって結構、っていうぐらい叩きのめしてほしい。それでこそライガーの引退だよ。“もうかなわないや”“こいつらにはかなわない”“引退決めてよかった”“今までありがとう、これからのジュニア、頼むな”って、それで幕を引きたいな。ただ、勝ったらわかんないぞ。どうしよう?」
--過去、そういう(引退試合で勝って現役続行を宣言する)選手はいなかったから、いいんじゃないですか?
ライガー「『現役続行します!』って?」
--リング上に契約書を持ってきてもらってサインするっていうのは?
ライガー「(その場で)サイン! OK! お前ら、そういうことになるなよ……。ヒロム、リュウ・リー、覚悟してかかって来いよ。俺は花持たすつもりは一切ないから。獣神サンダー・ライガーでいきます。最後までライガーでいきます。(※控室に戻りながら、つぶやくように)そうか、復帰か……」

 

戦いたい

高橋広夢選手は一つの夢に到達した。ただし、イニシャルKこと鬼神ライガーではなく、おそらくいつも通りの獣神サンダー・ライガー選手との一戦になりそうではある。

そして、同じコーナーに立つのはドラゴン・リーから名前を変えたリュウ・リー選手である。

メキシコではカマイタチとして何度も激突し、新日本プロレスでも幾多の好勝負を繰り広げてきた2人がいよいよ手を組む時が訪れたのだ。

怪我の話はもういいだろう。高橋ヒロム選手も「俺も苦しんだし、アイツも苦しんだ」と語っている。

そんなことよりも、万が一にも高橋ヒロム選手とリュウ・リー選手が敗北しないことを祈った方がいい。

何も守るものがないということは、無敵ということ。引退を懸けて戦う以上、これまで以上のものが出てくる試合になることは間違いない。

であれば、この強者2人を倒して、引退表明撤回。そして、獣神最終章アフターストーリーがはじまる。

そんな展開もなしではないのではないだろうか。想い出と因縁がまじりあった複雑な気持ちの中で4人はそれぞれの想いを胸に戦う。

そこに有終の美なんて爽やかなものは存在しないのかもしれない。下手すれば秒殺だっておかしくない。

獣神サンダー・ライガー選手を超える最後のチャンス。ここに広い夢を見ている男は迫ることができるのか。

イッテンゴ。この日に伝説が生まれるのだ。ジュニアが第一試合。ヘビーがメインイベントでない。

2020年1月5日は最初から最後までクライマックスなのだ。そうですよね?組長?

→【ランキング参加中】人気プロレスブログはここからチェック!【クリックで応援お願いします】

→NJPW FUNのTwitterフォローはこちら