棚橋弘至がイッテンヨンの主要カードにいないのはやっぱり寂しい

棚橋弘至がイッテンヨンの主要カードにいない現実は中々シビアなものである。

僕が新日本プロレスを好きなった2017年序盤。時代の中心はまさに「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」“制御不能なカリスマ”内藤哲也選手だった。

敢えて言うが今の内藤哲也選手の人気とは異なる空気が会場を覆い尽くし、大半の“お客様”が彼の掌の上に乗せられていた。

誰と試合をしても、誰が立ちはだかっても内藤哲也選手の空気が流れていた。そして、その空気をファンも後押ししていた。

「棚橋弘至になれなかった男」は「棚橋程度にならなくてよかったよ」と蔑み、人気と実力で直接乗り越えた。あの日から約3年が経とうとしている。

棚橋弘至選手は絶不調の時期を経て、新日本プロレスのど真ん中にまで帰ってきた。

2019年、新日本プロレスがいい意味で安心して、熱く、楽しく、時に涙できたのは2019年のはじまりで棚橋弘至選手が「IWGPヘビー級ベルト」を戴冠したからだと心から思う。

あの日、新日本プロレスのエースは文字通り新日本プロレスの中心であり、頂点に立った。例え、その王座を新時代の担い手であるジェイ・ホワイト選手に奪われたとしても、その輝きが損なわれることはなかったように思う。

だが、棚橋弘至選手がイッテンヨンの主要カードにいないのは何だか寂しい。

改めて、僕が棚橋弘至選手に対して思っていたことをまとめてみる。

これは愛を語る男に、男として惚れた男の物語だ。

 

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元エースというイメージ

前述した通り、僕が新日本プロレスにハマったのは2017年の1月頃である。つまり、オカダ ・カズチカ選手が「IWGPヘビー級」の絶対王者、内藤哲也選手が「IWGPインターコンチネンタル王者」、後藤洋央紀選手が「NEVER無差別王者」としてシングルベルトをそれぞれの方法で輝かせている時代である。

ではこの時の棚橋弘至選手と言えば、内藤哲也選手にそれこそ完膚なきまでにやられていた。ここで新日本プロレスのファンになった層の大半が内藤哲也選手を支持する側に回っていたように思う。それほどのカリスマ性と魅力が爆発していた時期に、棚橋弘至選手は東京ドームの連続メインイベント記録が途絶え、ファン投票を真っ向から否定され、リングの上で一礼までされてしまった。

一言で言えば、終わったレスラー。そんな印象すら受けかねない時期。僕は...棚橋弘至選手に興味がなかった。

 

2017年の大阪大会で「IWGPインターコンチネンタル王者」に返り咲くとクラシックなプロレスをウリにしていた棚橋弘至選手だっだか、時代に逆行し過ぎていた印象がある。その楽しさを理解できるほど僕はプロレスを知らなかった。

当時の新日本プロレスは高橋ヒロム選手やウィル・オスプレイ選手がジュニアヘビーで躍動し、内藤哲也選手が「G1クライマックス」を制していた。

高い身体能力と鋭いマイク。ベビーでもヒールでもない“ダークヒーロー”たちが躍動していた時代。その時代において棚橋弘至選手が持つ綺麗な明るい光は眩しすぎたのもしれない。

そして、ここで事件が起こった。ジェイ・ホワイト選手が凱旋帰国を果たし、棚橋弘至選手に挑戦表明を果たしたのである。

期待の若き“スイッチブレード”と新日本プロレスを支え続けてきた大黒柱の一戦。一体どんな試合になるのかと固唾を飲んで東京ドームの二階席から見つめていたが、あまりにもスイングしない試合に衝撃を覚えた。

そうなのだ。この時期の棚橋弘至選手には愛のないブーイングが飛んでいた。棚橋弘至選手がキレ返すほどのヤジだってあった。

だが、ここからだ。僕が棚橋弘至選手に惚れ込む試合は目前にまで迫っていた。

 

オカダ・カズチカに負けた瞬間

「俺しかいねぇじゃん」

ザック・セイバーJr.選手に敗れた「ニュージャパンカップ2018」決勝戦を経て、棚橋弘至選手は前人未踏の記録に大手をかけたオカダ ・カズチカ選手へ挑戦を表明した。

そう、ここだ。この試合で僕は棚橋弘至選手を好きになったのだ。

「IWGPヘビー級ベルト」V11の記録を持ち、新日本プロレスを長年牽引してきた男は、記録以上に記憶に残る試合を魅せつけた。

2018年5月4日(金)。福岡・福岡国際センターだ。6307人札止めの会場が見つめる試合は長々と続くヘッドロックから幕を開けた。

 

ご存知の通り、試合はレインメーカーでオカダ ・カズチカ選手の勝利。34分36秒にもおよぶ長期戦となった。60分一本勝負のオカダ ・カズチカ選手はあまりにも強すぎる。

この試合後、棚橋弘至選手は涙で声を震わせつつ「もっと強くなる。過去の自分を絶対に超えてやるから!」と自らの胸中を語った。

これが止めだった。僕はこの瞬間、棚橋弘至選手に惚れたのだ。後半へ続く。

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