なぜ、高橋ヒロムはウィル・オスプレイに勝てたのか?
なぜ、高橋ヒロムはウィル・オスプレイに勝てたのか?
戦いはじめのイッテンヨン。東京ドーム二連戦の初日、第6試合は「IWGPジュニアヘビー級選手権試合」。王者ウィル・オスプレイ選手VS挑戦者高橋ヒロム選手だ。
高橋ヒロム選手が東京ドームで「IWGPジュニアヘビー級のベルトを懸けて戦うのは2年振り。一方でウィル・オスプレイ選手も2019年は
「NEVER無差別」として飯伏幸太選手との試合に臨んでいた。
2人がイッテンヨンで最後にぶつかったのは2018年にまで遡る。あの日KUSHIDA選手、マーティー・スカル選手を含めた新日本プロレスジュニアの四強は4Wayマッチを戦い、全世界の度肝を抜いた。
あの日から2年が経った今日。はじめて東京ドームでシングルマッチを戦う2人の勝負の分かれ目は“必殺技”になると僕は並んでいた。
ウィル・オスプレイ選手がオス・カッターからストーム・ブレイカーをフィニッシャーへ据えたのは、2018年5月のこと。
この技と共にウィル・オスプレイ選手は無差別級として多くの勝利を掴んできた。ただし、高橋ヒロム選手にはストーム・ブレイカーを編み出した後に敗北を喫している。
一方で高橋ヒロム選手はどうか。復帰早々、彼は「TIMEBOMBだけだと思うな!」とメッセージを残している。
DやDの悪夢など定期的に新技を繰り広げてきた高橋ヒロム選手だったが、いよいよVSウィル・オスプレイ用に技を生み出している、とカードを切ってきた。
新技が出るのか。磨きを掛けた技で勝利を掴むのか。そして、獣神サンダー・ライガー選手との約束を守ることはできるのか。
それでは試合のレポートに入っていこう。
530日、奇跡の入場
ミュージカルさながらの羽を背負って花道をねり歩く高橋ヒロム選手。その出で立ちで一気に東京ドームに集まったファンの度肝を抜いてきた。
「帰ってきたジュニアのカリスマ」は満員の東京ドームを楽しむかのようにじっくりと客席を見渡した。
続いて王者の入場だ。
これまで紫や緑、赤、ブラウンなど様々なコスチュームに身を包んできた空王がいよいよ白に身を染めた。
2019年後半から髪の毛を黒くしていたウィル・オスプレイ選手だったが、獣神サンダー・ライガー選手へのリスペクトかこの日は赤を入れていたようにも見える。
そして、鷹木信悟選手との「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア」で魅せた日本刀を高橋ヒロム選手の前で抜刀した。
入場は互角。いよいよ試合がはじまる。
大歓声
試合はグラウンドからスタート。続いて、エルボー合戦を経て、一気にギアを上げてくる。
高橋ヒロム選手のヘッドシザーズホイップをウィル・オスプレイ選手が側転で回避...できない。普段であれば耐えるシーンでモロに喰らってしまう。
場外戦からリング内へ戻っても高橋ヒロム選手のペースが続く。奇想天外な動きが連発。これまでの試合でも見たことないムーブをお互いが連発すると、ウィル・オスプレイ選手がここから首の一点攻撃をはじめる。
ベビーフェイスとカリスマ
ウィル・オスプレイ選手と高橋ヒロム選手の試合はもはや歪とも言える。正統派ベビーフェイスの“ガイジン”レスラーと奇想天外・摩訶不思議でアーティスティクな日本人ヒーロー。
令和の時代。ベビーフェイスやヒールという構図を超越した2人の試合は正義が悪を倒すという試合ではなかった。
敢えて言えば高橋ヒロム選手がヒールにはなるのだが、彼を“悪役”だと思うファンは既にもう居ないはずだ。
サスケスペシャル
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ウィル・オスプレイ選手がサスケスペシャルで一気に流れを掴む。高橋ヒロム選手は明らかにダメージが残る。派手な技に見えても冷徹に首を狙い続けるウィル・オスプレイ選手。
高橋ヒロム選手の知らない技、ヒドゥンブレイドを見舞おうとするもグッタリとダウンしたことで、難を逃れた。
雪崩式のカサドーラボムを強引に成功させ、王者に傾いた流れを自分に戻す。
続いてダイナマイト・ブランチャーが炸裂。得意の流れに持ち込もうとするも、ロビンソンすぺからのオス・カッター。
ウィル・オスプレイ選手の新技が炸裂し、シューティングスタープレスへ。更にはオス・カッターでフォールに入る。が、高橋ヒロム選手は2.9で肩を上げる。
再びヒドゥンブレイドを見舞おうとしたウィル・オスプレイ選手に対して、2つの技を残した高橋ヒロム選手が迎撃する。
お互いに残る必殺技は2つ。スーパーオス・カッターとストームブレイカー。タイムボムと未だ見ぬ新技だ。
渾身のカナディアン・デストロイヤーが炸裂しても、ウィル・オスプレイ選手は終わらない。
そして、デスバレーからのタイムボムという必殺のムーブへ。と、ウィル・オスプレイ選手は引かない。その場飛びのスパニッシュフライで再度自分に流れを引き戻す。
そして、ヒドゥンブレイドが炸裂。高橋ヒロム選手はグロッキー状態へ。と、ストームブレイカーのフォームに入ったウィル・オスプレイ選手に対し、返し技を見舞い、ラリアットからのタイムボムが炸裂。
試合が喫したかと思いきや、何とウィル・オスプレイ選手が肩を上げた。
そして、最後は高橋ヒロム選手の新技が炸裂。時限爆弾が炸裂し、新日本プロレスジュニアを牽引した男から3カウントを奪った。
完全復活のTIMEBOMBと最強のドラゴン・スレイヤー
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高橋ヒロム選手は後楽園ホールで行われた復帰戦で、コンディションの良さを見せつけた。負傷した首の影響はもはや無い。とことん休んだ結果、身体全身にあったはずのダメージも抜け切ったように見える。敢えて挙げるのであればシングルマッチでの試合勘だろう。
タッグマッチは3試合ほど戦ったものの、シングルマッチは復帰後に経験していない。一方で、2019年の新日本プロレスをフルスロットルで駆け抜けたのがウィル・オスプレイ選手だった。
「ワールドタッグリーグ2019を除き、主要なリーグ戦、トーナメント戦にはほぼエントリー。ジュニアとヘビーの垣根を超えて見せ続けてきた新世代の“闘魂”は、多くのファンを魅了し続けた。
新日本プロレスジュニアの新時代を託された男と新日本プロレス最強のベビーフェイス“ガイジン”レスラー。
最後の最後で結果を分けたのは、獣神サンダー・ライガー選手と最高の形で向き合いたいという意地とウィル・オスプレイ選手を倒すために作り出したかのような新技と返し技、そして相棒として愛し続けてやまないベルトさんとの再会したい熱意だったように思う。
いや、彼のことを応援し続けたファンたちの声援が、熱が彼に勝利を引き寄せたのかもしれない。
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