EVILの復活に必要なのは“制御不能”である

EVILの“制御不能”が春を制する鍵となると僕は考えている。※悲しいかな、「ニュージャパンカップ2020」が今の形で開催された場合の話だが。

2018年以降、新日本プロレスの人気ユニット「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」のメンバーがベビーフェイスでもヒールでもないという独自の立ち位置から全員、ベビーフェイスになっていることを書いた。

このベビーフェイス路線が大きく2人のメンバーの明暗を分けることになる。

SANADA選手とEVIL選手である。

「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」でSANADA選手は独特な立ち位置にいた。

ベビーでもヒールでもないのではなく、ビジュアルは強面になったが、ファイトスタイルそのものはベビーフェイスのそれだった。

新日本プロレス参戦時からラフファイトはほぼ行っていない。

ちなみに、高橋ヒロム選手は激しいファイトだが、ヒール的な動きはほぼない。立ち位置がヒールで試合の中身はベビーフェイス。このカラクリが「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」にダークヒーロー的な輝きを作っていった。

このダークヒーロー路線とベビーフェイス化によって最も影響を受けたのが“闇の王”だった。

“相棒”のSANADA選手がドンドン支持率を高め、オカダ ・カズチカ選手のライバルに上り詰める一方で、EVIL選手は停滞が続いている。

まるでキャリアの踊り場にいるように、劇的の負けが続いている。

石井智宏選手には連戦連敗。“豪腕”小島聡選手のラリアートでマットに沈むなど、いい所がない。

その理由を2つの軸で紐解きつつ、復活のために何が必要なのかを考えてみたい。

テーマは“制御不能”。EVIL選手が復権するためにはこの言葉は必要不可欠になると僕は思っている。

 

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鷹木信悟と同じ土俵で勝てるのか?

「NEVER」の申し子となった鷹木信悟選手とEVIL選手のキャラクター性が被ってしまっている。

リング上で激しくバチバチにしばき合う。今の「NEVER」戦線で戦うレスラーたちの共通点である。

石井智宏選手や後藤洋央紀選手、タイチ選手(本気モードの時)、鷹木信悟選手。

セルリアンブルーのリングで熱いファイトを魅せているレスラーたちと今のEVIL選手は同じ位置にいる。

それがEVIL選手にとってマイナスに作用しているのではないか。僕はそう考えている。

鷹木信悟選手は日本男児らしい熱いファイトを心情に頂点を目指している。そして、おそらくして今の新日本プロレスの日本人レスラーでマイクが一番上手い。

そんな男が同じユニットに参加してきたのだ。それもジュニアからヘビー級に転向してきたことで、EVIL選手の立ち位置がより一層難しいものになってきている。

“相棒”のSANADA選手はベビーフェイス路線に上手くハマり、トップ戦線へ。鷹木信悟選手は熱いファイトがファンの支持を得て「NEVER」の申し子に。

では、EVIL選手はどうすればいいのか。

 

ラフファイトに戻すのはどうか

僕はEVIL選手は“闇の王”としての自分を取り戻すことが大切だと思っている。

熱い路線のままでは今の鷹木信悟選手には勝てない。ユニット内で切磋琢磨するというのは、同じ領域ではない所で個性を伸ばしているからこそ通用する考え方だと僕は思っている。

同じユニットだからこそか個性はバラバラになるべき。そうなればこそ、それぞれのマイナスを埋めあえる関係になるはずなのだ。

今の「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」に欠けているピースはヒール要素である。

ベビーでもヒールでもない“制御不能”な集団に戻すためにもEVIL選手の変化が必要なのだ。

ヒールの要素を一手に引き受けて、勝利のためにラフファイトも厭わない。

とにかく勝つ。結果を残す。ヒールファイターとしての覚醒こそがEVIL選手が復権する鍵だ。僕はそう信じている。

 

闇の王としてのデビュー戦

いつからだろう。“闇の王”というブランドに熱い身体のぶつけ合いがインストールされたのは。

2015年11月7日、“キング・オブ・ダークネス”EVlL選手は大阪で後藤洋央紀選手とスペシャルシングルマッチを戦った。

漆黒に染まった会場へ指から放たれた閃光。強さと優しさを心に持った好青年が闇の王に取り憑かれたことで、生まれた新しい存在は入場してきた“混沌の荒武者”に入場パフォーマンスすらさせなかった。

リングの下に潜ると後ろから奇襲を仕掛ける。そして、場外でいきなり椅子攻撃を連発。

舌舐めずりしてから首に噛みつくなど、狂気性も兼ね揃えている。

敢えて言おう。この試合のEVIL選手の方が今のEVIL選手よりも強いかもしれない。

『ダイの大冒険』のヒュンケルが正義側についてから弱くなったと指摘されたように、EVIL選手もこうしたラフファイトが鳴りを潜めたことで弱くなってしまったのではないか。

それほどまでに“凱旋帰国”した試合のEVIL選手が魅せた試合は魅力的だった。

オカダ・カズチカ選手を大阪で破った時もラフファイトでダメージを与えたことが、必殺の“EVIL”へとつながっていた。

 

 

プレミアムな男ではなく、ヒールの花道を

2018年2月10日「NEVER無差別級選手権試合」は後藤洋央紀選手とEVIL選手の一戦は禍々しい“除霊マッチ”というテーマが掲げられていた。

闇の王を提唱しつつもその試合内容は質実剛健そのもの。そんなEVIL選手が明らか熱さを全面に押し出す直前にこの試合があったようにも思う。

後藤洋央紀選手に除霊された結果、プレミアムな男が闇の王のビジュアルで戦っている。それが今のEVIL選手の姿なのではないだろうか。

「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」に今、ヒールレスラーは存在しない。あの頃のEVIL選手に戻ることで圧倒的な差別化を図ることもできる。

そして、ユニットとしてベビーでもヒールでもない存在に戻ることもできる。

EVIL選手のヒール革命。これこそが天下取りへの最短ルートだと思う。

僕はEVIL選手が今の地位にいることに疑問しかない。力のあるレスラーが今、大きくジャンプするために屈んでいる。蓄えられた力が爆発した時、新日本プロレスのトップにEVIL選手が踊り出る筈だ。

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