ノアTVマッチに見る、無観客試合2.0の在り方

ノアTVマッチに見る、無観客試合2.0の在り方。

これまでのイメージを一新し、「美学のある闘い」を標榜し、日本国内のプロレス団体で2位を目指すと宣言したプロレスリング・ノア。

新日本プロレスが2月の沖縄大会以降、完全に時を止めている中、時を止めずに新しい動きを魅せ続けている。

潮崎豪選手と藤田和之選手のGHCヘビー級タイトルマッチもそう。

30分にも及んだ睨み合いは、今後のプロレス界で語り継がれる大事件となった。

そんな日本のプロレス団体で無観客試合のノウハウを積み重ねているプロレスリング・ノアが2020年4月19日に「Noah the sprit 2020」をABEMAで配信した。

完全なる無観客試合。

2020年のイッテンゴに続き、対戦カードは全て当日発表。事前に分かっているのは、武藤敬司選手と桜庭和志選手の参戦や拳王選手率いる金剛の新メンバー発表のみ。

無観客試合において大切なことは、一つひとつの大会に何かしらの仕掛けを入れること。

前哨戦を重ねてメインイベントに行く流れにも変化が必要なのかもしれない。

ここからは僕がプロレスリング・ノアのTVマッチを見て、無観客試合に必要な要素を考えていきたいと思う。

これまでプロレスにおける無観客試合は無しという派だったが考え方を改めざるおえない。

これまでのプロレスとはもはや別の楽しみ方や収益モデルを作り、「プロレスをつないでいく必要がある」のではないか。

プロレスリング・ノアの挑戦。これは、文字通りノアの方舟としてプロレスファンを違う領域(場所)へと運んでいるのかもしれない。

 

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おもちゃ箱をひっくり返す

第二試合の杉浦貴選手VSロッキー川村選手の試合は第一試合と打って変わってり、ボクシンググローブを付けた状態で試合がスタートした。

グローブを外した杉浦貴選手は座り込むグラウンドの体制へ。まさに猪木・アリの再現となる展開となった※後年、ボクサーと戦う場合の最適解だと立証されたため、理に叶った戦法だと言える

総合格闘技の台頭以降、異種格闘技戦をプロレスのリングであまり目にかかることはなくなった。

無観客試合を行う場合はこうした一手が必要不可欠なのかもしれない。

多角的な対戦カードと試合内容。休憩だと前振りしておいて、グレート・ムタ選手が登場してから、次の試合に武藤敬司選手が登場する。

そして、その対角線に立つのがUFWインターナショナル出身の桜庭和志選手とあれば、4の字固めが飛び出すのか!?と期待せざるおえない試合になるのは間違いない。

無観客試合において大切なのは、一つひとつの試合のつながり以上にインパクトと変化なのかもしれない。

他団体との交流戦は勿論、提供試合を入れたり、主人とベテランのシングルマッチを入れたり。

僕は無観客試合であるという前提であれば、新日本プロレスとスターダムの合同興行ですら賛同する姿勢になった。

以前までは絶対に相入れないと思っていたが、無観客試合となると状況が全く違うし、大会自体の形を変える必要も出てくる。

ライブ 配信ではフル尺を流し、アーカイブではカットすることだって無観客試合であれば編集しやすい。

無観客試合に必要なのはとにかく1試合、1試合の変化。これまでの大会とは全く別物だと捉える方が柔軟に楽しめそうな気がしている。

 

収益モデルの更なる多角化を

無観客試合最大の課題はチケット収入がないことである。とんでもない単純計算にはなるが、後楽園ホールで試合を開催し、1000枚のチケットを売る。チケット代の単価を5000円だと設定した場合、500万円の売上が出る※イープラスやチケットぴあからの支払日や手数料などもすっ飛ばしている

ちなみに後楽園ホールのレンタル料はこちら

https://www.tokyo-dome.co.jp/hall/organizer/hall.html

仮に20試合開催すれば1億円。この売上が無観客試合の場合なくなってしまうのである。

このマイナスを埋めるためには、以下の収益戦略が必要になってくると思う。

  • ライブコマースによるグッズ販売
  • YouTubeチャンネルなどの動画広告収益
  • ABEMAなどの動画配信サービスに試合の二次利用を委託
  • スポンサータイアップを大会ではなく、試合毎に
  • リングを囲むカメラマンの防護服にスポンサーを募る
  • レスラーのコスチュームにもスポンサー制を導入
  • 入場曲のストリーミング配信(買い切りの場合は収益が出る)
  • ハッシュタグスポンサーを募る(※トレンドに入れるプランとして)
  • スーパーチャット(投げ銭)の充実化
  • 団体ではなく、選手毎に投げ銭できる体制が望ましい※いやゆるおひねりである
  • ファンクラブ会員の細分化(優先チケットを取ることが目的ではなくなるので、少額のモデルに変える必要がある)
  • グッズはオンラインサイン会とセット(購入したTシャツにサインを入れている様子をライブ 配信 これは自宅でも対応可能である)

ここまでやってもまだまだチケット代を埋めるのは難しい。

先ほど後楽園ホールで換算したが、東京ドーム大会の場合、1試合で数億円規模の売上が出る。

プロレスの試合は年間120試合以上もある。その全てでチケット収入がゼロという状況は相当に厳しいのだ。

ただし、下を向いている訳にもいかない。続けていくためにできることをやるしかないのだ。

 

無観客試合2.0

目の前の相手を倒し、会場に集まったファンの熱を引き出す。この基本概念が覆されているため、これまでのプロレスを無観客状態でやるのは正直、無理だ。

であれば、違う方向性にアップデートするしかない。

より質の高い実況と解説。グッズ販売の新しい形。花道がなくなるため、エントランスムービーの充実化。そして、収益性の向上だ。

まだまだ手探り。これから生まれていくことばかりだと思う。

この日、プロレスリング・ノアが見せてくれた挑戦はきっと未来のプロレスを灯す光になると思う。

挑戦こそが新生ノアの美学なのかもしれない。

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