プロレスリング・ノアの狭いリングが素晴らしすぎた

プロレスリング・ノアの狭いリングが素晴らしすぎました。

2020年5月24日からスタートしたプロレスリング・ノアの新しいTVマッチ『NOAH "NEW HOPE" Day1 powered by ABEMA』。

コンセプトは方舟の“NEW HOPE”である清宮海斗選手をメインイベンターに添え、既存ファンだけではなく、新規ファンにも未来のプロレスリング・ノアをお見せすることでしょう。

解説席には現『GHCヘビー級王者』の潮崎豪選手も姿も。AbemaとTwitter連携で可愛いミスがあったようだが、それはご愛嬌ということで、TVマッチがスタートした。

と、多くの方がここで目を見張ったと思う。

Abemaの特設会場に設置された特製のリングは通常の6メートル20センチから5メートルに縮小されていました。

これはパッと見で「小さいな」と感じてしまうレベルです。プロレスとは語られるものでなく、そこに込めれられたメッセージや真意を汲み取るもの。

その視点で見てみると3つの意図が見えてきます。

まず、ハイフライヤーを中心とした激しい“動”ではなく、“静”のプロレスが展開されるだろうなということ。

次にタッグマッチの場合カットに入るまでの距離が短くなっているため、チームを完璧に追い詰めなければ勝利を飾ることができない点。そして、最後はTVマッチとして完全に独立させるということです。端的に言えば、通常の大会とチ『NOAH "NEW HOPE" Day1 powered by ABEMA』は全く別モノになるということ。それでいて、会場代などのコストはグッと下げられます。

後楽園ホールを6時間レンタルするのに60万円(定価。ホームページ参照)が掛かりますが、特設スタジオであればそのような心配はないでしょう。

そして、ここがミソ。リングの高さ自体も下げたことで、レスラーが抜かれるカメラワークも相当見応えのあるものになっていました。

普段以上のド迫力。特別リングサイドクラスの絵が撮れるようになったのは、プロレスリング・ノアが日本のプロレス界に発信した新しい新機軸だと思います。

TVマッチならではの絵。歓声が無い中での試合で必要なのはビジュアルで魅せるプロレスでした。

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サブミッション使いが光る世界

僕が特に気になった試合は、第二試合。大原はじめ選手と岡田欣也選手の試合でした。

闘龍門の13期生。オカダ・カズチカ選手とも共に汗を流した大原はじめ選手の魅せるプロレスに荒削りな岡田欣也選手が迫るという試合でした。

ジャベ(複合関節技)を中心に岡田欣也選手を攻める大原はじめ選手。通常のリングよりもロープまでの距離が近いのでエスケープされやすい...と思ったのですが、実力差があるとグイグイ決まるものですね。

正直、現時点で大原はじめ選手と岡田欣也選手の実力差は明白でした。キャリアの差。流動的な攻撃で狭いリングを広く使う大原選手に対して、単発での切り返しが目立ちます。

そんな試合を見ていて、自然と岡田欣也選手を応援したくなったんですよね。そうなんです。これが『NOAH "NEW HOPE" 』なんですよ。

そもそもリングのサイズが違うので、正式な選手権試合が組まれることはないはず。であれば、こうした狭い空間ならではのハイスピードな試合を繰り返すことで、レスリングの地力を付けていくことはこれからの成長にもつながっていくと思います。

 

20分一本勝負

ここでもう一つ。リングが狭いことで試合時間は20分一本勝負が中心となっていました。新日本プロレスのシングルマッチが基本的に30分一本勝負なので、10分短縮されていることになります。

ここが現代的にアレンジされている点なのかなと。YouTubeの台頭を見ても分かるように、短時間で楽しめるものを現代人は求めがちです。

そこに応えるためにも短〜中期決戦が中心になるようルールを整備したのではないかと考えます。

サプライズもお忘れなく

『GHCヘビー級王者』潮崎豪選手が第二試合がはじまる前に姿を現すと、復帰を宣言。6月14日。プロレスリング・ノアに何かがあることを高らかに言い放つと、齋藤彰俊選手がリングへ。

と、挑戦状を読み上げたのです。いやー。あれですね。昭和感が半端じゃない。令和の時代に挑戦状って...堪らないじゃないですか。

そうなんですよ。やっぱり、僕たちの世代はこういったベタが大好物なんです。

新日本プロレスができないこと

今、日本のプロレス界で最も攻めているのは、プロレスリング・ノアで間違いないでしょう。

新日本プロレスをベンチマークして、徹底的にマーケティングを重ねた結果がハッキリと大会に出ていました。

機動性よりもじっくりとレスリング(グラウンドでの攻防)を魅せる。

乱入などの展開を無くした完全決着の路線。バチバチとした戦いを中軸に添えることで、昭和感を残したまま、現代にアジャストしている印象があります。

様々な個性を一つの大会で融合させることにより、圧倒的な価値を作る新日本プロレスが極上の幕内弁当であるなば、プロレスリング・ノアは秘伝のタレを守りつつ、今風な味付けも取り入れた豊潤な味が自慢の唐揚げ弁当といったところでしょうか。

チャレンジャーとして徹底的に王者へ攻め入る。そんなプロレスリング・ノアがこれから盛り上がっていかないはずありません。

仕掛けまくる姿勢はUWFインターナショナルを彷彿とさせますね。その内、団体を超えたTVマッチのトーナメントなどをぶち上げる可能性もあるなと。

ただし、無観客のTVマッチにもまだ乗り越えるべき点がいくつかあります。

 

狭く・低いリングとVSレインメーカー

配信時間は約1時間半。通常の大会よりもギュッと凝縮された時間となりました。改めて、無観客TVマッチ『NOAH "NEW HOPE"』について考えてみます。

Abemaを通じて『プロレスリング・ノア』を定着させるという意味では素晴らしい。今のフェーズだとやっぱり無料で配信するのが定石ですからね。

そして、狭く・低いリングで新しい世界を作り出したのが素晴らしい。僕は、この日が無観客試合ではなく、TVマッチが生まれた瞬間だったと思うのです。

どこか、観客がいない寂しさのあったこれまでの試合と異なり、違和感のない時間だったと思います。強いていうのであれば、音響で間を埋めないと静寂が気になる点くらいです。そこを余韻という見方もできるので、判断が難しいのですが。

そして、グッズですね。どこかでライブコマースを仕掛けてくると思うのですが。これはまだちょっと先な気もしています。

色々と仕掛けながら準備するのは大変だと思いますが、確かな希望があるということは、素晴らしいことです。

最後に、清宮海斗選手の言葉を。

「俺が前に言ったこと忘れてないよね。武藤敬司と戦いたい!これは心からの叫びなんだ。それと、これは俺の頼みというか。

”レインメーカー”をこの体で体感したい!

これからはこのNOAH NEW HOPEで超新星爆発を起こしていくんで、「スーパーノヴァ」に期待してくれ!」

VSレインメーカーは実現するのか。今朝の時点でオカダ・カズチカ選手は何のリアクションも取っていませんが、何か動きがあり次第触れていきたいと思います。

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