プロレスラーが社長に噛み付くタイミングの難しさ
プロレスラーが社長に噛み付くタイミングの難しさについて書きたい。
新日本プロレス「ロス・インゴベルナブレス・デテンハポン」の内藤哲也選手が爆発的な支持を集めたのはいつか?と聞かれれば、確実に2016年木谷オーナーがぶち上げた「オカダ・カズチカ2億円プロジェクト」に違いない。
もはやマンネリと言っても過言ではないほどにリマッチが続いていた「IWGPヘビー級」戦線。ファンは新しいスターを渇望してやまないタイミングだった。
そんな時に正論を言われたのだから堪らない。
「他のレスラーは誰もオカダには敵わないってことなんじゃないの?」
木谷オーナーへ繰り返し提言する内藤哲也選手の両肩には「次の主役になって欲しい」という気持ちが乗りはじめ、そして大爆発した。
春を制し、真正面からの挑戦権を手に入れた上で「IWGPヘビー級ベルト」を奪取。
俺の夢だと語っていたベルトをぶん投げる様は、これまでの内藤哲也像を完璧打ち壊すものであり、新日本プロレスに新しい時代が訪れたことを予感させた。
何でこんな話を書いているかといえばプロレスリング・ノアである。
拳王選手がDDTプロレスリングとプロレスリング・ノアの社長を務める“大社長”こと高木三四郎選手に噛み付いたのだ。
なるほど...と思いつつ、まずは噛み付いた理由から見ていきたい。
噛みつき方の角度
拳王選手のTwitterを見てみると、高木三四郎大社長に噛み付いた理由として、以下の発言があった。
「てめえ、ノアの事何もやってねーだろ!」
この指摘はなかなか難しい...。まず、状況的に大きな動きをしている団体はない。
ようやく観客ありの試合が視野に入りはじめた時期である。
つまり、高木三四郎大社長が表立って何かをすること自体が難しいのである。
そんな中でも「DDTユニバース」は「レッスルユニバース」へと名前を変え、プロレスリング・ノアの配信が始まった。
ABEMAでスタートした『NOAH "NEW HOPE"』もそう。清宮海斗選手を“主役”に配信の世界からプロレスリング・ノアを広げる番組として一役買っている。
狭いリングや独自のストーリーライン。20分一本勝負と比較的短い試合のため、見やすさもある。
僕はプロレスリング・ノアがサイバーエージェントグループ入りをして以降、試合を見る機会が明らかに増えた。
これは紛れもない事実だ。だからこそ、「てめえ、ノアの事何もやってねーだろ!」に上手くライドすることができないのだ。
だって、社長の仕事は資金集めと意思決定であり、問題発言でもない限り噛み付かれる対象とはなり得ないためだ。
では、内藤哲也選手が木谷オーナーに噛み付いた時はなぜ、あんなにハマったのだろうか。その理由を振り返りつつ、内藤哲也選手ですら噛み付から角度を間違えると盛り上がりを作ることができないことも併せて説明したい。
ファンの気持ちを代弁する
オカダ・カズチカ2億円プロジェクトに対して内藤哲也選手は噛み付いた。
ここで大切なのは木谷オーナーの人格を攻撃しているわけではないということだ。
木谷オーナーが意思決定した2億円プロジェクトは他のレスラーから見たら違和感のある行動なのではないか?その説明をして欲しいということである。
大人になればなぜか出世が早い同期や先輩、後輩を見るケースがある。実績は変わらないのに、なぜかあいつだけが贔屓されている。そんなシュチュエーションだ。
バイトでもそうだろう。アイツだけが店長に贔屓されている。時給を上げることまで耳に入ってきたらならもう限界だ。
内藤哲也選手の言葉を少し置き換えると、「何で彼だけ贔屓されるのか?他のメンバーのこともちゃんと考えて欲しい」になる。
この言葉を仲のいい同僚が発した場合、あなたはどう思うか。僕は心からの拍手をして、居酒屋で一杯奢ると思う。
内藤哲也選手がピープルズチャンプになり得たのは、そうした民衆の深層心理を優しく包み込むような優しさと勇気があったためだ。
これが木谷オーナーに対して「てめー、新日本プロレスのことテキトーにやってるだろ」じゃ響かなかったに違いない。
そして、木谷オーナーらが馳浩議員に要望書を提出した際に出た統一組織設立に異を唱えた時はほぼ話題にならなかった。
これは単純に響かなかった。現在の状況を見て、この発言は少し視野が狭いという見方もあるためだ。
金剛の今後
清宮海斗選手は「レインメーカーを体感したい」という言葉で賛否両論を生んだ。
噛み付く側は実現しようがしまいが、発言で話題を生むことができる。
金剛TVの配信開始やダムネーションVS金剛。あるいは、2度と絡んでこないようになど、色々なストーリーが始まる予感はある。
直接対決も発表されただけに、これからの展開について要チェックが必要だろう。
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