永田裕志と鈴木みのる。不倒は全世界へのメッセージだった

永田裕志と鈴木みのる。不倒は全世界へのメッセージだった。

2020年6月17日、新日本プロレスが無観客(リモートマッチ)で開催した「ニュージャパンカップ2020」2日目。

ジュニアの実力者2人に日米のヤングライオン が挑み、「CHAOS」と「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」の前哨戦が終わったところで、いよいよ本日の大一番が待ち受けていた。

鈴木みのる選手VS永田裕志選手の一戦である。

2013年のイッテンヨン東京ドーム以来7年振りとなるシングルマッチ。ちなみに2011年のイッテンヨンでも“NO JUSTICE, NO LIFE”をテーマに掲げ、スペシャルシングルマッチを戦っている。

近年の新日本プロレスでは「ムカつくけど、アイツのことは認めているよ?」という節のコメントが急激に増えた。

他のユニットに所属しているレスラー同士もどこかで認め合っている。

これを僕は清潔感のあるライバル関係だと思っている。

どす黒さや嫉妬心の先にある感情。現代的な気持ちの表現方法とも言えるだろう。

ただし、永田裕志選手と鈴木みのる選手の場合は全く変わらない。だからこそ、魅せられる2人だけの試合があるのだ。

 

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鈴木みのるという生き方

鈴木みのる選手の試合はいつも、深い決意や何かの意味が詰まっている気がする。

全レスラーの試合で見るエルボー。この日も全ての試合で見たので、当たり前の技だし、深い意味よりも牽制やリズムを作るためといった意味合いの方が大きいように思う。

ただ、鈴木みのる選手が一発放つと、目の前に広がるのは確かな「痛み」であり、どこか他人事じゃないような「現実感のある一撃」のように感じる。

この日の試合はまるで、喧嘩が超強いと評判の不良(番長)と体育会系のトップ(生徒会長)が、正々堂々と体育祭でぶつかりあうような正当な試合ではなく、もっと内密で生徒しかしらない秘密の場所で行われる「決闘」というような何かに違いなかった。少なくとも僕はそう受け取った。

怖いけど、見たい。そんな僕の心のどこかに閉まっていた何かが開くような感覚だった。そして、36歳になった僕はこの試合から人の強さを感じた。

永田裕志選手が勝ったことで確信した青義(人)は今回の困難も乗り越えることができるのだ、と。そんな試合をこれからもう一度振り返ってみよう。

 

“エア”風になれ

運命の一戦は鈴木みのるが先に入場。「新日本プロレスワールド」で視聴しているファンがエア風になれを体験する。

そして、永田裕志選手は黒のガウンで入場。これは「IWGPヘビー級王者」としてV10を築き上げたメモリアルな1着である。

この試合は凄いことになるだろうな。そんなことを予感は裏切られることになった。

凄いという言葉では形容できない。身体に心に刻みつけるプロレス。恨み合い、憎しみあっている自分たち以外のレスラーにはできないプロレス。

エルボーの打ち合いが終わったら今度は張り手の打ち合いへ。プロレスというルールの元で行われる意地と意地の張り合いがそこに広がっていた。

入ってくるな!

場外から戻った永田裕志選手を鈴木みのる選手が強襲する。

「終わりか!?もう終わりか第三世代!?」

何度も何度も永田裕志選手を試すかのように殴り、蹴り、叩く。そして、相手の技を受ける、受ける、受ける。

永田裕志選手の重い蹴りがクリーンヒットしても倒れない。絶対に打撃では倒れない。

我慢、我慢、我慢。

あぁ、そうか。この2人のプロレスは今の時代を表現しているのかもしれない。プロレスとは時代の写し鏡である。エンタメが消費される時代になったと揶揄されるようになっても、一切色褪せず語り継がれていく。

プロレスにはただの殴り合い、しばきあいを超えたメッセージが込められている。正直、ここまでやる必要があるのか?というほど凄惨な試合だった。

 

プロレスの神髄とは何か

目に見えない恐怖と今もなお僕たちは戦っている。大好きな人とも距離を取らなければならない。

そんな時代だとしても光はある正義は勝つのだと永田裕志選手はリングの上でメッセージを送ったのだ。

プロレスは敗戦後の日本で大きく貢献したエンターテインメントである。

戦争では敗れたとしても、プロレスのリングでは日本は負けていない。俺たちはまだまだやれる!

そんな元気を明日への活力を作ってきた「戦うエナジードリンク」なのだ。

改めて永田裕志選手と鈴木みのる選手の試合を見直すと、そんな気持ちになった。

僕たちは戦って勝たなければならない。

今それぞれがしっかりとすべきことをする。そして、問題が解決する日はきっと来る。

永田裕志選手と鈴木みのる選手が不倒に込めたメッセージは今の世界に必要なものだったように僕は解釈した。

試合を決めたのは、永田裕志選手が若手時代から愛用してきたフィニッシュホールドである「バックドロップ・ホールド」だった。

この試合、最初で最後の青きフォール。赤い靴を履いた男が激しく3回マットを叩く音に「ここまで!」とある日の体育教師が止めに入ったような光景を思い出した。

鮮血した唇と真っ赤に腫れた耳と胸。“世界一性格の悪い男”から7年越しのプレゼントは、苦く少し気持ちの悪い鉄の味と永田裕志が春を制すための起爆剤だったように思う。

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