SHOがもう一つ乗り越えなければならない壁
SHOがもう一つ乗り越えなければならない壁について書きたい。
2020年の「ニュージャパンカップ」にジュニア戦士がエントリーすることが発表され、真っ先に注目を集めたのがこの対戦カードだろう。
「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」鷹木信悟選手VS「CHAOS」“ロッポンギ3K”SHO選手の第2ラウンドだ。
日本に引っ越したはずのウィル・オスプレイ選手は帰省していたことによって生まれた運命の一戦。鷹木信悟選手がヘビー級へ階級を上げたことで、シングルマッチはおろかタイトルマッチすらそう簡単に実現することが難しくなっていただけに、まさに運命のイタズラか。それとも龍と雷神はよほど引き寄せ合うものがあるのだろうか。
とにかく、新日本プロレスファンの熱視線を浴びる試合であることはまず、間違いない。
この試合が決まった直後から“ジャイアン”こと鷹木信悟選手による舌戦がスタートした。
「お前1年前から何も変わってないな」
2019年の「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア」でリーグ戦全勝。「G1クライマックス」では後藤洋央紀選手の優勝決定戦進出を阻止。「ワールドタッグリーグ」でも存在感を発揮すると2020年には「NEVER無差別級&6人タッグ」の二冠王となり文字通り“NEVERの申し子”と化した鷹木信悟選手。
今や新日本プロレスを支えるトップレスラーへと最速で駆け上がった。
一方でSHO選手はどうか。「スーパージュニア・タッグリーグ」で3連覇を成し遂げるも目標としていた「ワールドタッグリーグ」へのエントリーは見送られた。
その後も新日本プロレスのリングで存在感を発揮してきた(初代ミスター新日本など)が、鷹木信悟選手ほどの躍進を遂げることはできなかったように思う。
SHO選手に足りないもの。それは以前から指摘されてきた課題でもあった。
「いい人過ぎる」
そう、社会生活においてプラスに働くことが、プロレスラーとすると欠点になるのである。
飯伏幸太が魅力的なワケ
何故だが多くのプロレスファンは飯伏幸太選手という華と狂気のハイブリット型プロレスラーに強く惹きつけられる。ダルゴナコーヒーのように、混じり合うことなくハッキリと別れた2つの色の魅力が混在している様子は、見ていて飽きることがないし、常にプロレスファンへ刺激を与えてくれる。
悪ぶっているのにいいことを言う。やんちゃ坊主なのにジュニアを背負う覚悟がある。オチャラケているようで全て計算済み。
バックボーンと表現しているもののギャップが大きければ大きいほど、人はその魅力にクラクラとしてしまうのだ。
僕はSHO選手が好きだ。好きだからこそ、ここが正念場だと言いたい。新日本本隊と組むケースが増えたが「CHAOS」本来の意味を背負ってほしい。
新日本プロレスの中でも杞憂な才能である主人公性を持っているだけに、もう1枚の殻を破ってほしいと願っているのだ。
飯伏幸太選手はザック・セイバーJr.選手に対して、ブチ切れ控室に乗り込むべく静止を振り切り走った。
リング上だけではない、何をしでかすか分からない激しさ。いい人の枠を取り払うことで、SHO選手はきっともう一つ上の高みで輝くことができると僕は確信いているのである。新しいヘアースタイルも完璧。コスチュームも最高。対戦相手との物語は十分に編んできた。
もう一つ。もう一つの壁を乗り越えた時、SHO選手はシングル戦線でも大きな結果を残すレスラーになると思うのだ。
ドラゴンの胸中
「ニュージャパンカップ2020」の前哨戦でSHO選手は2度も鷹木信悟選手と対峙した。リングで魅せるパワーは明らかに凄みを増している。
ジュニアの大会ではなく、無差別級のトーナメントということで、絞りよりもスピードとパワーの両立を目指した肉体に仕上がっていることはひと目見ればすぐに分かる。
SHO選手は勝ちに来ている。それは十分すぎるほどに伝わってくる。ただ、もう一歩足りなかった。
試合が終わった後、鷹木信悟選手に一発ぶちかますくらい狡猾なSHO選手を出してもよかったのではないだろうか。
「1年前から何も変わってないな」が意味するところは、予想の範疇にいるのでイレギュラーが起こらない。そうなると経験の差で自分が勝てると読まれているためではないだろうか。
アイツ、今日は緊張してたな😏
— 鷹木 信悟(SHINGO TAKAGI) (@Takagi__Shingo) 2020年6月15日
そんなに俺が恐いのか?笑 https://t.co/hfc6LFUPO7
本当にいい意味で嫌な先輩だが、こういった指摘をしてくるということはSHO選手を買っているということ。
ドラゴンの胸中に秘めるものとは一体何なのか。
あの時とは状況が違った
後藤洋央紀選手を破り、「NEVER無差別級」のベルトを高く掲げ鷹木信悟選手は解説席にいたSHO選手を挑発した。
その時、SHO選手はタイトルマッチを控える身であり、怒りを堪えつつ龍を睨み付けるのみにとどまった。だが、今回は前哨戦であり、シングルマッチが確定している。
ジャイアンに言われっぱなしののび太くんでは、もう一つ物足りないのである。
「上で待っているから這い上がってこい」今こそ、這い上がった自分を魅せるときなのだ。
SHO選手が鷹木信悟選手から勝利を飾ると、一気に「NEVER」の世界観が変わってくる。状況によっては大阪(SHO選手が優勝した場合は内藤哲也選手ではなく、鷹木信悟選手を指名するという暴れっぷりを魅せてほしい)やそれ以降の大会でタイトルマッチが実現する可能性は十分にあるのだ。
「IWGP USヘビー級王者」であるジョン・モクスリー選手が渡航制限により新日本プロレスへ参戦できない今、シングルのチャンピオンは内藤哲也選手、鷹木信悟選手、高橋ヒロム選手の3名しかいない。
その中に割って入る千載一遇のチャンスが来週に迫ってきたのである。
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