なぜ、後藤洋央紀はEVILを除霊できなかったのか?

なぜ、後藤洋央紀はEVILを除霊できなかったのか?

2020年7月1日。いよいよ、明日「ニュージャパンカップ2020 」のベスト8が決定する。

飯伏幸太選手VSタイチ選手、SANADA選手VSSHO選手、YOSHI-HASHI選手VSBUSHI選手と珍しい対戦カードが並ぶ中で、約2年4ヶ月ぶりにシングルマッチを戦う2人がいる。

「CHAOS」“混沌の荒武者”後藤洋央紀選手と「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」“キング・オブ・ダークネス”EVIL選手である。

伝説とも言われた“除霊マッチ”から2年以上が過ぎた今、2人の因縁が再び交錯する。

「EVIL除霊マッチ」。

久しぶりに目にしたこの9文字はあまりにも破壊力があった。

最近、新日本プロレスにハマった方からすれば、何だこれはと思った方も多いと思う。いや、僕も同じ意見だ。

2年以上が過ぎた今でも意味は分からない。このコラムを書くために当時のインタビューやコメントを掘り起こしてみたのだが、僕たちの理解を超えた範疇でストーリーは進んでいた。

 

f:id:yukikawano5963:20200630073755p:plain

笑い事じゃないよ

木村謙吾さんと言えば「らしくもないぜ」。では、後藤洋央紀選手の名言と言えば「笑い事じゃないよ」だろう。

2018年2月8日、栃木・ニューサンピア栃木のバックステージで事件は起こった。

後藤「奴にとり憑いている強い悪霊に対抗するには…これだ! (※数珠を掲げて)こいつには奴の妖力を抑え、俺の法力を高める力があるらしい。笑い事じゃないよ。こいつが役に立てばいいが…。本当に役に立つかは、まだ俺にもわからん」

出典:新日本プロレス

いかがだろうか。

「本当に役に立つかは、まだ俺にもわからん」

あの数珠はどこで手に入れたものなのだろうか。謎は深まるばかりだが、悪霊、妖力、法力などパワーワードが連発されるにいたった日のことにも触れていきたい。

後藤洋央紀選手の口から天啓が降りたと語られたのは、2018年1月31日。EVIL選手を“ダークネスワールド”からひきはがし、プレミアムな男に戻すと宣言していた。

後藤「今回のシリーズ、NEVERと(IWGP)タッグのタイトルマッチという大きなテーマがありますが、昨夜、俺の中でもうひとつ新たなテーマを見つけました。あいつ(EVIL)にとりついている悪い悪霊を祓いたい! それは毎日増え続けてる。“イービル徐霊マッチ”!! 成功すれば奴はきっとプレミアムな男になれるはずだ」

出典:新日本プロレス

荒武者の進化は止まらない。

変わるということ

EVIL選手から勝利を飾り、「NEVER無差別ベルト」を防衛した後藤洋央紀選手はバックステージで“プレミアムな男”に戻ったはずの後輩に熱いメッセージを送っていた。

このままでいいのか? このままじゃいけないのか? いまはわからなくてもいずれわかる。一番重要なのは、変わらなきゃいけない自分に気づけるかどうかです。

出典:新日本プロレス

“混沌の荒武者”が放った哲学的な言葉。改めて考えみると深い。

表面的に変わることではなく、本当に大切なののは今の自分を受け止めること。

今、自分はどんな生き方をしているのか。世の中にどんな結果を残しているのか。変えなければいけないものは何か。

人として本質的に大切にしなければならないこと。可愛い後輩へ後藤洋央紀選手は試合を通じて、メッセージを送り続けたのかもしれない。

 

ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの4番手

しかし、この試合が終わった後もEVIL選手は“キング・オブ・ダークネス”のままだった。

表面的には除霊失敗となる。だが、あの日からEVIL選手のファイトスタイルに変化があったようにも思う。

ダーティーなファイトが鳴りを潜め、熱いバチバチな試合が中心になってきた。

怪奇派のヒールレスラーから熱い試合がウリのレスラーへ変貌を遂げた印象を受ける。

ただ、この日を境にシングルプレイヤーとしては、ほぼ実績を残すしてないのも事実である。

2018年から今まで起きたことをピックアップしてみる。

  1. SANADA選手がシングルプレイヤーとして本格覚醒
  2. タイチ選手、鷹木信悟選手の2人がバチバチの試合で会場人気を爆発的に高まる
  3. EVIL選手はザック・セイバーJr.選手やクリス・ジェリコ選手に黒星を連発

内藤哲也選手がヘビー級としては“4番手”と発言した裏にはこうした変遷があったのだ。

2017年の「G1クライマックス」でオカダ・カズチカ選手を破ったあの日から3年。EVIL選手はずっと向かい風の中戦い続けている。

 

 

ダークネスに戻る日

以前、僕はEVIL選手が以前よりも弱くなっているのではないか?と書いたことがある。

www.njpwfun.com

プレミアムな男が持つ爆発力に闇の王が取り憑いたことで生まれたパワフル&ダーティーファイター。これがEVIL選手の魅力であり強さだったのではないか、と。

そう考えると、実はあの日の除霊マッチは失敗していなかったのかもしれない。

後藤洋央紀選手は“キング・オブ・ダークネス”の悪意(反則行為)を封じ込めることには成功していたのだ。

後藤洋央紀選手が狙うのは、完全なる闇の王の封印。EVIL選手が取り戻すのはオカダ・カズチカ選手をも倒したあの頃のダーティーファイト。

「ニュージャパンカップ2020 」は預言者・後藤洋央紀選手の言葉通りに進むのか。運命の一戦が明日に迫った。

兎にも角にも数珠の再登場に期待したい。

→【ランキング参加中】人気プロレスブログはここからチェック!【クリックで応援お願いします】

→NJPW FUNのTwitterフォローはこちら