高橋裕二郎の哲学に人として大切なものを学ぶ

高橋裕二郎の哲学に人として大切なものを学ぶ。

いつから高橋裕二郎が好きなのか?と聞かれると、「分からない」と返すしかない。

どれくらい高橋裕二郎が好きなのかと聞かれれば、「新日本プロレスの中でもトップクラスに愛している」としか答えようがない。

高橋裕二郎の魅力とは何か?と聞かれれば...。

このコラム2000文字にその想いをトコトン詰め込もうじゃないか。

“バレットクラブファン”、“新日本プロレスファン”、そして“世界中のプロレスファンの皆様”いよいよこの時がやって参りました!

胸が高鳴るなんて言葉じゃ抑えられない。

まるではじめて「赤い実はじけた」時のことを想い出すかのよう(魚屋の息子に)。

そうです。我らが“バレットクラブ”の裏番長こと高橋裕二郎選手が数年ぶりに日本国内で(ニュージャパンカップ以外)のシングルマッチを戦うのです。

しかも相手は...“レインメーカー”オカダ・カズチカ選手!

2020年7月25日「SENGOKU LORD in NAGOYA」愛知大会。この日がXデーだ。

誰が令和2度目の夏に高橋裕二郎選手とオカダ・カズチカ選手のシングルマッチが実現すると想像していただろうか。

ハードコアな高橋裕二郎ファンでも難しかったはず。僕もそう。期待はしても実現するとは思っていなかった。

あー恥ずかしい。高橋裕二郎ファンを名乗る者として恥ずかしい。

ですが、日陰に隠れる訳にはいかない。運命の対戦を前にどうすれば高橋裕二郎選手がオカダ・カズチカ選手に勝つことができるのか?この点について、じっくりと考えていきたい。

テーマと合言葉は「俺のレヴェルまでアイツを引き下げる」だ。

 

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超人をはじめて否定した男

「人生の初期において最大の危険は、リスクを犯さないことにある」
セーレン・オービエ・キェルケゴール

オカダ・カズチカ選手と真っ向勝負で戦う。その戦法で白星を飾ることができるレスラーが何人いるのか。

少なくとも今の新日本プロレスでは片手もいない。それほどまでにオカダ・カズチカ選手はレスラーとして恐ろしいまでに完成されている。

スピード、パワー、テクニック、サイズ。どれを取っても一級品だが、彼の本当の恐ろしさは大きく2つある。

まずは、体力回復のスピード。こちらは最早チート級。次に「絶対的な勝ち癖」だ。

“新日本プロレスのエース”棚橋弘至選手との4年にもわたる抗争の結果、化け物を超えた存在(インベーダー)はさらなる進化を遂げた。

天龍源一郎さんの引退試合。鈴木みのる選手のデビュー30周年試合。さらには内藤哲也選手、ケニー・オメガ選手などの試合を経て、新日本プロレスの顔、いやプロレス業界の顔とも呼べるところまで化けた。

“レインメーカー3.0”とも呼ばれる現在のオカダ・カズチカ選手は強い。俺が負けるはずがないというオーラが溢れ出ている。

オカダ・カズチカ選手は、2012年のイッテンヨンで新日本プロレスの頂点に君臨する棚橋弘至選手へ挑戦表明を行うという新人としては前人未到のリスクを犯した。

「まだ早い」そんなブーイングが東京ドームを埋め尽くした。

ただ、リスクを承知でオカダ・カズチカ選手は棚橋弘至選手から勝利し、中邑真輔選手に次ぐ24歳での「IWGPヘビー級ベルト」戴冠を実現した。

シングルマッチの経験と場数は「IWGPヘビー級ベルトの最多防衛記録&回数」として目に見える結果となっている。

そう、オカダ・カズチカ選手の土俵で戦えば、ちょっとやそっとじゃ勝ち目はない。相手は超人だ。人の道を外れた男が作り上げた人を超えた男に隙はない。

ただし、高橋裕二郎選手はそんなオカダ・カズチカ選手を真っ向から否定した。いや、正確には本質を突いた。

その言葉には彼の人生哲学が詰まっていたのだ。

裕二郎「オカダ、お前は超人なんかじゃねーよ。ただの人間だよ? 人間だったらよ、ちゃんと言い訳してみろよ。なんでお前は、言い訳しないんだ? 昨日のEVILとの試合の介入。そして、6年前のAJ(スタイルズ)とのタイトルマッチ、その時のオレの介入。お前はよ、どっちも俺の介入に対して言い訳しなかったよな。そういうとこがよ、俺はよ、お前のことが大っ嫌いなんだよ。わかるか、オイ? お前はよ、俺の位置までよ、引きずり落としてやるよ。これ、マジ」

出典:新日本プロレス

そもそも“超人”という言葉は2017年のレスリングどんたくでバッドラック・ファレ選手と「IWGPヘビー級選手権試合」を戦ったオカダ・カズチカ選手が試合後のマイクで発した言葉だ。

ファンへ、そして柴田勝頼選手へ向けた言葉。それが、「プロレスラーは超人です。何があっても立ち上がるのがプロレスラーです」だった。

目を潤ませながら、力強く語った“レインメーカー”。あの日の感動はいつまでも色褪せることはない。

高橋裕二郎選手は敢えて超人というワードを持ってきた。

無理すんなよ。もっと肩の力を抜けよ。そんな言葉が裏側にあると解釈してしまうのは自分だけなのだろうか。

 

全米が泣いた。今の時代に必要な哲学

「皮肉には主観性の資質がある」
セーレン・オービエ・キェルケゴール

「お前は超人じゃない。ただの人間だ」

「言い訳をしない。そういうところが大嫌いだ」

「俺とオカダはレヴェルが違う。だから、俺の位置まで引きずり落としてやる」

高橋裕二郎選手が放った言葉の銃弾は人々の心を打ち抜いた。

なぜ、オカダ・カズチカ選手が言い訳をしないのか。その理由は圧倒的な当事者意識にある。

自分はどんな不利な状況になっても勝たなければならない。反則介入・乱入をイチイチ気にしていられない。

どんな不利な状況でも結果を出すのが“プロレスラー”オカダ・カズチカという自負があるのだろう。

ただ、こうした考えを持つことができるのは一握りの存在だけである。

多くの人々が嫉妬や妬みに心を支配される。弱い自分の影と対峙ながらダサい自分と向き合い続けている。

高橋裕二郎選手の言葉は、そんな完璧な生き方を続けてきたオカダ・カズチカ選手にとって斬新なものだった。

 

俺の位置まで引きずり下ろす

「信念は理屈をも超越する」
セーレン・オービエ・キェルケゴール

「まだ顔じゃないよ。潰すよ?」

「顔が見えないマスクマンみたいだ」

「(強すぎて)感情移入ができない」

オカダ・カズチカ選手を否定する声はこれまでにもあった。

だが、高橋裕二郎選手の言葉は少しニュアンスが違う。

「お前は強い。言い訳もしない。俺はお前のレヴェルに到達できない」とオカダ・カズチカ選手を肯定している。

さらにダメだというのではなく「大嫌い」だという言葉も印象的だ。

生き方を否定はしない。ただし、俺はお前のことが気に入らない。俺の世界まで来い。

俺はお前には合わせない。お前が俺に目線を合わせろ。

これは、自分をキチンと分析できていなければ決して出てこない言葉だと思った。

内藤哲也選手と「ノーリミット」を解散し、シングルプレイヤーへ。だが、“バレットクラブ”へと移ったもののトップ戦線で活躍する期間は短いものだった。

最近では「G1クライマックス」にもエントリーされない。「ニュージャパンカップ」も怪我で出場を逃したり、一回戦負けが続いている。

それでもファンは高橋裕二郎を待っている。彼に再びスポットライトが当たる日をずっと夢見ている。

それは何故なのか。分かりやすく目立った活躍はできていない。それでも彼が応援される理由はなんなのだろうか。

僕もそう。ずっとずっと高橋裕二郎選手に注目してきた。

ヒールユニットの中のバイプレイヤー。チームメイトを引き立てることに特化しているにも関わらず、ずっと彼を応援してきた。

それはひょっとすると、彼が一番感情移入できる存在だったからなのかもしれない。

ジェラシーに駆られてパートナーの内藤哲也選手を裏切り、干されていく自分への不満を「CHAOS」にぶつけた。

英語が堪能だったわけでもないのに当時、“ガイジン”しかいなかった“バレットクラブ”へ移籍。きっと、楽な道ではなかったはずだ。

自分はどこであれば輝けるだろう。自分の身の程を知れば知るほど、自分という存在がちっぽけに感じてくる(これは僕が、という意味だ)。

少しだけ僕の話を。

人と比較すれば転職回数は明らかに多い。学歴もない。自分は何がしたいのか?という目標だって定まらないまま30代中盤を迎えた独身。これが僕の姿である。

ただ、自分は今これがやりたいんだ。という意思だけは曲げずにここまで生きてきた。ミスったと思うことは沢山あるし、後悔だって山ほどある。それでも、今に満足もしている。

高橋裕二郎選手に心惹かれるのは身近さにあるのではないだろうか。

“苦労人”。

試合も面白いし、実力は十分にある。それでもスポットライトが当たらない。そんなカスミソウのような美しさと健気さが高橋裕二郎選手にはある。

しかし、そんな彼だからこそ報われて欲しいとファンは心から願うのだ。

 

再会のマイアミ・シャイン

裏切りの東京ピンプスから6年。再会のマイアミ・シャインで二人が対峙する瞬間が訪れた。

俺たちの高橋裕二郎はその背中と言葉だけで民意を手に入れた。

「俺の位置まで引きずり下ろす」彼が言うから意味がある。

以前、棚橋弘至選手はこう語っていた。「巡業中にジムへ行くといつも裕二郎が先にいる」と。

常にコンディションを整える姿は往年のリリーフエースのよう(浅尾拓也投手のようなイメージ)。

いつも最高の準備をしてきた彼にチャンスが回ってくるのは、当然の結果だったのかもしれない。

さて、ここからが本題だ。どうすれば高橋裕二郎選手はオカダ・カズチカ選手に勝てるのか。

泥仕合に持ち込むのか。反則介入を連発するのか。はたまた、ここまで積み重ねてきた高橋裕二郎の試合を見せつけるのか。まずはそこが問題だ。

と、ここで気付いた。既に通常の文字数を軽々とオーバーしているではないか(4000文字を突破)。何だったら、ここから同じかそれ以上に書こうとしている...。

いくしかないか。いこう。

NJPWFUN2度目の前後編である。

次回のタイトルは「高橋裕二郎がオカダ・カズチカに勝てる方法を300回シュミレートした」だ。

※早ければ明日の8時に公開します。

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