高橋裕二郎はオカダ・カズチカに勝てるか?

高橋裕二郎がオカダ・カズチカに勝つ方法を300回シュミレートした。

後編に分割してまで考えていたのは、「IWGPヘビー級王者としてV12を達成した完全無欠のチャンピオンを高橋裕二郎選手が攻略する方法、だった。

一日中、色々と考えた。気合いを入れるために美容室でブリーチしている時も。食事中も。オレンジジュースとピルクルを飲んでる時も。何度も何度も。

まるで終わらないタイムリープを繰り返すかのように高橋裕二郎選手の勝利をシュミレートする。

僕がプロレスにハマってから3年間で見てきた試合を追懐する。

現王者のEVIL選手を奇襲に使うのはどうか?

外道選手があの頃のバンダナ姿で登場し、油断させる作戦はどうだ。

ダメだった。オカダ・カズチカ選手は強すぎた...。

流石にやり過ぎると反則負けになってしまう(バレットクラブ全員同時にリングに上がってオカダ・カズチカ選手を強襲→ピンプジュースも考えた。流石に反則負けだと思った)。

両者リングアウトで引き分け。時間切れ狙い。昨今の情勢を見ると、観客席へと行くのも難しい...。

当日の第5試合という試合順や動ける選手の数。「CHAOS」のフォローまで踏まえると、中々援護射撃も難しい。

何よりもメインイベントでは総大将であるEVIL選手の「IWGPヘビー&インターコンチネンタル」ダブル選手権試合も控えている。

“バレットクラブ”としては、いたずらに戦略を削るわけにはいかないという見方もあるのだ。

色々と試行錯誤を重ねた結果、高橋裕二郎選手が勝利するイメージが湧いた展開は一つのみ。

鍵を握るのはキープ・オン・ジャーニー。いや、“ボーン・ソルジャー”石森太二選手だ。

先日、後藤洋央紀選手から高橋裕二郎選手がピンフォールを取った時と同じように、一瞬の隙をついて乱入する。

必殺のブラッディ・クロスを見舞って即座にリングからエスケープ。

これか。これしかない!

ただし、石森太二選手は上村のお坊ちゃんこと上村優也選手と第一試合でぶつかる。

つまり、高橋裕二郎選手の試合の鍵を握るのは上村優也選手ということか(違う)。

どうすれば勝てるのか...。いや、待て。高橋裕二郎選手のレベルって、勝ち負け“だけ”にこだわることなのか。

「俺の位置まで引きずり下ろす」

この言葉の意味を熟考しなければならない気がしてきた。

 

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花が咲こうと咲くまいと、生きていることが花なんだ。

「俺の位置まで引きずり下ろす」

この言葉の引力に引き寄せられ、全く考えもしなかったが、本来高橋裕二郎選手がリマッチを求めるのは「ニュージャパンカップ2020」の一回戦で敗れた後藤洋央紀選手の筈だ。

それでも、高橋裕二郎選手はオカダ・カズチカ選手をターゲットに定めた。ここにまず、何かの理由があると考えるべきだったのだ。

と、その前に過去のシングルマッチを2戦ほど振り返ってみる。

バディファイトPresents G1 CLIMAX 25 2015年8月9日 東京・後楽園ホール 第7試合 「G1 CLIMAX 25」Bブロック公式戦 オカダ・カズチカ VS 高橋裕二郎

史上最強のエントランスミュージック「ALL NIGHT LONG」の中、当時のディーバ・MAOちゃんと共に入場。

高橋裕二郎のテーマ「ALL NIGHT LONG」

高橋裕二郎のテーマ「ALL NIGHT LONG」

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※僕、この入場曲が本当に好きなんですよ

確実に、確実に...今の新日本プロレスではできない入場シーンである。確実にTwitterがヤバいることになる。ただ、ぼくは嫌いじゃない。

「男はみんな女が好き。その代表が俺なんだ」

「まともにやってオカダに勝てるわけがない」

5年前から高橋裕二郎選手は自己分析を徹底していた。

矢野通選手は高橋裕二郎選手に対して「パワーがあって独特の間がある」と語っている。

さらにその一年前。2014年8月3日の大阪では花道を歩くオカダ・カズチカ選手を強襲した。

と、この試合を見て気付いた。明らかに今よりも身体がデカい。おそらくこの1年で何か異変が起こった可能性が高い。

高橋裕二郎選手は以前、解説席に座ったとき怪我の影響で昔みたいなパワー技が使えなくなったと語っていた。

パワーと独特の間を武器にしていた高橋裕二郎選手は片翼をもがれトップ戦線から遠ざかっていったのかもしれない。

 

ただし、自己分析に長けた男は諦めなかった。

パワーと馬力が減ったのであれば、インサイドワークや細かいテクニックで献身的に動けばいい。

いつしか高橋裕二郎選手はユニットの円滑油と呼ばれるようになった。

そんな彼が久しぶりに前に出る機会がやってきたのだ。

人の道を外れた男から話もあったに違いない。

「お前がやるしかない」

「お前が動かなければ“バレットクラブ”は失墜する」

「裕二郎、お前しかいないんだ」

決意を込めた「ニュージャパンカップ2020」では髪の色をシルバーからゴールドに変えてきた。決意の“東京ピンプス”。

それでも後藤洋央紀選手に勝てなかった。

人生そんなに甘くない。「気持ちはずっと裕二郎」と集中力を切らさなかった荒武者は伊達ではなかったとも言える。

EVIL選手が破ったオカダ・カズチカ選手を狙え。2連敗で表舞台から引き摺り下ろせ。

これが外道選手が高橋裕二郎選手に与えたミッションなのかもしれない。「CHAOS」時代から付き合いのある男たちの談合で一体どんな会話が繰り広げられたのだろうか。

 

レインメーカー、真の恐ろしさ

高橋裕二郎選手は「俺の位置まで引きずり下ろす」と語った。

これは僕の予想になるのだが、この試合を通じて高橋裕二郎選手の位置がグッと上がると思っている。

俺たちの高橋裕二郎はやっぱり俺たちの高橋裕二郎だった。

きっと勝敗に関係なく、清々しい気持ちなっている。そんな気もするのだ。

前半で僕はオカダ・カズチカ選手の強さについて「チート級の体力回復スピード」と「圧倒的な勝ち癖」だと書いた。

そして、オカダ・カズチカ選手にはもう一つ。圧倒的な魅力がある。

それは相手レスラーの“格”を上げることができるという力だ。

少し脱線して、格の話をしてみよう。

現在の新日本プロレスで相手の格を上げられるレスラーは4人いると僕は考えている。

オカダ・カズチカ選手、棚橋弘至選手、後藤洋央紀選手、そして石井智宏選手である。

※格とは別次元にいるのが矢野通選手である。

この4人との戦いを通じて、内藤哲也選手もジェイ・ホワイト選手もSANADA選手も飯伏幸太選手もケニー・オメガ選手も新日本プロレスでの格を上げていった。

内藤哲也選手が「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」として完全に独走状態だった時、対角線に立ったのは後藤洋央紀選手、石井智宏選手、オカダ・カズチカ選手、棚橋弘至選手だった。

ケニー・オメガ選手も後藤洋央紀選手との「G1クライマックス」優勝決定戦に勝利し、オカダ・カズチカ選手との戦いで格を上げ、石井智宏選手との試合後、棚橋弘至選手の前に立った。

ジェイ・ホワイト選手や飯伏幸太選手はどうか。

エル・デスペラード選手や高橋ヒロム選手は「ニュージャパンカップ2020」で誰と戦ったか。

この4人の存在は新日本プロレスにとってあまりにも大きい。

 

勝った負けた。そんな小さいことでプロレスをしていない

閑話休題。

オカダ・カズチカ選手は高橋裕二郎選手との戦いを通じて、彼の魅力を最大限に引き上げる。

「俺のところまで引きずり下ろす」つもりが、高橋裕二郎選手がトップ戦線と変わらない魅力と実力を発揮していた。

そんな化学反応がオカダ・カズチカ選手と高橋裕二郎選手なら実現できる気がするのだ。

高橋裕二郎選手の元相方は、「勝った負けた。そんな小さいことでプロレスをしていない」と語った。

“超人”オカダ・カズチカの前に“人”である高橋裕二郎選手が立つ。

そこでどんな景色が描かれるのか。ここが一番大事なポイントなのだ。

若手時代ほどのパワーはない。

必殺の東京ピンプスは数年単位で炸裂していない。

ピーターさんもまだ参加できない。

現状、“バレットクラブ”のヘビー級で参戦しているレスラーは高橋裕二郎選手とEVIL選手の2人しかいない。

さらにルールはオカダ・カズチカ選手はがめっぽう強い60分一本勝負。(タイトルが掛かっていればここ数年ほぼ無敗)

反則介入なしで彼に勝ったのは、逆転の内藤哲也くらいだろうか。それほどまでに相手は強い。

そんな相手に今、このタイミングで対峙する意味を考え僕たちは考えなくてはならない。

 

夢のねえ時代だろ?だから夢見るんだよ、どいつもこいつも

高橋裕二郎選手は「道場でいくら練習してもシューティングスタープレスができなかった」と語ったことがある。

内藤哲也選手がスターダストプレスを華麗に舞っている隣にいた。高橋裕二郎選手にも葛藤があったに違いない。

今でも飛び技は関節技は多用しない。「ノーリミット」の時からそれは変わらない。

そんな彼にピッタリな楽曲がある。

1998年7月29日発売、反町隆史さんの名曲『POISON~言いたい事も言えないこんな世の中は~』。

POISON~言いたい事も言えないこんな世の中は~

POISON~言いたい事も言えないこんな世の中は~

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当時、僕は...。中学生か。インターネットはまだ普及していない。先輩はポケベルを持っていた。そんな時代である。

バブルが弾けて、日本全体がなんとも言えない空気に包まれていた90年代。ただ、独特の空気感があった平成初期。その頃に生まれた楽曲と高橋裕二郎選手がなぜだかとても重なって見える。

何度かリピートしつつその理由を考えてみると、いくつかのことに気づく。

「お前はよ、俺の位置までよ、引きずり落としてやるよ。」

あの頃のパワー、馬力、技。たくさんのことを諦めたからこそ滲み出る高橋裕二郎選手ならではの深みがある。補うために身に着けてきたスニーキーな戦法がある。

高橋裕二郎がオカダ・カズチカに勝つ。応援している側から見ても超蒼穹にハードルが高いのは分かりきっている。

高橋裕二郎の双肩には何かを諦めた大人たちの想いが乗っている。

エリート街道を歩んできたり、常に分かりやすい結果を残してきたレスラーではこんな気持ちにはならない。

言いたい事も言えないこんな世の中に対して、何も言わずに空気を読んで生きてきた。そんな気持ちを一番理解してくれるのが高橋裕二郎選手なのだ。

だからこそ、オカダ・カズチカ選手に爪痕を残して欲しい。

未来の話をするのはあまり好きではない。今、この瞬間を切り取るのが僕の役目だ(と勝手に思っている)。

新日本プロレスは秋の「G1クライマックス」とイッテンヨン東京ドーム大会を開催する方向で考えていると言及した。

高橋裕二郎選手が2020年下期にどんな活躍を魅せるのか。その最初の一歩がオカダ・カズチカ選手との試合に懸かっているのだ。

会場では声援が送れない時代。明らかに辛い。

そんな今だからこそ、高橋裕二郎選手が必要なのだと僕は思っている。

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