エル・デスペラードの「NEVER無差別級」挑戦に期待しかないワケ

エル・デスペラード選手が鷹木信悟選手の花道を強襲した時、いよいよ来たなと思った。

2017年に高橋ヒロム選手が凱旋帰国して以降、エル・デスペラード選手の魅力もストップ高を何度も記録してきた。

今ではすっかり飯塚高史選手の手綱を握っていた面影はなく、新日本ジュニアを代表する名ヒールレスラーとなった。

“流れ者ルチャドール”はその名の通り、ルチャをファイトスタイルのコアに持ちつつも色々なエッセンスを加えてきた。

新日本プロレスの“ストロング・スタイル”を彷彿とさせる殺気。

葛西純選手とのデスマッチを通じて身に付けたであろう説得力。

そこにウィットに富んだ言葉も加わり、その全てがファンの心を掴んだ。

そして、2020年。彼のキャリアにとって重要な歯車がハマった。

まるで、ずっとこの時を待っていたような。彼にとって必要なピースが自然と選ばれたような瞬間。

それが「ニュージャパンカップ2020」だった。

他のジュニア選手と共にエル・デスペラード選手初エントリーを果たすと、一回戦で運命の相手に出会ってしまった。

「NEVER無差別級」のブランドを作り上げた男の1人・石井智宏選手である。

今日は改めて、エル・デスペラード選手の価値観や試合展開について予想してみたいと思う。

 

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なぜ、彼には熱心なファンが多いのか

これは僕の解釈だが、エル・デスペラード選手は一度ファンになると抜け出せなくなる沼である。

独特の低音から響く、皮肉を交えた本質を突くメッセージ。

いいモノはいい。悪いモノは興味がない。という割り切ったキャラクター性。

そして、なによりもとことんネガティブで陰湿な雰囲気。これが他のレスラーにはない彼だけの魅力である。

その点について、エル・デスペラード選手は新日本プロレス公式スマホサイトのインタビューでこう語っていた。

デスペラード 俺は自分にまったく自信がない人間だから、マスクを被ってるんだよ。昔からデブだったし、デブなのに機敏な辻と違って、あんなに器械体操ができたわけでもねーし、基本的にコンプレックスの塊だから、自分に自信はひとかけらもねーな。三つ子の魂百までじゃねーけど、子供の頃からネガティブな人間だから基本的に物事を深く考えられないんだよ。

だから、変に理屈をこねたりするし、理由を探すんだよ。

出典:新日本プロレス公式

人間誰しもコンプレックスがある。僕にだってある。

昔からデブだったのは僕も同じだし、運動が苦手だったのも一緒。

集団生活の中に放り込まれた時、分かりやすい長所はどこにもなかった。

自分に自信かないから理屈や理由で理論武装しなければならない。

人は誰しも弱い自分を覆い隠すために仮面を被る。

それがエル・デスペラード選手にとってのマスクなのだ。自身がないから被っているだけ。だからこそあんなにも堂々とマスクを被り直すことができたのだと思う。

 

VS鷹木信悟への期待

新日本プロレスの鷹木信悟選手は、パワフルでバチバチなファイトを信条とする正統派にも見えなくはない。

ただし、彼の奥底には“邪道”への憧れと尊敬と、敬愛と...。色々なものが詰まっている(んじゃ!)。

鷹木信悟選手は大仁田厚選手と電流爆破を戦っているのだ。

そう、蝶野正洋さんやグレート・ムタ選手、長州力さんが上がった電流爆破を鷹木信悟選手は体験している。

彼の中には“邪道”の毒が確かに存在しているのだ。

SHO選手とのバチバチな激しい戦いではなく、今回は彼のシビアな一面を見ることができるかもしれない。

デスマッチをくぐり抜けたと言えば、エル・デズペラード選手も同じだ。彼の場合はデスマッチの帝王と呼ばれる葛西純選手との一騎討ちを経て、何が目覚めたとされている。※こちらは後述する

石井智宏選手との死闘についてもそう。スニーキーな小技を経ての本気のファイトは、高橋ヒロム選手とシングルマッチを戦った時を遥かに超える実力を感じさせた。

そして、何よりも大きなところがココだと思う。

エル・デズペラード選手は感情の見えるマスクマンになった。ここが一番大きな点ではないだろうか。

 既にジュニアタッグ戦線も視野に入っているのか?

 

獣神を継ぐもう1人の存在

2020年1月5日の東京ドーム大会で現役を引退した獣神サンダー・ライガーさん(YouTubeや解説席での活躍が凄まじくあんまり引退した気がしないのは僕だけだろうか)。

“世界の獣神”と呼ばれるまでのレジェンドレスラーは、マスクマンなのに感情が見えるという特徴を持っていた。

当たり前の話だが、マスクマンは顔が隠れているため表情を見ることができない。ただし、超一流のマスクマンにまで進化したレスラーは素顔の表情を見せずとも、試合中の感情を表現することができるのだ。

エル・デスペラード選手もそう。彼も表情が見えないにも関わらず、試合中に感情が伝わってる。これは大きく2つのキッカケがあった。

まずは、高橋ヒロム選手。彼との抗争をキッカケに彼の中の“愛憎”が全面に押し出されるようになった。

年齢・身長・体重不明というミステリアスさに“愛憎”が加わった。

そして、タカタイチマニアでのデスマッチ。あれは...壮絶な試合だった。あの試合で顎が砕けたというのも納得というか、試合開始直後からとんでもなさすぎた。

デスマッチのリングに上がること、デスマッチを見ることを通じて強烈に生を意識するようになる。

どう考えても人に理解されないほどの状況に身を置くからこそ、本人たちにしか見えていない景色があるに違いない。

「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」を欠場するという結果になってしまったが、それと同等以上のものを手に入れたような気がするのだ。

この2つの試合があったからこそ、石井智宏選手との試合があそこまで高まったと僕は解釈している。あの一戦があったからこそ、エル・デスペラード選手が鷹木信悟選手を強襲した時「キタ!!!」と素直に思えたのだろう。

2020年7月25日 (土)、新日本プロレスの龍とならず者が激突する。無差別級ならではの化学反応に今から期待している。

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