オカダ・カズチカが同期へ向けたメッセージに全世界が泣いたと思う
オカダ・カズチカが同期へ向けたメッセージに全世界が泣いたと思う。
少なくとも今朝、僕は一気に涙腺がぶっ壊れた。
2020年7月20日。いよいよ新日本プロレスが後楽園ホールに帰ってきた。
愛知県大会につながる重要な前哨戦が繰り広げられる一日。
全6試合を通じて、今の新日本プロレスを余すことなく伝えることができる充実した時間だったように思う。
中でもやっぱり印象に残ったのは第4試合。オカダ・カズチカ選手&後藤洋央紀選手VS高橋裕二郎選手&外道選手である。
今回のスペシャルシングルマッチは、高橋裕二郎選手からオカダ・カズチカ選手への宣戦布告からはじまっている。
“俺たちの”高橋裕二郎は新日本プロレスいや、プロレス界を代表と言っても過言ではない“レインメーカー”へ「俺の位置まで引きずり下ろす」と語り大きな話題を読んだ。
そう、これまでは高橋裕二郎選手サイドの視点だった。
(キャリア的に)スポットライトが当たらない男が“人”の思いを背負って“超人”に挑む。
どこか自分に諦めを抱いているにも関わらず最前線で戦い続ける男の哀愁と深み。この2つを“レインメーカー”にぶつけることに意味があると思っていた。
ただし、現実は違った。オカダ・カズチカ選手の言葉で戦局は大きくかわってしまったのだ。
自分の評価は誰がするのか。今日はそんなテーマにもつながってくるような気がする。
本当のレヴェルは違わなかった
この日のタッグマッチを見直すと、高橋裕二郎選手がとても不思議な目をしていることに気付く。
そして、戦い方も予想していたものと少し異なっていた。
もっと、スニーキーに。もっとラフが目立つ前哨戦になると思っていま。
俺の位置まで引きずり下ろすことがテーマならば、この時点でオカダ・カズチカ選手に弱点を作らなければならなかったはずなのだ。
実際、エル・デスペラード選手は鷹木信悟選手の膝を徹底的に痛めつけた。
「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア26」でグループリーグ全勝を成し遂げ、ヘビー級に転向した“ザ・ドラゴン”。
真正面からぶつかりあうだけでは、正直分が悪い。そこで、膝攻めを繰り返していたのである。
ウエイトやサイズという有利不利の材料をフェアに整える。これが相手を自分の位置まで引きずり下ろすための常套手段だ。
話を戻そう。高橋裕二郎選手はそういった類の攻撃は見せなかった。
つまり、万全のオカダ・カズチカ選手と名古屋でぶつかり合うことになる。
オカダ「まぁ……気合い入ってんじゃないの、裕二郎さん。まぁね、俺はどんだけアナタに乱入されようが、言い訳はしませんよ。乱入されても勝つこともあるし、アナタが乱入して勝てなかった、それだけ。ただね裕二郎さん、アナタ、『乱入屋』で終わっていいの? 俺を、アナタのところまで引きずり下ろす? 上がって来いよ! アナタが上がってきてくれたら、もっと新日本プロレス、盛り上がるよ! まぁこんなこと、あんまり言いたくないけども、僕も裕二郎さんも、2004年デビューですね。飯伏さんも、鷹木信悟もそうですよ。裕二郎さん、アナタ、僕たちと同じレベルになってますか? なってないよね。でも、なれるだけのもの、持ってますよね? 俺は、横に女の子つけてヘラヘラしてる高橋裕二郎なんて見たくないんだ。堂々と、バチバチやり合う高橋裕二郎……BULLET CLUBで好き放題反則やればいいよ。ただ、強くて、ワクワクさせてくれる高橋裕二郎、名古屋でお会いしましょう」
出典:新日本プロレス
この言葉を受けて、僕は素直にこう思ってしまった。
散々、外道選手から“レヴェル”が違うと言われたオカダ・カズチカ選手のステージで戦う高橋裕二郎選手が見たい、と。
この日のタッグマッチが終わった後、リングで向き合った2人。その構図はあまりにも絵になりすぎていた。
まるで何年もライバル関係だった2人のようにも見えたのだ。
このままで終わっていいの?
高橋裕二郎選手が発した「俺の位置まで引きずり下ろす」という言葉は、オカダ・カズチカ選手の新しい一面を切り開いたと思うのは僕だけだろうか。
おそらく数年前のオカダ・カズチカ選手であれば、いやいや五月蝿いよ。まぁ“レヴェル”が全然違うんでね。あんな人とそもそも同じ目線になれるわけもないので...。
と、一方的なマウンティングに終止していたはずなのだ。
ただし、今回は違った。自分の大切な試合を2度もぶち壊したと男に対して、激励のメッセージを送ったのである。
飯伏幸太選手、鷹木信悟選手、プロレスリング・ノアの中嶋勝彦選手など2004年デビュー組は豊作である。
高橋裕二郎選手とオカダ・カズチカ選手は2004年デビューの同期。そして、以前は「CHAOS」として行動を共にしていた過去もある。
当時、2人はとりわけ会話が多い方ではなかった..らしい。ただ、どこかで同期のことを認めていた。
そして、オカダ・カズチカ選手はどこか僕たちの心を見透かしたように、この時一番欲しい言葉をくれた。
あなたも僕も特別なのだ
強くて、ワクワクさせてくれる高橋裕二郎。俺たちの高橋裕二郎。トップ戦線のレスラーと対峙しても全く引けをとらないことは僕たちが1番知っていたはずなのに、オカダ・カズチカ選手の言葉が心に染みた。
そう、この言葉って“何かを諦めた大人”たちへ向けたメッセージだったのかもしれない。
自分はダメだから...。もういい年齢だし...。そんな言葉で心の中にいる弱い自分を抱きしめていないと心が壊れそうな人はたくさんいる。僕だって、多くのことを諦めてきたので自覚はある。
ただ、オカダ・カズチカ選手はスッと本質を突いてきた。アナタは今確かにダメかもしれない。結果も出せていないかもしれない。
でも、本当は違うでしょ?アナタは本当は持っている人間だ。そんな言葉を投げかけてきたのだ。
もう一歩踏み込もう。人は誰しも生まれてきた時点で特別なのである。そうじゃなければ生きている理由がない。
ただし、学校や社会生活の中で優劣を付けられ、自分に自信を失っていく。その結果、諦めてしまうのだ。
本来、自分の評価は自分がするものではない。他人が自分を評価するものなのだ。理不尽な評価だってあるだろう。こんなに自分は頑張ってるのにと納得がいかないことだってたくさんあるだろう。
だからこそ、リスペクトが心にしみるのだ。
高橋裕二郎選手はオカダ・カズチカ選手から本気を出すに値するレスラーだと認められていた。AJスタイルズ選手、EVIL選手の試合で自分の敗戦を招いた「乱入屋」を同期として、いや実力者としてずっと認めていたのだ。
それが嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。
もっと新日本プロレスは盛り上がる
オカダ・カズチカ選手は愛知県安城市出身である。つまり、今回の大会は地元への凱旋試合という意味合いもある。
引きずり下ろすじゃなくて、上がってこい。そうすれば、もっと新日本プロレスは盛り上がる。
オカダ・カズチカ選手が相手のことをここまで認めた発言をしたのは、いつぶりだろう。しかも、試合前に、だ。
本来であれば舌戦を繰り返している時期のはず。それだけオカダ・カズチカ選手の中でも高橋裕二郎選手に対して思うところがあったのだろう。
この試合の結果次第では、高橋裕二郎選手は数年ぶりに「G1クライマックス」にエントリーする可能性がある。
もしもそうなれば、間違いなく新日本プロレスはもっと盛り上がる。
僕も本当にそうだと思う。あぁ、今日は朝からなんだか空が眩しい。きっと、今週土曜日はもっと上を見上げることになるのだと思う。
→【ランキング参加中】人気プロレスブログはここからチェック!【クリックで応援お願いします】
★新着記事★
★高橋裕二郎特集はこちら★