新日本プロレスのKOPW2020とサイバーファイトの因果関係

新日本プロレスのKOPW2020とサイバーファイトの因果関係について書きたい。

まずはKOPW2020について。前提としてこのタイトルを新日本プロレス(菅原会長)へ直談判し実現させたのは“レインメーカー”オカダ・カズチカ選手である。

2020年に入り、オカダ・カズチカ選手は賛否両論の「否」が足りないと指摘し続けてきた。

「新日本プロレスがファンに媚びた結果、今のような距離感や形になっているになっている」とドラスティックな表現を使いつつ、現状を俯瞰して見ていたレインメーカー。

彼は現在繰り広げられる二冠戦を「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」のお家芸だと真っ向から否定し、自分は「面白いこと」をすると宣言していた。

大半の新日本プロレスファンが彼の言葉に踊らされた。21年振りの開催となる神宮野球場大会への仕掛け。

これが「面白いこと」だとミスリードしていたのだ。

僕自身、アントニオ猪木さんの御前試合や大仁田厚選手を招集した“ノーロープ有刺鉄線電流爆破マッチ”だと予想していた(後者は流石に難しいと思うが)。

結果は、まさかまさかの新タイトル創設。さらにはベルトなし。1年をかけてトロフィーを獲得するレスラーを決めるという現在の新日本プロレスにはないエッセンスが詰まったルールが制定された。

昨今、プロレス業界を取り巻く環境は変化が激しい。

女子プロレス団体・スターダムのブシロードグループ入り。武藤敬司選手率いるレッスルワンの解散。DDTグループとプロレスリング・ノアの経営統合による新会社「サイバーファイト」の設立。

新日本プロレス一強時代が終わり、プロレス戦国時代へ。過去、テレビ局の代理戦争を担っていたプロレスから時代は移り変わり、IP企業&テレビ局連合とIT企業&インターネットテレビ局連合の時代に。

これだけは断言できる。日本のプロレス界はここから大きく盛り上がっていくことになる、と。

 

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文化系プロレスの大逆襲

大学在学中にイベントプロデューサーとしての才覚を発揮した高木三四郎大社長。DDTの旗揚げに参加して以降、社長(大社長)に就任し、文化系プロレスの旗振り役として、豊かな時間を届けてきた。

正直に言うと、僕が今きちんと終えているプロレス団体は新日本プロレスとDDTだけだ。スターダムはリアルタイムでは追うことができず、後からのチェック。プロレスリング・ノアについては新日本プロレスが再開したことで視聴がストップしてしまっている。

それでもDDTだけはチェックを止めなかった。これは平田一喜選手による力が大きいが、決してそれだけではないのだ。

DDTはとにかく見ていて楽しい。エンターテインメントに振り切りつつ、締めるところは締める。カリスマやHARASHIMA選手の試合はいつも見応えバッチリだ。また、上野勇希選手のように若くてイケメンのレスラーもいる。赤井沙希選手が大活躍しているように、ミックスドマッチだってある。

さらに秋山準選手の手腕により全体のクオリティも向上するに違いない。

正直に言えばプロレスにハッピーエンドだけを求めるのであれば、DDTプロレスリングを見ることをオススメする。

感想はいつも「あー楽しかった。次もまた見よう」だ。そこには「バッドエンドがー」とか「暗黒時代に〜」とか変に揶揄する声もない。

団体とファンが一枚岩となりプロレスをエンジョイしている。そんな雰囲気がヒシヒシと伝わってくるところも魅力的だ。

平和で明るく楽しい。DDTプロレスリングはおすすめである。

 

プロレス見込み客への圧倒的リーチ

一方で、プロレスリング・ノアはどうだろう。

こちらは明らかに“プロレス見込み客”へのリーチを続けてきた。現「GHCヘビー級王者」である潮崎豪選手が2020年に防衛したレスラーは2人。藤田和之選手と齋藤彰俊選手である。

アントニオ猪木さんから「イノキボンバイエ」のエントランスミュージックを引き継いだ新日本プロレス出身の総合格闘家(プロレスラー)・藤田和之選手。

プロレスリング・ノアの歴史を背負い、生き抜いてきた齋藤彰俊選手。

この2人と「I am Noah」こと潮崎豪選手の試合ともなれば、プロレスファンは絶対見逃すことができない試合になる。

そして、サイバーエージェントのグループ入りから明らかにプロレスリング・ノアは変わった。

投資フェーズということで、試合はABEMAで無料配信される。また、新日本プロレスを通じてプロレスファンから支持を得る存在となった松井珠理奈さんを招集。さらには山田邦子さんまで引っ張り出してきた。

Twitterのトレンドに入れることや視聴数(これはカラクリがあるので、コメントは控える)を主目的におき「今、プロレスリング・ノア」が盛り上がっているというマーケティングを行ってきたという見方もある。

ABEMAのコアユーザーが10

解散したレッスルワンから多数のレスラーを引き受けたことも素晴らしい一手である。

何よりも大きいのが武藤敬司選手だろう。エムズアライアンスの結成も記憶に新しいが、注目すべきはその知名度だ。

周り友人に知ってるプロレスラーは誰?と聴いた時に上がる選手を羅列してみよう。

アントニオ猪木さん、ジャイアント馬場さん。ここが知名度として最強である。続いて、僕ら世代には長州力さん、大仁田厚選手、蝶野正洋選手。

今のテレビを見ている層は棚橋弘至選手、真壁刀義選手、本間朋晃選手、そしてオカダ・カズチカ選手。女子も含めるとアジャ・コングさんや神取忍さんも出てくる。

この知名度の列に加わるのは武藤敬司選手しかいない。

 

しかも、なぜか分からないけど知っているというレベル感の知名度だ。これは強い。

この圧倒的なパワーをプロレスリング・ノアは取り入れた。

武藤敬司選手を媒介として、今トレンドのレスラーをより強く売り出していく。これがプロレスリング・ノアの軸になっているに違いない。

プロレスを全く知らない層にリーチするよりも見込み客を狙いに行ったほうが効率的である。

経営統合を果たした結果、プロレスリング・ノアは既に目指してきた業界2位の座を手に入れた。

高木三四郎大社長の経営センスが光るのはまだまだこれからな気がしている。

いよいよ現れたライバルに対して

ここからはいよいよ新日本プロレスの話題へ...と思ったが、ちょっと長くなりそうなので、記事を分割する。

主なテーマは「KOPW2020」になるのだが、考えれば考えるほどのこのタイトルは「賛否両論」を生む仕組みで溢れている。

まずは、最後の最後に勝った人間が称号を手に入れること。一発逆転と言えば聞こえがいいが一年通して守り抜き、最後の最後で負けてしまった場合は理不尽極まりない。

また、レスラー同士でルールを持ち寄りファンの投票で決定するというコンセプトは「人気のあるレスラーに有利」という見方もできる。

つまり、これまでのベルト戦線とは明らかに毛色が異なるのだ。

しかし、明らかに盛り上がるのは間違いない。その理由は明日しっかりと説明したいと思う。

最後に一つだけ面白いネタを落としておこう。

知っている方は知ってるとは思うが、ABEMAはサイバーエージェントと「テレビ朝日」が作った合弁会社である。新日本プロレスとテレビ朝日の関係は団体創設時にまで遡る。

明日のコラムにもご期待いただけると幸いだ。

※2020年8月5日にNJPWFUN2周年記念日のライブ配信が決定しました。チャンネル登録よろしくお願いします!

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