金丸義信無双の凄さをまとめてみる【新日本プロレスファン必見】
金丸義信無双と新日本プロレスジュニアの今後について書きたい。
2020年9月11日に行われた新日本プロレスの後楽園ホール大会で第62代IWGPジュニアタッグ王座が決定した。
“ロッポンギ3K”が返上したベルトを掴み取ったのは“鈴木軍”金丸義信選手&エル・デスペラード選手組。これで“鈴木軍”は「NEVER無差別級」、「IWGPタッグ」、「IWGPジュニアタッグ」と主要タイトルを総なめしている状態にある。
では、“鈴木軍”の勢力拡大に最も貢献したこの日の主役は誰だったのか?
宿敵・高橋ヒロム選手へ愛憎を燃やすエル・デスペラード選手...ではなく、金丸義信選手だった。
“ヒールマスター”金丸義信選手。
プロレスリング・ノアや全日本プロレスで認められた天才は今、ヒールマスターとして暗躍している。
どの団体にいってもエースになれる力量を持ちながら、敢えて一歩引いた位置でその実力を発揮している。
そして、この一歩引いた位置が今の彼にはバッチリハマっているのだから面白い。
先日の明治神宮野球場大会もそう。両肩に大きな期待を背負うマスター・ワト選手とオープニングマッチで戦い、回転エビ固めで軽く料理した。
「まぁこんなもんだろう」そんな涼しい顔で去っていく姿に惚れたのは僕だけではないはずだ。
今日は第62代IWGPジュニアタッグ王座が決定戦の17分12秒間で起こったノブさん無双について振り返っていきたい。
日本ジュニア界を代表する実績
と、その前に。改めて金丸義信選手の実績についてまとめておきたい。
全日本プロレスで第35代世界ジュニアヘビー級王座を戴冠。防衛回数は7回。アジアタッグ王座にも2度輝いている。
特出しているのはプロレスリング・ノアのGHCジュニアヘビー級王座だ。初代王座に輝くと、合計7度戴冠している(最多保持回数は未だ破られていない)。また、GHCジュニアヘビー級タッグ王座も4回(KENTA選手をパートナーにしていた時期もある) 輝いた。
そして、新日本プロレス。「IWGPジュニアタッグ」を巻いたのは今回で4度目である。
春の選抜甲子園大会に控え投手として出場していたことからも、只者でないことは間違いない(今わざわざ出す話か?)。
現「IWGPジュニアヘビー級王者」石森太二選手がアレルギー的に勝てないのも金丸義信選手。
彼の本当の実力はどんなものなのか。知りたい方は改めて「スーパージェイカップ2016」を振り返ってみるといいと思う。
ヒールマスター無双まとめ
さて、本題に入っていこう。第62代IWGPジュニアタッグ王座決定戦で金丸義信選手が魅せた絶技の数々をまとめていく。おそらくこれ以外にも見る人によっては色々と出てくると思うが、あくまでも僕の主観ではこんな感じだったと読み進めて欲しい。
【1】開始早々。高橋ヒロム選手を強襲
初っ端から油断してんじゃねぇぞ?と言わんばかりに高橋ヒロム選手の顔面へビッグブーツを見舞う。俺たちはお前たち(観客)の喜ぶようなことはしない。それを証明するような挨拶代わりの一撃だった。
【2】場外で高橋ヒロム選手の首を痛めつける
石森太二選手に敗れ、シングル王座から転げ落ちたものの、今の新日本プロレスジュニアを牽引しているのは間違いなく高橋ヒロム選手である。
この試合の鍵も彼が握るだろうと想定し開始数分から彼へダメージを与え続ける。それも完全にレフリーが見ていないところで。うっうめぇ...。
【3】ブリティッシュフォールからのキャメルクラッチ
高橋ヒロム選手をネチネチと攻めたと思いきやいきなりのペースアップ。ミラノ・コレクションA.T.さんが発した通り、特に緩急の付け方が半端じゃない。あまりにもスムーズにつながるものだから、これが簡単で当たり前のようにも見えてしまうが、そうではない。そうではないのだ。
【4】高橋ヒロムの背中へキック一閃
「やっと会えたな!」と高らかに叫んだ高橋ヒロム。エル・デスペラード選手とようやく肌を合わせることに対して、リング内も会場もモニターの前のファンも固唾を飲んだ1分後、その流れをキック一発でぶち壊した。高橋ヒロム選手に隙が生まれた瞬間、エル・デスペラード選手はスピアーを見舞う。これで再び、流れは“鈴木軍”へと移動した。
【5】LATを未遂に終わらせる
今回のリーグ戦で猛威を奮っていた“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”ジュニアチームの合体技LATを金丸義信選手は前回に続き防いでいる。そんな隙だらけの技、決まるわけねぇだろ?と言わんばかりのカットだった。
【6】レッドシューズ海野をリングから引きずり下ろす
エル・デスペラード選手にLATが決まる。誰もが2人の勝利を確信した瞬間に、金丸義信選手はレフリーを場外へ排除してカウントをストップさせた。これには会場全員がため息。ブーイングもやむなしという感じではあるが、ここは少し厳し目の意見を。
金丸義信選手はカットに間に合わない。であれば、レフリーに仕掛けてくるのは想定できたはずなのだ。高橋ヒロム選手にはフォールする役割があったが、BUSHI選手はどうか?この油断が今回の勝敗を分けたと僕は睨んでいる。
実際、LATが決まる少し前を見てみよう。高橋ヒロム選手がエル・デスペラード選手にダイナマイト・ブランチャーを見舞う。この時点でBUSHI選手は金丸義信選手をチェックしている。ここから合体のパワーボムとLATを連続で決める。
ここで試合は決まったとBUSHI選手は寝転んだ。(※新日本プロレスワールドでこの試合の2:01:06をチェック)ここでBUSHI選手は油断した。そして、この油断が勝敗を分けた。ここから本当の金丸義信無双がはじまるのだから。
勝利を掴むためのタッグワーク
【7】ポップアップ式の急所蹴り
背後から忍び寄っての急所攻撃がスタンダードな中、ポップアップ式で高橋ヒロム選手に悶絶する大ダメージを与える。この時点では自らの手でレフリーを場外に排除しているため、反則カウントを取られる可能性もない。※獣神サンダー・ライガーさんもブチ切れていない。技の上手さにこれはしょうがねーかという感じにも受け取れるリアクションだった。
さらに凄いのは2:01:32のシーン。もしやと思って、見返してみて気づいた。高橋ヒロム選手に顔面蹴りをした直後、立ち上がりつつ、レッドシューズ海野さんの状況をちゃんとチェックしている。金的攻撃は一発アウトの可能性もあるリスクの高い技だと理解しているため、こうした配慮も欠かさないのだ。もう一つ付け加えると、ボロボロの状態でもエル・デスペラード選手がレッドシューズ海野さんを見張っている位置につけている。これが高次元のタッグチームならではの連携なのかもしれない。
【8】速攻でBUSHI選手に詰め寄る
レッドシューズ海野さんをリングに戻すと、自分は速攻でBUSHI選手の元へ。これが他のタッグチームであれば合体攻撃で仕留めにかかる所だがそうはしない。合体攻撃はオーバーキルだと捉えて、勝利の確度をさらに上げに来る。カットに入られなければ、エル・デスペラード選手のピンチェ・ロコで確実に試合が決まると信じているからこその仕事である。結果、カットに入られてしまったが、これすらも伏線になっていた。
【9】タッチアウトでゲームセット
「分かったよ。もう俺が完璧に終わらせるわ」と言わんばかりのタッチアウトでBUSHI選手をノックアウト。これもカットに入るために力を使い切ったBUSHI選手の隙をついての一撃だった。完璧すぎる。さらには高橋ヒロム選手を立ち上がらせ、エル・デスペラード選手のロコ・モノをサポート。いよいよ次がラストだ。
【10】ノックアウトした相手でもブロック
エル・デスペラード選手のロコ・モノがヒットした瞬間、金丸義信選手はBUSHI選手詰め寄って顔面を踏みつける。すでにBUSHI選手はグロッキー状態でカットに入れる状況ではない(可能性が高い)にも関わらず、全く油断しない。ピンチェ・ロコが決まった後、ようやく息を整えた。
最後まで貫くヒールの花道
世界の獣神サンダー・ライガー選手はこの試合の感想について「やっぱ強いなぁ。金丸義信選手の上手さ、強さ。今日はそれですね。金丸選手奥深いわ」と語っている。
以上がこの試合を振り返った感想である。おそらくまだまだ見応えのあるシーンは沢山あると思うので、時間がある時にぜひ見返して見て欲しい。
「テメーらごときが、俺たちに勝てるとでも思ってんのか、コノヤロー?(場内拍手)。ま、最後はノブさんが一人で二人とも伸ばしちゃったから、これ、実質、2vs1じゃね? アン? 俺いなくたって、ノブさんだったら勝ってたんじゃね?」
この言葉を受けてか、自分に尊敬の念が集まっていることを知ってか知らずか。ヒールマスターとしての仕事を全うすべく、最後はBUSHI選手をリング外に突き落とし、高橋ヒロム選手を強襲する。
この時、エル・デスペラード選手は引き上げるつもりだったがリングに戻ってきている。え?という間があったのでおそらく独断でしかけたと見て間違いないだろう。
ヘビー級が主役になる「G1クライマックス」開幕直前。ジュニアの主役に躍り出たのは、ヒールマスター・金丸義信選手だった。
2人のタッグチームによる長期政権が予想されるだけに、今後の動向からも決して目を離すことができない。
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