棚橋弘至と秋のG1クライマックスとBE THE ONE

棚橋弘至と秋のG1クライマックスとBE THE ONE。

「BE THE ONE」。直訳すると「一つになる」という意味になる。

まぁ、このタイトルを見た瞬間多くの人間が「仮面ライダービルド」を想い出したことだろう。

僕もその1人だ。そして、あなたがこよなく愛する平成仮面ライダーを挙げよと言われたらパッと思いつく3作品が電王、オーズ。そして、ビルドである。

「仮面ライダービルド」は本当に素晴らしい作品だ。

特に犬飼貴丈さんが演じた桐生戦兎のキャラクター性がいい。記憶を失った天才物理学者であり、バトルで必要なアイテムは全て自らの手で作り出すことができる。

新しいアイテムを自分で作る。従来であればヒーローと博士が担っていたポジションを1人で十分だと言わんばかりのキャラクター性で網羅した。

彼の武器は頭脳と戦闘スキル。この時点で戦兎という名前を回収しているのだ。二兎を追う(追った)者。

ただ、物語が進んでいくと彼は非常に繊細で、何度も心が折れそうなシーンに直面する。メンタルおばけのような歴代仮面ライダー主人公と比較すると、非常に脆い。

仮面ライダー電王の野上良太郎は最弱の仮面ライダーだと呼ばれた(不幸体質であり、戦闘経験がないためイマジンの憑依でカバーしていた)が、心の強さという武器を持っていた。

仮面ライダーオーズ/OOOの火野映司に至っては自己犠牲の精神が特出したメンタルおばけである。自分が本当に追い詰められている状況にも関わらず、笑顔で大丈夫だからと言えるほどの強さ(ある意味壊れていた)を持っていた。

え?今日は何の話を書いているのか?って。ここまでタイトル以外にプロレスの話が出てないけど大丈夫?新日本プロレスと関係あるのか?って?

焦らない、焦らない。ここからしっかりと今の棚橋弘至選手につながっていきますので。少々お待ちを。

 

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心の強さではなく、弱さを魅せたのがビルド

仮面ライダービルドの主人公である桐生戦兎は優れた頭脳と戦闘スキルを持っていた。

簡単に言ってしまうと天才だ。記憶は失っているものの、既に色々な者を持った側の人間である。

ただ、彼がその実力を遺憾なく発揮し、自信満々に戦い続けていたのは序盤だけである。ストーリーの中盤以降はとにかく迷う。自分の生い立ちや仲間との人間関係。戦う理由。その全てでとことん迷う。

迷いを断ち切ったと思ったら、またすぐに挫ける。そして、その都度仲間たちに励まされて立ち上がる。

持っていない者がメンタルの強さでのし上がっていく物語とは逆に、持っている側の人間が仲間たちの力を借りて、心の弱さと逆境から立ち上がるストーリーを魅せたのが「仮面ライダービルド」だ。

スクラップアンドビルドという言葉がある。カッコよく言えば破壊と再生。再生するためには破壊(逆境)が必要なのである。

 

ゴールデン☆エースが棚橋弘至に与えたもの

ここまでの前提があって。今の棚橋弘至選手を見てみよう。まず、棚橋弘至選手はイッテンヨンの東京ドームに立てなかった(イッテンゴには出場した)。

2020年も残り3ヶ月に近づこうとしているが、ここまでで棚橋弘至選手が実績として残したのは「IWGPタッグ」のベルトを戴冠したのみである。

逆風はすごかった。激太りがヤフーニュースを飾ったり、クリス・ジェリコ選手に敗れたり(名勝負だったのは間違いないが)、タイチ選手とザック・セイバーJr.選手になじられたり、飯伏幸太選手から見放されかけたりと、例年以上に逆風が棚橋弘至選手に襲いかかっていた。

ここまで棚橋弘至選手がピンチに晒されていたのは2017年以来ではないだろうか。新日本プロレスのエースは内藤哲也選手に東京ドームで破れ、ブーイングを浴びていた。

当時の内藤哲也フィーバーはとんでもなく、対角線に立つ相手は軒並みブーイングを食らっていた。今でこそ落ち着いたものだが、棚橋弘至選手に対しての暴言が飛び交うなど、今とは少し違った雰囲気が当時にはあった。

あの時、棚橋弘至選手を救ったのはタグチジャパンだった。コミカルなプロレスに触れたことでターナーザ・インサートを想い出したのかは不明だが、タッグで棚橋弘至選手は返り咲きの糸口を掴んだのだ。

では、“ゴールデン☆エース”で取り戻したものは何か。僕は大きく2つあると思っている。分かりやすいところでいえば逸材ボディ。ここ数年で最高の仕上がりだ。

そして、逆境から這い上がるという物語性である。

棚橋弘至選手は常に高いところを飛び続けてきた。ピンチがあってもなんとかなるだろうという安心感は大きな魅力だが、ファンにドキドキを与えるという意味では少し落ち着いてしまっているところはあった。

ただ、今の棚橋弘至選手は違う。自ら当落線上だと語ったように、誰に負けても不思議ではない。一方で誰に勝っても不思議ではないのである。

特に大注目なのは内藤哲也選手との3年ぶりとなるシングルマッチだ。ここに勝つことで、僕はひとつの革命が起こるチャンスがあると睨んでいる。

内藤哲也選手を二冠王から引きずり下ろすのは棚橋弘至選手だと僕は思っている。それも「IWGPヘビー」への挑戦ではなく、「IWGPインターコンチネンタル」への挑戦という行動によってだ。

 

心火を燃やしてぶっ潰す

2019年の「G1クライマックス」は4勝5敗の負け越し。2018年の覇者からすればあまりにも不甲斐ない結果だった。

だからこそ、2020年の秋に懸ける想いは図りしれないものがあると思う。

正直、僕は今回のキャッチコピーが「BE THE ONE」になった瞬間に棚橋弘至選手のための大会になると予感が走った。

前代未聞となる過去のコスチュームを着るという裏技もできる(G1クライマックス優勝時のラビットタンクモデル※ジオウの要素もあったので、新コスチュームでラビットタンクを用意するが正解か。いや、セイバーにするのが正解なのか?)わけで。

また、秋のG1クライマックスは例年の比較すると、明らかに各レスラーが良コンディションの中で試合ができることが予想される。気温も落ち着いてきたし、何より前哨戦がない。

一発勝負で盛り上がりを作らなくてはならないという難しさはあるものの、コンディションを整えるという意味ではプラスしか無いのである。

そういった意味でも棚橋弘至選手がこの秋を制する可能性は十二分にあると僕は思っているのだ。

最後に。仮面ライダービルドは本当に素晴らしい特撮作品で、ラストの手前で涙腺をぶっ壊す回があるので、時間がある方は絶対に見て欲しい。

機会があれば、各キャラクターについてじっくりと書きたいと思う。では、今日はこの辺りで。

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