なぜ、飯伏幸太は鷹木信悟に敗れたのか?

なぜ、飯伏幸太は鷹木信悟に敗れたのか?勝負の明暗を分けた鷹木信悟のカミゴェ破りに感じた正当性について書いていきたい。

現在の新日本プロレスを牽引している昭和57年会の2人(鷹木信悟選手と飯伏幸太選手)による直接対決が実現した。

団体は違えど2004年にプロレスラーとしてのデビューを飾った2人。お互いに団体を変える形で初のシングルマッチが実現した。初対決が12年前ということで、2人の歴史がようやく交わった形になる。

新日本プロレスのエース・棚橋弘至選手から心、現WWEの中邑真輔選手からは技を引き続く形で「神になる」と宣言した飯伏幸太選手。最近では報道陣に対して「何を言っているか分からないだろう」とキッパリ。

独自の世界観。これぞ神の業なのだと日々、学ばせていただいている。

一方で鷹木信悟選手。“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”6人目の男として登場するや否や一気にスターダムを駆け上った。

現在では石井智宏選手と並ぶ“名勝負製造機”とも称されるハズレのない試合は、ファンの心を掴んで離さない。

新日本プロレスではジュニアからキャリアをスタートさせた飯伏幸太選手と鷹木信悟選手の直接対決。勝敗を分けたのは鷹木信悟選手による飯伏幸太選手のフィニッシャー“カミゴェ破り”だった。

 

 

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はじめの一歩を知っているか?

ボクシング漫画『はじめの一歩』を知っている方は多いと思う。今回、鷹木信悟選手が魅せた“カミゴェ破り”はまさに真田一機が魅せた“デンプシーロール破り”と同系である。

汎用性もあるため、飯伏幸太選手は今後対策を取らなければ同じ形で破られることが証明されてしまった。

まずは“カミゴェ”の説明から。

相手の両腕を掴み、自分の方へと引き寄せる(相手を引っ張り込むことで破壊力を上げるのはレインメーカーと同じ理屈である)。

そして、ノーガード状態の相手の顔面へ自身の右膝を叩き込む。神である棚橋弘至選手を超えるために生み出された技は飯伏幸太のフィニッシャーとして完全に定着したイメージがある。

続いて、“カミゴェ破り”。石井智宏選手なども頭突きで返しているケースは度々あったが、鷹木信悟選手が完璧だったのは直接自身のフィニッシャーである“ラスト・オブ・ザ・ドラゴン”につなげたことにある。

飯伏幸太選手のボマイェが炸裂。2カウント。ここでカミゴェの体制へ。両腕を掴み、相手を引き寄せる。膝が当たるギリギリのタイミングでむしろ自分から当たりにいく。正確には膝の当たるポイントをズラす。

そこから一気にファイヤーマンズキャリーの形で担ぎ上げる。相手のフィニッシャーから自分のフィニッシャーへとシームレスにつなげることで、鷹木信悟選手は同級生との初シングルマッチを制することに成功したのだ。

次の対決が楽しみになる。そんな同級生対決だった。

 

口下手な男が新日本プロレスを引っ掻き回す

鷹木信悟選手の『G1クライマックス30』の戦績が面白い。優勝候補としてリーグ首位を走っていた飯伏幸太選手、肉体改造したウィル・オスプレイ選手、5年ぶりの『G1クライマックス』エントリーとなった高橋裕二郎選手から白星。

初エントリーとなった2019年の『G1クライマックス』でも後藤洋央紀選手の優勝決定戦進出を阻止するなど、曲者っぷりを発揮している。

いわば新日本プロレスの新しいジョーカーである。※飯伏幸太選手はジョーカーからスペードのエースに存在感が変わってきた印象がある。

自身を口下手だと自称する男のバックステージコメントは以下。

鷹木「ハア、ハア、ハア……キツかったな。ホント、キツかった。だがそれ以上に! こんなこと言ったらアレだけど……多分これは飯伏もいっしょだろうな、楽しかったよ。飯伏と闘えて。率直な感想は、楽しかった。戦前は“『G1』だから、そんなこと関係ねぇ”って言ってたけど、やっぱり、俺はアイツのこと12年前から追いかけてたから、感慨深いものがあった。『G1』だからそんなこと考えちゃいけないって思ったけど、まあ、向かい合ったらつい、笑顔が出ちまったな。ま、それでもよ! 飯伏の野郎、試合前、誌面(紙面)とかで、『鷹木は誰とでもいい試合する』とか(言ってやがって)。38(歳)になんのによ、いまさら“善戦マン”じゃキツイぜ、オイ。なあ、だから今日は、何としてでも勝ちにこだわりたかった。まあ、そんな12年間追いかけた。俺は常に、団体は違っても、仮想の相手、対戦相手・飯伏幸太ってのは頭に入れてたから。その反骨心が、今日はちょこっと差が出たんじゃねぇかな。まあでも、リング上で言った通り、今日の勝ちはデカい。この勢いを持って……そう、オスプレイの時もそうだ。オスプレイに勝って一気にいくと思ったら、石井に負けた。だが、前年度覇者の、トップを走る、首位を走る、飯伏から勝った。この勢いを持って、一気にいかなきゃいかんだろ。次の相手はオカダか! (※自然と笑みがこぼれ)ヘヘッ、オカダか。なんだかあの野郎、テーピングが目立つな。オッ、満身創痍か? オイ、プロレスラーっつうのはな、満身創痍なんてのは当たりめぇなんだよ。俺がグッドコンディションで試合したときなんかな、デビュー戦以来ないわ。たかが1試合だよ。体が痛かろうが、レスラーはやるしかねぇ。おまけになに? レインメーカーは封印だと? オイ、それは俺たちのことバカにしてんのか? それとも自分だけが次のステップに、行こうとしてんのか? 気に入らねぇな、オカダ。俺は龍魂(ラリアット)だろうがパンピング(ボンバー)だろうが、右でも左でも、何発でも打ち込んでやるからな。オイ、正直なところ、俺はオカダと正面からぶつかったことねぇから、アイツを脅威に感じたことねぇんだよ。オイ、オカダ、俺に、強くてすごいオカダで来てくれよ! じゃなかったら、勝つ意味はねぇからよ。まあ俺は、こう見えて、口ベタなんで、話は短めに、終わらせてもらう」

出典:新日本プロレス

どこが口ベタやねん!

 

鈴木みのるとの再戦

『G1クライマックス30』の公式戦もAブロックは残すところ3試合。ここかから鷹木信悟選手が激突するのは、オカダ・カズチカ選手、タイチ選手、鈴木みのる選手。ここから更に激戦が続く形となる。

リーグ最終戦の相手は鈴木みのる選手。『NEVER無差別級ベルト』を強奪された相手に対して、ここでリベンジを果たすことはできるのか。

それともプロレス王の意地と威信を魅せる結果になるのか。

後、10日で『G1クライマックス30』が終わると考えると寂しい気持ちでいっぱいになってきたわけだが、ここから更に応援していきたいと思う。

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