高橋裕二郎の矜持と疑心暗鬼になるジェイ・ホワイト
2020年秋。新日本プロレスが世界に誇る“ガイジン”ユニット『バレットクラブ』が揺れている。
2020年10月10日に行われた大阪・大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)大会。その第3試合で事件は起こった。
『G1クライマックス30』でAリーグ首位を走るジェイ・ホワイト選手と既に優勝決定戦への望みが絶たれている高橋裕二郎選手の同門対決が実現。
無傷でジェイ・ホワイト選手に勝ち点2を献上し優勝決定戦進出をアシストする。
高橋裕二郎選手に与えられていたミッションは間違いなく存在した。確実に裏で根回しはあったはずなのだ。
第3試合に姿を現したジェイ・ホワイト選手はなんと試合用のコスチュームすら着用してこなかった。
ジャージにスニーカー。そして、ヘアバンド。
“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”高橋ヒロム選手が凱旋帰国直後にコスチュームが届いておらず、私服でリングに上がっていたが、その時とは勝手が違う。
完全に舐めきっていた。楽して当日の仕事を終わらせる気満々だった。
だが、その思惑は外れることになる。高橋裕二郎選手はジェイ・ホワイト選手の指示に反いたのだ。
なぜ、高橋裕二郎選手はジェイ・ホワイト選手に対して謀反を起こしたのか。
まさかの背信!?
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) 2020年10月10日
試合後、高橋裕二郎は何を語ったのか?
「ジェイ・ホワイトは、いままでで、最高の、1番のBULLET CLUBのリーダーだよ」
「でもよ、この『G1 CLIMAX』では、それは関係ないのかもな……」
※コメント全文はコチラ!
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謎の多い闇の王
現在、「バレットクラブ」は揺れている。ジェイ・ホワイト選手と“キング・オブ・ダークネス”EVIL選手がビデオレターでお互いを牽制しあっている状況だ。
ジェイ・ホワイト選手が不在の間に「バレットクラブ」へと加入し、EVIL選手は実績を残した。
「ニュージャパンカップ2020」優勝。そして、「IWGPヘビー級&インターコンチネンタル」のWチャンピオンにも輝いた。
ジェイ・ホワイト選手やKENTA選手ですら届かなかった“二冠王”にEVIL選手は輝いたのだ。
闇の王が「バレットクラブ」への加入を宣言したのが2020年7月11日。
あれから3ヶ月が経つが、EVIL選手と他の「バレットクラブ」メンバー(特に海外組)との関係性は謎のベールに包まれたままである。いくつか挙げてみよう。
- ディック東郷選手とEVIL選手の関係性
- バレットクラブに移った本当の理由
- 「全員が、お前の後ろについてるとは限らねえぞの」真意
EVIL選手にはまだまだ謎が多い。
最高のリーダー
ジェイ・ホワイト選手は「バレットクラブ」の4代目リーダーである。それぞれの任期は以下の通り。
- プリンス・デヴィット選手 2013年5月3日 - 2014年4月7日(約1年)
- AJスタイル選手 2014年4月6日 - 2016年1月5日(約1年半)
- ケニー・オメガ選手 2016年1月6日 - 2018年10月30日(約2年半)
- ジェイ・ホワイト選手 2018年10月8日 -
ジェイ・ホワイト選手は既に2年。来年の夏には「バレットクラブ」のリーダー最長記録を更新することになる。
高橋裕二郎選手はジェイ・ホワイト選手に対して歴代最高のリーダーだと賛辞を贈っている。
彼が「バレットクラブ」に加入したのは2014年5月3日。ユニット結成から1年が経ち、新リーダーであるAJスタイルズ選手がオカダ・カズチカ選手が持つ「IWGPヘビー級ベルト」に挑戦した日だ。
3人のリーダーを経験した上でジェイ・ホワイト選手が最高のリーダーだと語っている(3代目リーダーに対してはかなり思うところがあったことをインタビューで語っていた)。
ヤングライオン出身のリーダー。新日本プロレスに誇りを持つ男。そんな彼の指示に背いてまで高橋裕二郎選手が動いた理由は一つしかないのかもしれない。
勝ちたいという純粋な気持ち
高橋裕二郎選手にとって5年ぶりの『G1クライマックス』エントリーにして勝ち点はゼロ。このままだと全敗でリーグ戦を終えることになる。
チームのためには己が負けなくてはならない。頭では理解していたはず。
ただ、レスラーとしてのファイティングスピリットがそうさせなかった。
『G1クライマックス』の権威を汚し、己のプライドを捨てることができなかった。僕はそう見ている。
実際、この時点ではEVIL選手に加担しているという訳でないと思うのだ。なぜならば、金的は打ったものの凶器攻撃に走ることはなかった。
ジェイ・ホワイト選手を壊すことではなく、自分の2点を取りに行った。そんな印象を受けた。
いや、こうも考えられる。ジェイ・ホワイト選手に与えたのは肉体的なダメージではなく、精神的なダメージだった、と。
千両役者・高橋裕二郎の表情からはどんなメッセージも受け取れる。
レスラーとして勝ち星を取りに行ったのか。EVIL選手からの指示が出ていたのか。現時点ではまだ分からないことだらけである。
ただ、少しだけ思うところがあるとすれば、現在の「バレットクラブ」は“ガイジン”ユニットではないということだ。
現在のメンバーは14人。そのうち7人が日本人である。そして、他のユニットと比較して、メンバーが明らかに多い。※CHAOS11人、鈴木軍6人、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン5人
実はもう一つユニットが編成されてもおかしくないほどの人数が揃っている。
フィクサーは何を考える?
ジェイ・ホワイト選手が「バレットクラブ」から追放される。僕は現時点でこの可能性が一番低いと見ている。
理由は簡単で外道選手がジェイ・ホワイト選手を見限る可能生が低いためだ。
2018年。オカダ・カズチカ選手を捨ててまでジェイ・ホワイト選手を選んだ。そんな彼がたった2年でジェイ・ホワイト選手を見限るとは考えにくい。
現在28歳。年齡を考えてもまだまだ彼に稼がせて大金を懐に入れるフェーズだ。そんな状況で、彼を裏切ってまで違う道を選ぶのはリスクが大きすぎる。
ジェイ「(※股間を押さえながら引き揚げてくる。スタッフがイスを用意しようとするのが目に飛び込んでくると)イスがどうした! そんなのどうでもいい!(※と叫ぶと、スタッフからイスを奪い取って投げ捨てる)。もう1脚よこせ!(※と叫ぶと、またもイスを奪い取って遠くに放り投げる) どうせお前たち記者は、そろいもそろって俺のことを笑ってたんだろ! うれしいのか? (※遅れて戻って来た外道に)ゲドー、お前も一緒になって俺を嵌めたのか? お前が仕組んだことなのか?」
外道「ノーノーノー、まさか! 俺を信じてくれ! 落ち着いてくれ、ジェイ」
ジェイ「ユージローは優勝の可能性もないのに、なぜあんな行動に出たんだ?」
外道「俺は知らない。まったくわからない」
ジェイ「“Jay1”、まだ俺の優勝の可能性はある。なのに、なんではユージローは邪魔しようとするんだ? これもEVILの策略か?」
外道「そうとは思えない。俺がなんとか解決するから時間をくれ」
ジェイ「本気で何も知らなかったと俺に誓えるか?」
外道「もちろんだ。誓うよ」
ジェイ「じゃあ、そうしてくれ。お前からユージローと話をしてくれ。俺がいま話したら、自分でも何をしでかすかわからない」
外道「まあ、ここは俺に任せてくれ」
ジェイ「わかった。頼んだからな(※と言って、外道を抱き寄せるようにして並んで控室へ)」
ジェイ・ホワイト選手は外道選手の恐ろしさを知っている。海外遠征から帰ってきたヤングライオンを2人連続でトップレスラーに育て上げた手腕とプロデュース能力がある。
彼の能力を知るからこそ、彼のことも真っ先に疑った。俺を嵌めたのか?お前が仕組んだことなのか?と。ここで登場人物の役割が移り変わった。
「俺がなんとか解決するから時間をくれ」
今、ボールいや、弾丸は外道選手の手へとわたった。
全て外道選手が書いた絵の通りにことは運んでいるのか。それとも...。
ちなみに今日のメインイベントはEVIL選手VS内藤哲也選手だ。
もう何かが起きる予感しかしないわけだが、まずはこの試合を楽しみにしたい。
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