高橋裕二郎の一勝、俺たちのグレードワン。

高橋裕二郎の一勝、俺たちのグレートワン。今の時刻は2020年10月19日の21時38分。仕事帰りの電車の中で書いています。

いつ書こう、いつ書こうと思って数日。今しかないと思って筆を取りました。

飯伏幸太選手の2連覇で幕を閉じた「G1クライマックス30」。まずは、何も大きな問題が起こらなかった(ウィル・オスプレイ選手の裏切りとグレート・オーカーン選手の凱旋帰国は別として)ことを素直に嬉しく思ってます。

たった一度、何か問題が起こり次第、シリーズは中止になっていた可能性がある中で、大会を成功させたこと。

心から新日本プロレスのレスラーやスタッフさんたちの頑張りには頭が下がります。

本当にお疲れ様でした。

ここはからはいつも通りの文体で。

ただ、僕は改めて彼のことを書かなければいけない。それは、“バレットクラブ”高橋裕二郎選手についてだ。

5年振りの「G1クライマックス」エントリー。勝敗数という結果だけ言えば両リーグ合わせて最下位。

これが彼、そして僕たちに突きつけられた現実である。

この結果を情けないと笑うか?次からもう出なくていいと指摘するか?

色々な意見がある中で、僕の言葉を残すのであれば「彼自身が出たいと思っていて、新日本プロレスが認めるのであれば必ず彼を再びG1に出して欲しい」と思っている。

 

 

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惨めなんかじゃねぇよ

2020年。ここ数年の鬱憤を晴らすかのように高橋裕二郎選手にスポットライトが当たる年となった。

オカダ・カズチカ選手と度重なるシングルマッチ。全員が思ったに違いない

「裕二郎がオカダに勝つのは無理だ」と。

結果はご存知の通り全敗。「KOPW2020」では3対1ですら敗北を喫した。

ここまで結果が出ないと、“普通”は諦めますよ。

もう自分は限界。もうダメだ。やっぱり自分には無理だった。

僕もそう。こんなに辛い思いをするくらいなら諦めます。逃げてもいいんだって自分に都合のいい いい訳をして。

逃げるのは悪いことじゃないです。ストレスの原因と距離を置くと言った方が正しいくらい。

でも、逃げないでギリギリまで粘るといいことが待っている。神様いや、女神様が微笑んでくれるんだなぁと高橋裕二郎選手の試合を見ていて思う。

彼にとって一番辛くて惨めなのは、戦うことすらできないこと。

その辛さはこの言葉に現れている。

裕二郎「試合をやってて、試合やっててよ、思い出したよ、2年前の『G1 CLIMAX』。俺は出場できずに、確かこの会場で、公式戦の時よ、解説やってたのを。出場できずに、ミジメだったよ。ああ、ミジメだったよ。今現在、『G1』、俺の『G1』、5戦? 違う? ああ、5戦だよ。5戦、5敗。だがよ、1回も勝てていないけどよ、ミジメじぇねえよ。ミジメなんかじゃねえよ」

出典:新日本プロレス

また、愛深きゆえに愛を捨てた男が高橋裕二郎選手の対角線に立ったことも忘れてはならない。

 

気持ちが切れかけた。繋ぎ止めた

連戦連敗。結果が出ないリーグ戦の中でタイチ選手と激突した高橋裕二郎選手。

元々はジュニアだったタイチ選手が気付けば「G1クライマックス」も常連へ。

今では新日本プロレスに欠かすことのできない名レスラーになったタイチ選手が高橋裕二郎選手との試合で魅せたのは、本気の彼を引き出すことだった。

タイチ「裕二郎、テメーやる気あんのか? ただ出てるだけだったら邪魔くせえからやめろ。テメーと内藤がメキシコで作ったレールを忘れたのか、この野郎。テメーと内藤が敷いたレールに俺がうまく乗っかったことを忘れたのか、この野郎。一応感謝してんだよ、お前らにはよ。お前らが敷いたレールに乗っかっただけだから。それでスター扱いされたんだ。忘れたのか? 今日はその恩返しだ。

出典:新日本プロレス公式

そして、かつて「NEVER」を争った石井智宏選手も彼に言葉を残した。

石井智宏選手は無駄な言葉を語らない。彼が口を開く時は間違いなく意味がある。それを理解してから公式のツイートにはリプを飛ばしたほうがいいと僕は思う。

 

次へつながる勝利

高橋裕二郎選手は公式戦の最終試合でようやく一勝を掴みとった。

何がなんでも勝つのだという気持ち。そんな心の底にある気持ちが伝わってくるようなファイトだった。

ジェフ・コブ選手を徹底的にリズムに乗せなかった。少しでもヤバいと思えば噛み付くし、不意を突いてステッキを打ちかます気満々だったと思う。

おそらくジェフコブ・コブ選手は自分がマイアミ・シャインを貰うとは思っていなかったのではないだろうか。

ここまで全敗の相手に自分が負ける訳ない。そんな油断があったはず。

今の高橋裕二郎選手のパワーであれば自分は投げられることはない。

マイアミ・シャインが炸裂すると、今大会を通じて一度も炸裂しなかった東京ピンプスを狙わずに、ピンプジュースのフォームへ。

相手の体格に関係なく繰り出せるピンプジュースは対スーパーヘビー級との対決に持ってこいである。

今大会の初勝利を掴んだ後、高橋裕二郎選手はこう語っている。

裕二郎「(※自分でイスを持ち込み、それに座って)言っただろう、なぁ、『G1 CLIMAX』、最後まで、なぁ、諦めないってよ! 今日の勝ちはよぉ、でけぇんだよ。
あぁ? 『G1 CLIMAX』? 0勝よりもよぉ、0勝よりも、1つ、しかもよぉ、あのジェフ・コブに勝てばよぉ、来年の、『G1 CLIMAX』の出場権利を獲得の可能性も上がっただろう。な? な? それがよぉ、0勝じゃ、来年出場できねぇんだよ。でもよぉ、1回勝ったんだよ。だから、来年の『G1 CLIMAX』出場も、脈アリだよ!」 
出典:新日本プロレス

 

今大会でジェフ・コブ選手は勝ち点8と負け越しに終わってしまったが、その試合内容と勝利した相手で大きなインパクトを残していた。

ジェイ・ホワイト選手、ウィル・オスプレイ選手、石井智宏選手、鷹木信悟選手。

ベストバウト軍団に勝利したことで、新日本プロレスでの立ち位置を確立しつつあるという見方もある。

そんなジェフ・コブ選手から勝利を奪ったのだ。胸を張っていい結果と言えるだろう。

全敗じゃない。たったの1勝。ただ、人は諦めなければ、何かを手にすることができる。そんなドラマを見せてくれた。

辛くても踏ん張ってれば予想もしないところから助け舟が出ることもある。

諦めなければ自体が好転することもある。

生きるって楽じゃない。好きなことやってても嫌に感じる時だってある。

ミスったことに後から気付いて、ベッドの中で頭を抱えるなんて毎日だ。それでも、僕たちは生きていく。他人からの見られ方なんて関係ない。自分を信じる道を歩めばいいのだと高橋裕二郎選手から改めて教わることとなった。

世界の荒鷲こと坂口征二さんが名付けた「G1」、「グレードワン」。

僕(たち)にとっての「グレード(オンリー)1」はあなただったと高橋裕二郎に贈りたい。そんな気持ちになる30日間の激闘だった。

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