二冠戦問題の答えと飯伏幸太だけができる仕事
二冠戦問題の答えと飯伏幸太だけができる仕事について書いていきたい。
内藤哲也選手VS
“キング・オブ・ダークネス”EVIL選手による3度目の「IWGPヘビー級&インターコンチネンタル」ダブル選手権試合を新日本プロレスが発表した。
ただし、新日本プロレスのファンからは賛否両論の声が明らかに多いように見えた。
ここからは僕の見解である。
まず、二冠戦による最大の問題は「二冠戦だからと言って2倍以上楽しいわけではない」ことである。
敢えて言えば、「IWGPヘビー級選手権試合」、「IWGPインターコンチネンタル選手権試合」それぞれに分けていた方が2倍のエピソードが生まれるため、単純に面白い。
あの時、新日本プロレスを応援するファンの多くがオカダ・カズチカ選手の言葉を信じて、二冠戦はやらないと投票しておけば...と思ったかもしれない。
僕もその1人である。
唯一、二冠戦としての意味と意義があったのはイッテンゴ東京ドームだろう。
「IWGPヘビー級王者」と「IWGPインターコンチネンタル王者」の一騎討ち。
王者同士の意地とプライドのぶつかり合い。勝負の決め手になったのは「絶対に二冠王になる」と決めた志しと「二冠王には興味がない」という心理状態の差だったように思う。
それでは本題へ入っていこう。
今の内藤哲也について
ベルトを超越した存在になったはずの内藤哲也選手が、気付けばベルト(2本)を必死になって守っている印象がある。
ベルトをぶん投げた後に、俺の後を勝手に追いかけてくるだったり、俺は一度も挑戦したいなんて言ってないだったり。
超絶カッコいい名言の数々は伝説級だった。
た個人的には2本のベルトを保持していなくとも、丸腰だとしてもあの頃の内藤哲也選手の方が輝いていたように思う。
ただ、今回の二冠戦にまつわるエピソードが内藤哲也選手に対して、完璧に逆風であるという見方もある。
内藤哲也選手は東京ドームの一夜明け会見の時点からスタンスは変わっていないのだ。
――この2本のベルトは、同時に防衛していきたいのか、対戦相手によって使い分けていきたいのか、どういう考えですか?
内藤 今回の大阪城ホールに関しては、「もう会社に委ねますよ」って、丸投げしたんで、今回はぜんぜんダブルタイトルマッチでも構わないですけど。ボクは「東京ドームで“伝説”作ろうぜ!」だったかな? そんな感じでモニター上に出ていたんですよ、ドーンって、VTRの中で。その伝説がこんな簡単にね、誰でも挑戦できるよっていう状況にするのは、俺は賛成じゃないし。「あの伝説ってなんだったの?」って。「伝説ってそんなに軽い言葉じゃないでしょ?」って思うので、ボクは個人的には同時に2本を賭けてやるっていうのはやんなくてもいいかなと。
あのー、挑戦者がどっちのベルトが欲しいのかを選んでやればいいんじゃないかなと、ボクはそう思いますけどね。よっぽど特別な相手だったら、別かもしれないですけど。そうじゃなければ「どちらか選んで挑戦してきてください」で俺はいいのかなって、そう思いますよね。たとえば、1シリーズで2回シングルマッチがあっても俺は構わないですよ?
彼はダブル東京ドームのためにダブル選手権試合にこだわったフシがある。
それこそ自分を陥れたファン投票すらも受け入れた。
そんな彼は二冠王はやらない方がいいと断言している。にも関わらず、新日本プロレスは試合を組む。
この内藤哲也選手への逆風(彼曰く嫌がらせ)がハマっていた時期もあったが、今はそうじゃないということなのだろう。
おそらくだが、今ファン投票をすれば間違いなく、ベルトは分けられると思う。
それほどまでに二冠王の意味は見えなくなっているのだ。
かつて内藤哲也選手はリマッチ地獄について苦言を呈していたが、今は自分がリマッチ地獄の渦中にいる。
その問題について今彼はどう思っているのか。内藤哲也選手の本心を聞きたい。
二冠王の真の意味
改めてそれぞれのベルトについて考えてみたい。
「IWGPヘビー級」は歴史と伝統のある最強のベルト。
「IWGPインターコンチネンタル 」は“レスラーたちが育てた”ベルト。
二本ベルトは全く価値観が異なる。
と、ここまで筆を進めていてようやく気付いた。
二冠王は単なるコレクションなのだ。
ベルトを超えた存在だったはずの内藤哲也選手が「IWGPインターコンチネンタル 」を保持したまま、「IWGPヘビー級」を巻くという新しい夢。
この夢自体に興味を持ったファンからすれば、意味も意義もあるがそうじゃないファンからすれば、二本のベルトの物語を停滞させているに過ぎない。
例えば、後藤洋央紀選手。彼に「IWGPヘビー級王者」になって欲しいか?と聞かれれば、首が10メートルくらい吹っ飛ぶほど頷くが二冠王は?と聞かれると「いや別に」と答えてしまう。
EVIL選手が「IWGPヘビー級王者」で新日本プロレスのトップに立った印象は?と訊かれると何かあんまり印象が薄い。
彼は二冠王であって「IWGPヘビー級王者」ではないという感覚すらある。
内藤哲也選手が作ったコレクション。だから見栄えは素晴らしくいい。
二本のベルトを掲げる様は非常に映える。そこだけは否定しない。メチャクチャカッコいい。ただ、それだけだ。
飯伏幸太に全てが委ねられた
内藤哲也選手とEVIL選手の試合はリマッチだ。ここが二冠戦になるのは納得しかない。
ただ、ここから先が重要だ。
飯伏幸太選手の二冠戦挑戦は構わない。二本取れるチャンスを一本でいいというのは、流石に勿体ない。ただ、今からでもいいので二冠戦への挑戦の仕方を変えた方が盛り上がると僕は思っている。
一番楽しくなるのは、内藤哲也選手と逆の順番でベルトを巻くこと。
イッテンヨンで内藤哲也選手(東京ドーム時点での二冠王)の持つ「IWGPヘビー級ベルト」に挑戦。
イッテンゴで“内藤哲也選手(東京ドーム時点での二冠王)”の持つ「IWGPインターコンチネンタル」のベルトに挑戦。
逆の順番で二冠王に輝く。黒への通行手形としてではなく、白と黒を同じ価値だと証明する。
これができるのは2人の神から心と技を受け継いだ飯伏幸太選手しかいない。
そして、自分が持った瞬間に二冠戦は封印することを宣言する。
これが僕が思い描く最高の二冠ストーリーの完結編である。
もう一歩だけ踏み込もう。本来であれば、この仕事は棚橋弘至選手が担ってきた役割だ。
ケニー・オメガ選手を完全に否定して、今の新日本プロレスの方針を作ったのも彼であある。
その役割が次世代になった。飯伏幸太選手は2019年の『G1クライマックス』を制した時に「これから新日本プロレスは新しい時代に向かいます」と宣言した。
その約束を果たすのは、彼が神になるのは2021年の東京ドーム大会なのかもしれない。
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