後藤洋央紀に本当のカッコよさを学ぶ
最近、後藤洋央紀選手が益々カッコよくなってきた。いやまぁ、僕みたいな男がカッコよくなってきましたね、と書くのも烏滸がましい話なのだが。
“混沌の荒武者”後藤洋央紀選手。2020年は“イッテンゴ”東京ドームでKENTA選手に勝利し「NEVER無差別級王者」に返り咲くも、鷹木信悟選手に屈辱の敗戦。
結果的にここが“NEVER鷹木戦線”誕生の瞬間だったように思う。
その後、EVlL選手の“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”離脱により生まれた「NEVER無差別級6人タッグ王者」トーナメントで優勝。石井智宏選手、YOSHI-HASHI選手と共に21代チャンピオンに輝いた。
勢いそのままに「G1クライマックス」へ突入するも、初戦で肩を負傷。ザック・セイバーJr.選手には4分10秒で敗れるなど、思うような結果の出ない日々が続く。
結果は4勝5敗の負け越し。昨年、鷹木信悟選手に勝利していれば優勝決定戦に進出していたところから大きく後退する結果となってしまった。
ただ、最近の後藤洋央紀選手は何かが変わった。飾らない言葉で本質を突いてくる。
僕は昨晩、この言葉に改めて考えさせられるものがあった。
めちゃくちゃダサい事でも本気で貫けばカッコいいと思わない? #それが俺のスタイル https://t.co/5SwfcdxRfA
— 後藤 洋央紀 Goto hirooki (@510njpw) 2020年10月26日
本当のカッコよさとは何か。今日はそんな話を考えてみたい。
若葉のころ
若葉のころ。僕はあなたを思い出す。KinKi KidsがW主演していたドラマ「若葉のころ」。ご存じの方はKinKi Kidsさんのファンか僕と同年代くらいの方だと思う。
「若葉のころ」が放送されていた1996年。僕は中学生になった頃だった。
中学時代。周囲が成長期に入り、グングン背が伸びて大人っぽくなる中で、僕は早生まれの影響か全く身長が伸びてこなかった。
小学生の頃。背の順では後ろから2〜3番目をキープしていたのに、気づけは前から3番目。決して自分が小さくなったわけではないのだがが、相対的なバランスで自分が小さくなったような気持ちになった。
あの頃、僕は自分の全てが嫌だった。勉強しても成績は上がらないし、運動しても成長期の彼にドンドン抜かれていく。
一番キツかったのが、自分よりも後に同じスポーツを始めた人に抜かれたり、後輩に抜かれた時だ。
正直、辞めようと何度も思った。自分は何の特徴もない、平均以下の人間なのだと自分自身に全く自信がなくなっていた。
ただ、転機は突然やってくる。高校1年生。遅れてきた成長期は僕の環境を一変させた。身長は約20センチ伸びたし、雰囲気も大分いい感じだった(はず)。
いい感じにビジュアルが整ってくると異性にモテたくなってくる。この時、僕は外見を磨けばモテると勘違いをしてしまった。
外見が整っているにこしたことはない。ただ、本当にカッコいいことって、何かに本気になっていることであり、自分自身を貫いていることなのだ。
己を貫くということ
上手くいってるときに己を貫くことはイメージできる。ただ、決して楽ではない道、一寸先が見えない道を歩みながら己を信じることは難しい。
だって、今この瞬間だけ見れば結果がついてきていないのだから。
やり方を変えるのも一つ。迂回して、別のゴールを目指すのも一つの道である。
どんなに悔しい状況下にあっても、後藤洋央紀選手は変わらなかった。そして、今の日本にいちばん大切な言葉を2020年10月17日の両国国技館で語った。
後藤「(アゴを押さえながらやって来てあぐらをかくと)今年の『G1 CLIMAX』、見ての通り、今年も結果はついてこなかったけどよ、過去最高に生きてるっていうことを実感した『G1』になったね。負けて悔しい想い、勝ってうれしい想い、いろんな感情があるけども、やっぱり生きててなんぼだよな。
(立ち上がって)俺の命の炎はまだ燃えてるから。明日から……明日から次の試合に向けて、また俺の命の炎、燃え滾らせていきますよ。以上」
昨年は実質、優勝決定戦に王手を掛けたにも関わらず“今年も”と言っている。それでも「過去最高に生きていることを実感した」と続けた。
色々なニュースが次々と飛び交うため、忘れがちだが2020年は本当に悲しい別れが多い。旅立った後、どうなるのか。誰にも分からないから怖い。
夜、1人で家でそのことを想像するだけでも怖い。自分が無くなってしまうのが怖い。
2020年の悲しいニュースを見て僕自身何度もそういった気持ちに直面していた。
ただ、後藤洋央紀選手は試合と言葉で僕に勇気と元気を与えてくれた。
「負けて悔しい想い、勝ってうれしい想い、いろんな感情があるけども、やっぱり生きててなんぼだよな」
生きててなんぼなんだ。そして、燃え“滾らせる”、“以上”。狙ったのかどうか分からない。ただ、今回の「G1クライマックス」には不在だった中邑真輔選手と柴田勝頼選手を想い出したのは僕だけじゃないはずだ。
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本気になれること
僕がインタビューされる側に回った(最近、減りはしたけれど続いている)として、「何か人生のアドバイスはありますか?」と訊かれたら、間違いなくこう答える。
「本気になれることを見つけること」だ、と。
どうやって見つけるのでしょう?と追求されたらこう答える。子どもの頃に興味があったもの、大人になってから興味が出たもの。なんでもいい。今、何がしたいか?よりもやりたくないものを全部捨ててみて、残ったものの中から選べばいい、と。
それが周りから見たらスゴくダサいものでもいいじゃない。だって、自分がやりたいんだから。
自分が思ったより周囲のことを気にしていないように、周りの人も自分のことを見てない。
やりたいことを貫けばいいんだって。
今回、後藤洋央紀選手はTwitterで「せーの」がかっこ悪いとイジられた。これはタイチ選手の影響を受けての言葉だったと思う。
ただ、「せーの」で「IWGPタッグ王者」に輝いたらどうだろう。アイコンタクトでも十分にできることを「せーの」に変えることで完璧に呼吸を合わせているとしたらどうだろう。
「IWGPタッグ王者」で「ワールドタッグリーグ2020」覇者に輝いたらどうだろう。
誰も「せーの」がダサいとは言わなくなるはずだ。今は会場で声を出すことはできないが、いつか会場が「せーの」で一つになる瞬間だって訪れるかもしれない。
GYRからのGYWまで。次々と登場する新技たちを見て、少なくとも僕はダサいなんて思わない。伝説を創ろうとしている2人が決めたことに他人がとやかく言うものでない。
貫くってそういうことなのだ。そして、今すぐに結果が出なくたっていい。やっぱり生きててなんぼなんだから。
「めちゃくちゃダサい事でも本気で貫けばカッコいいと思わない?」この言葉から大きなものを受け取った気がするので、今日も仕事を頑張りたいと思う。
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