新日本プロレスファンが映画『鬼滅の刃』について書いたら棚橋弘至の話になった

新日本プロレスファンが映画『鬼滅の刃』について書いたら棚橋弘至の話になった。

昨日の朝、ようやく『鬼滅の刃』の映画を見た。

映画館を出ると、鬼滅の刃ハラスメント(キメハラ)なる言葉が話題になっていた。爆発的な人気になるとあの手この手で話題を作ろうとする人が登場するのが面白くもあり、あららと思うポイントでもある。

ネタバレ全くなしで僕の感想を。

『鬼滅の刃 無限列車編』は『鬼滅の刃』のアニメを見た方(かつ気に入った方)は必ずというレベルで劇場に足を運んだ方がいい。

原作でも屈指の感動エピソード(この言葉が適切か分からないが)なだけに、ストーリーは申し分なし。

役者の芝居はパーフェクト以上。映像のクオリティ、演出はアニメ表現はここまで来たのかと驚かされるレベルである。

また、音楽も素晴らしい。音楽は感情を誘導すると言われるが、『鬼滅の刃』においても重要な役割を担っていた。

色々と書いたが単純に映像作品としてのクオリティが高いのだ。

ハイクオリティな作品は劇場で見るに限る。大スクリーンと重厚な音響の中でぜひ体感して欲しいと思う一作だった。

 

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キメハラについて

キメハラについて一応触れておこう。あんなニュースを気にし始めるとロクなことがない。1年365日プロレスって面白いですよ〜なんて書いているこのNJPWFUNなんて新日本プロレスハラスメントの権化みたいなサイトだろう。

好きな人がまだ興味の薄い人に広げなければコンテンツは広がっていかない。そのネガティブな面だけを切り取って報道するのはナンセンスである。

詳細はちゃんとチェックしていないが、キメハラなる言葉を報じた番組が超絶的に話題になったとして、その番組を○○ハラスメントとして報じるのか?絶対にしない。ありがとうございます!で終わらせるはずだ。

妙な外部の声に流されてはいけない。自分が面白いと思ったものを適切なタイミングで人に伝える。これが非常に大切なことなのである。

ヒットではなく大ヒットした理由

ここからは僕が思う『鬼滅の刃』魅力について少し触れてみたいと思う。

作品がヒットした理由を考察する!

そんなもんは各メディアが報じていて、YouTubeを見ても様々な講釈を並べている動画が沢山あるのでそっちを見たり読んだりして欲しい。

究極的にここまでブレイクした理由は、鶏と卵みたいな話だが「明確に売れた」からである。

IPとして売れたことで、その認知度を使ったビジネスが急増した(コンビニのキャンペーン等)。また、知名度のある人々がこぞって話題に出し、前日のハロウィンではコスプレまでを披露した。

IPホルダーの範疇を超えて、アメーバ式にコンテンツが広がる。ここまで来ると、一大ムーブメントになる。

更に『鬼滅の刃』が強いのが原作が完璧な形で完結している点である。

引き伸ばしや中弛みはなし。序盤に登場したラスボスまでの道のりを一気に駆け抜けて、物語は完結した。※バトルものにありがちなインフレも特になかったことも特徴的だろう。

 

メインキャラクター3人の個性

『鬼滅の刃』の主人公である竈門炭治郎はとにかく優しい。人ができている。怖いまで器が大きく、他者に責任をなすりつけない。全て自己責任だと、考える。

作者が女性であることを考えると、理想の長男像というキャラクター性を竈門炭治郎に与えたように思う。

自分の腹を刺した相手(人間)にですら「彼も大変なのだ」と悪意を剥き出しにしない。

一方で、鬼に対しては完全な敵意を見せる(一部例外あり※鬼の心情に触れることができた場合は共感し、祓うシーンもある)。

優しさ、温かさ、心の強さ。子育てをしている家庭が竈門炭治郎のような子どもに育って欲しいと思うのも当然なほどできた息子が『鬼滅の刃』の主人公なのだ。

一方で人はそんな完璧な存在じゃない。暴力性もあれば恐怖心だってある。

猪突猛進で後先考えずに突っ走りたい。誰かの親分としてふんぞりかえりたい。

そんなジャイアニズムを誰しもが持っている。

続いて恐怖心について。

いわゆる分かりやすい失敗をしない最高の作戦はその場で立ち止まって行動しないことである。

リスクを取らないことでその場のピンチは未然に回避できる。後々のことを考えれば、マイナスに働くことも明確なわけだが。

ここまで書いてお分かりのように嘴平伊之助と我妻善逸には怒りと恐怖というメタファーが与えられている。

彼らは自分に与えられた個性(猪突猛進と恐怖心)を乗り越えることで、読者に感動を与える。

ただ突っ走るのではなく、走りながら考える。そして、仲間のことを誰よりも大切に思うジャイアニズム。

恐怖心を大切な人のために乗り越える。誰よりもカッコ悪いからこそ、誰よりもカッコよくなれることを証明する。

この2人と現代社会に最も必要なスキルである共感性を持った竈門炭治郎がチームを組んでいるのは偶然ではないはずだ。※さらに美しく可愛い存在を主人公の妹に配置した点も完璧だ。

誰しもが心に持っているもの。誰しもが求めているものが主人公たちを見ているだけで分かる。

『鬼滅の刃』がヒットしたのは偶然ではない。僕なんかでは到底考察すらできないほどに本当によくできているのだ。

 

ベビーとヒール

『鬼滅の刃』は分かりやすく正義と悪が描かれている。勧善懲悪を綺麗に描く。ただ、現代的な主人公である竈門炭治郎は悪にも共感する(正確には共感性があれば)強さを持っているのが特徴的である。

新日本プロレスで言えば棚橋弘至選手と言ったところだろうか。絶対的なベビーフェイスにしてヒール(鬼)にも共感し、涙を流すことができる。そんなレスラーは見当たらない。

象徴的な試合は2012年10月8日の「IWGPヘビー級選手権試合」チャンピオン・棚橋弘至選手VS挑戦者・鈴木みのる選手の一戦である。※鬼滅の刃好きな(お子様に勧められてハマった)棚橋弘至選手とワンピースをこよなく愛する鈴木みのる選手の一戦だと考えると中々面白い。

当時、新日本プロレスのOBたちが今のプロレスはサーカスだと指摘し、話題になっていた。そうした状況の中、鈴木みのる選手は棚橋弘至選手がチャンピオンだからそんなことを言われるのだと指摘。2人の戦いは激化していった。

壮絶な試合終了後、鬼である鈴木みのる選手(敢えて鬼と書こう)を倒した棚橋弘至選手はこう語っている。

——かなり前半戦のところで、ヒジを鈴木選手にやられて、苦しい闘いだったと思いますが、試合を振り返っていかがですか?
棚橋「厳しい闘いだったけど、実は、試合前に“憎しみ”みたいな気持ちは消えてて。っていうのは、昔から、昔ばなしの“泣いた赤鬼”ってのが、スゴイ好きで。赤鬼のために、青鬼がね、悪役を買って出るあの気持ち。俺、スッゴイ青鬼が好きだったんだけど、なんかその青鬼と、鈴木みのるがダブって。ま、性格が悪いことには変わりないんだけど、なんか、そんな感じでしたね」
——鈴木選手の存在も、また一つ、この新日本で、棚橋選手が輝くための布石のようなものだったのですか?

棚橋「鈴木みのるが怒ってたのは、俺じゃなくて。ましてや、今のプロレス、鈴木みのるがいう“プロレスごっこ”ではなくて。それに、文句をたれる、たれないでしょ?俺はもうわかったから。本当の敵はね。ただ、俺が考えて欲しいのは、そういう人達も、プロレスに出逢ったから、プロレスに入門したから、今があるわけで。自分一人で、スターになれるわけないから。みんながいて、ファンがいて、そして対戦相手がいて、『そういう気持ちがなんでなくなっちゃうのかな?』って。俺は、年取って、引退したとしても、プロレスを今も昔も、『面白いぜ!』って、きっと言うから。そういう気持ちです」
——そこまで、プロレスに向けて、棚橋選手の気持ちを突き動かすもの、それは何ですか?
棚橋「愛です!」 

出典:新日本プロレス

愛。

悪の道に走ったとしてもその心に何か共感できることがあれば、素直に受けいれて心を寄せる。

下世話な表現にはなるが、「あなたも色々とあるのですね」とどこかで納得する。

これが棚橋弘至選手の度量の深さ。これが真のベビーフェイスに必要な素養なのである。

ここまで色々と書いてきたがいかがだっただろうか。僕が何を書きたかったかと言うと、『鬼滅の刃』の映画は面白いし、今週末には新日本プロレスのビッグマッチもあるから両方楽しんでね!ってこと!

といった感じになるだろうか。プロレスは全てを語ることができると言うが、その奥深さに改めて触れるいいキッカケになった。

最後に。

『有田プロレスインターナショナル』がスタートした。最高だった。これからの楽しみが一つ増えたとしか言いようがない。

あの企画を僕が書いたらどうなるか?そんな企画をやってみようかなと思う。

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